非人道的地球防衛軍とゾンビ兵

ウロノロムロ

ゾンビと引きこもり(1)

「遠隔操作で
バイオロイドを動かしてみませんか?」


ある日突然、
地球防衛軍の人がやって来た。


『海底王国』との戦争で兄貴が死んで、
戦争で助かったはずの両親は
先日交通事故で死んでしまった。


世間でいうところの
引きこもりである僕は、
親の収入に全く頼り切りであったために、
これから先どうしていいのか
途方に暮れていた矢先に。




最初は警戒して完全に無視していたが、
家に食べる物が無くなり、腹が減って、
このままでは餓死してしまうと思った時、
はじめて地球防衛軍の人に会うことにする。


地球防衛軍の人は
僕の様子を心配していたらしく、
食料を持って来てくれており、
僕は久しぶりの食事にがっつきながら、
地球防衛軍の人の話を聞いた。




地球防衛軍の人は、
『地球防衛軍日本支部人材リクルーティング部』
の春日だと名乗った。


どうやら春日さんは両親が死ぬ前から、
ちょくちょく家に来ていたらしい。


両親は自分達が死んだ後、
僕の面倒を誰が見るのか、
どうやって生きていくのか
気がかりだったようで、
生前から春日さんに相談していたらしい。
その話を聞いた時、
目からは涙が溢れ出していた。




春日さんは、
僕に地球防衛軍の施設に
引っ越すことを強く勧めたが、
引きこもりどうこう以前に
僕はまだこの家を離れる気にはならなかった。


気持ちの整理が
出来ていなかったのかもしれない。


春日さんは僕の気持ちを察してくれたのか、
それではこの家に居ながら
自分達に協力してくれないかと言う。




なんでも地球防衛軍が開発した
遠隔操作式バイオロイドの試作機テストに
協力して欲しいということらしい。


仮想現実VRに似たような感覚で
誰にでも気軽に操作出来るので、
僕のように詳しくない人でも問題はないとか。


僕には取り敢えず食料と収入が必要で、
家に引きこもりながら
簡単に仕事が出来るのであれば
ありがたいことでもあるので、
その話を受けることにする。


春日さんは分厚い契約書を渡して
説明してくれたが、
僕は話半分ですぐにサインした。


例え、騙されていたとしても
今の僕には何もないのだからという
投げやりな気持ちがどこかにある。




その次の日、地球防衛軍の人達は
バイオロイドを家に運んで来た。


バイオロイドは、髑髏のマスクで顔を覆い、
ボディはライダースーツを着込み、
肩と肘、膝にアーマーを付けており、
その姿はまるでダークヒーローのようだ。


VRのようなゴーグルを付けて、
ゲームのコントローラーのようなものを握り、
バイオロイドを動かす。


ゴーグル越しに
バイオロイドが見ている現実世界を見る、
不思議な感覚だ。


だがそれもすぐに慣れた。


操作は本当に簡単で、
これで何故複雑な動きが出来るのか
不思議だったが、
ゴーグル経由で僕の脳波、
思念がバイオロイドに伝わっているとのこと。


コントローラーは補助的なものだと
春日さんは言っていた。


その日は、ほぼ一日動かし方を教わって、
だいたい動かせるようにはなった。


バイオロイドは限定された範囲でしか
行動出来ないようになっている。


確かにこんな姿で普通に街を歩いていたら
気味悪がられて事案になることは間違いない。











コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品