【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

カミカゼ・アタック

海中に潜る多数の潜水艦から
一斉に魚雷が発射される。


敵、巨大水棲生物の先頭、
巨大ザメの群れに
撃ち込まれた魚雷が着弾
爆発を起こす。


だがその巨体には
充分なダメージを与えられない。


魚雷と水中機雷の中を
動じずに突き進んで来る巨大ザメ。




海中での勝負を
避ける予定だった勇者が
何故多数の潜水艦を複製し
用意したのか。


人間が海に潜伏するために
鉄で完全密封されたその艦は、
この戦いでは本来持つ役割を
充分に果たすことは出来ないであろう。


しかし潜水艦は
先陣を切るかのように
巨大ザメの群れの中に
突進して行く。


サイズでも速度でも勝る
巨大ザメは臆することなく
潜水艦に体当たりを挑む。


水中で横転する潜水艦を
大きな口を開け
幾重にも重なる鋭く尖った牙で
口に咥える巨大ザメ。


その歯で噛み砕いた瞬間、
潜水艦はサメもとろも自爆する。




多数の潜水艦が次々と
巨大ザメの口内を目掛け突進、
敵を道連れに自爆して行く。


それは勇者によって
潜水艦自体が爆弾化されており、
巨大水中ミサイルの役割を
果たしていたのであった。


-


海中付近では
勇者軍が操る巨大水棲生物が
敵の巨大水棲生物と交戦中。


味方の蛸クラーケンが
チョウチンアンコウのような
敵巨大魚を触手で掴むと
敵に巻き付きこれを離さず、
密着状態のままで自爆する。


二体の巨大生物が爆発を起こし、
その肉片が周囲に雨のように降り注ぐ。


一方で敵の烏賊クラーケンが
海上の駆逐艦を捉え
その触手で巻き付くと
駆逐艦もまた
敵を道連れに自爆して行く。


それは兵器や魔物だけに限らず、
勇者のクローン部隊がみな
次々と海中の魔獣、
その口を目掛け突撃。


手足の無いものが多く、
そしてその構造上
口を開けていなければならない
巨大魚はこれを止めることが出来ず、
体内への侵入を許し、
その身を爆弾と化したクローン勇者が
体内で自爆を果たす。


-


それは戦場のいたる所で
自爆テロが行われているようなものであり、
壮絶な様相を呈していた。


勇者は前回の戦いから発想を変えた。


地上戦は、悪夢のような大軍勢、
その数を如何に減らすか
ということを考えていた。


今回の海洋戦、敵は巨大ではあるが、
その数は前回に比べれば圧倒的に少ない。


そもそもこれだけの
巨大生物の個体数が多い筈はないのだ、
勇者のように複製でもしない限りは。


そこで勇者考えたのが、一人一殺。


敵を道連れに自爆してでも
確実に一体一体を葬り去ること。


操り人形同然のクローン部隊であり、
転移強奪による兵器を自在に操れ、
無限に複製出来る勇者だからこそ
出来る作戦でもあった。


転移系の技が封じられているため、
今回は物や人自体を爆弾化し
特攻させて行く、まさしく
『カミカゼ・アタック』。




考えようによっては、
敵も陸路を塞がれ、海路も絶たれれば、
手詰まりとならざるを得ない、
ここが正念場でもあり勝負所となる。


それは魔王軍も勇者も同じこと、
勇者もここで戦力損耗を覚悟の上、
敵を地獄へ道連れにする
この作戦を選んだのであった。


しかし未だその姿を見せない
敵上陸部隊が勇者には気掛かりでもある。











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