【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

ローラー作戦

敵から一転して
味方になった巨大ゴーレム達。


厳密に言うと味方の
外側が変わっただけで、
敵の中の人が
入れ変わっただけでもあるので、
少々ややこしい。


数は十体のみだが、
百メートル以上の巨体が
敵の大軍勢を蹴散らして行く。


上空の敵大群を
その巨大な手で一掻きすると
そこだけごっそり敵がいなくなる。


最初その巨大な足で敵を踏み潰し、
大地ごと敵を蹴り上げていたが、
大袈裟な動きに対して
どうにも効率が悪く
少しイラついたようで
しまいには大地に寝転んで
ゴロゴロと回転しはじめる。


『それ、地味に
一番効くと思うわ』


非常に重い超巨大ローラーが
大軍勢を押し潰して行くというのは
一番効率が良い方法ではあった。


ただ中の人が、以前は死に掛けていた
年寄りだと知っている勇者には、
介護の必要な寝たきり老人が
ただ布団でゴロゴロしている、
そんな風にしか見えない。


元老人の寝返りに
押し潰される敵軍勢。


-


勇者は、より確実に効率良く
敵の軍勢を大量虐殺するために、
クリエイト能力を使って
超巨大な円筒状の鉄塊を創り出す。


横幅およそ三百メートル、
高さ百メートル弱の巨大な円筒、鉄の塊、
それを巨大ゴーレムが押せば
巨大なローラーとなる。


巨大な円筒の鉄塊を十個、
それぞれを十体のゴーレムが
後ろから押して進む、
敵の軍勢はその下で
次々と押し潰されて
ぺしゃんこになって行く。


密集した大軍勢には
おそらく最も効果的で効率の良い
大量虐殺の方法であろう。


抵抗虚しく蹂躙されて行く敵軍勢、
巨大なローラーは
あっという間に血塗られて行く。


-


勇者は改めて
クリエイト能力のやばさに気づく。


複雑な物が造れないにしても
創り出す物の質量に
制限がないのだとしたら、
西側大陸とほぼ同じサイズ、
超重量の球体を空から落とし
大陸ごと押し潰して沈めれば、
このゲームはおそらくそこで終わる。


その場合、
西大陸と球体の質量分、
海面が上昇して
東側の大陸もそのほとんどが
水没することになるので
実際にそれを決行することは
出来ないが。


いずれにしても
とんでもない能力であることを
勇者は再認識するのだった。


ただやはりその原理が分からないので
あまり好きではないらしい。




核にはじまったこの戦い、
途中膠着状態でグダグダになり、
最後は巨人が超巨大ローラーの
超重量で押し潰すという
非情にシンプルな最後で
終局を迎えた。


それだけ聞きくと
何を言っているのか意味が
さっぱり分からない。


-


TRRRRRR……
TRRRRRR……


勇者の携帯が鳴る。


電話はテトからであり、
魔王の軍勢が海洋ルートから
南下して東大陸に
向かって来ているという内容。


当然陸地が無理となれば、
海から侵攻して来るしかない、
勇者もそれがわかっていて
予めテト達少年少女魔道士団に
西大陸の海上を千里眼で
監視させていた。


『やはり来てしまったか』


予想していたこととは言え、
勇者には憂鬱な報せでもある。


何度も脳内でシミレーションしたが、
水の中を自由に動き回れる
水棲生物が向こうの軍勢にいる限り
勝算があまり見込めない。


もし最後の核を使うとしても、
こればかりは海洋が汚染され
東側の人間にも大きな影響が出る。


海は一つに繋がっているのだから。











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