【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

ハイパーレールガン

「やはり、
アンチ転移フィールドで来ましな」


ゴーレムを個別に包み込むような
フィールドを分析するイヴァン。


まるで動く山々に見えた
超巨大ゴーレム軍団には
転移消滅は効果がなかった。


ゲートが出現し、
移動してゴーレムを
呑み込んだように見えるのだが、
すべて通り抜けてしまう。


転移消滅が効かないとなると
あの巨大なゴーレムの大軍団を
一体一体倒して行かなくてはならい。


ゴーレムの胸の辺りには
赤く光っている箇所があり
おそらくそれが心臓部であろうと
イヴァンは言うのだが、
山脈と見間違う程の数、
弱点をピンポイントで狙い撃ち
すべてを壊して回るのは
なかなか難しいことでもあった。




戦場は相変わらず
強力な全体攻撃魔法が
ひたすら繰り返されており、
超巨大ゴーレム軍団も
それなりにダメージを
負ってはいるのだが、
如何せん数が多過ぎる、
そしてそこそこ硬い。


やはり広範囲の全体攻撃では
ゴーレムの弱点を貫く
という訳にはいなかい。




おそらく敵はゴーレムで
東側の防壁である山々を破壊して
一気になだれ込む
作戦であろうと思われる。


ゴーレムが東側の山に近づくまでに
すべてを倒さなくてはならず、
時間を掛けることも出来ない。




しかしこの状況に
打って付けの兵器が
ない訳ではなかった。


勇者が未来から
転移強奪した兵器は
先程のあれだけではない。


-


それは数日前のことである。


「この巨大な弾丸が射出される際に、
我が魔法で瞬発力を加え
さらに加速させればよいのだな?」


イヴァンと打ち合わせをしていた
斎藤さんは目を輝かせて興奮している。


そこには他にも大勢
人間男性の野次馬達が
集まって来ていた。


「やはり、
レールガンと言ったら、
男のロマンじゃあないですか」


野次馬達はみな深く頷く。


「そうなのか?
斎藤殿は随分と面白いことを
おっしゃられるな」


みなの目の前にあるのは
勇者が未来のパラレルワールドから
転移強奪して来たハイパーレールガン。


どの辺がハイパーなのかと言えば、
とにかくデカいので、
サイズのことだと思われる。


明らかに砲口の直径が
十メートルを遥かに超えていた。


『こんなデカい
レールガンがあるって、
未来では巨大ロボットとでも
戦ってるのか?』


未来のパラレルワールドでは
それこそ巨大ロボット同士で
戦っているのかもしれない。


「うむ、それでは
この巨大な弾丸を
横方向にも超高速回転させて
殺傷力を増してみてはどうかな?」


「なるほど、
ドリルの要領ですか……


いやそれでは
正面方向への運動エネルギーが……」


「我にかかれば
二方向への運動を
威力を落とさずにさせるなど
造作もないこと」


イヴァンの言葉に
周囲の野次馬達は感心している。


「なんだかわからないけど、
かっけーすね」


「じゃぁ、
『ハイパーレールガン・螺旋』てことで」


男には時として
効果よりも格好良さが
優先されることがある。


例え大の大人であっても
厨二心がときめいてしまう、
それがレールガン。


『いや、そこは技術担当なんだから
ちゃんと効果があるか検証しろよっ』


-


東側の山の中腹に設置されている
ハイパーレールガン。


「レールガンは
百キロ以上離れたところでも
余裕で届きますから、
ここでも大丈夫ですよ」


斎藤さんがそう言っていたので
ここに設置されたが、
冷静に考えるとここからでは
目標が視認出来ないことに
今更ながら気づく。


この距離から
百キロメートル先の
ゴーレムの心臓部を
狙い撃つという離れ業。


ここは本体イヴァンの千里眼と
命中補正魔法にすがるしかない。




轟音と共に
砲身から射出された巨大な弾丸、
回転しながら超高速で
一気にゴーレムの心臓部を貫く。


「おおっ」


その命中精度の高さに
勇者も思わず声を上げた。


「勇者様、次を」


勇者はイヴァンの声に我に返ると、
ハイパーレールガンを複製し、
替えの砲台を用意する。


それを何度も繰り返し、
次々と巨大ゴーレムの
心臓部をレールガンで
貫いて行くイヴァン。


百キロメートル先の標的を
百発百中で射貫く離れ業。


『やべぇ、なんだコイツ』


『まさか、異世界で
レールガン撃つことになるとも
思ってなかったんだよなぁ』











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