【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

勇者とアンデッド

そもそも勇者は不死身ということに
納得がいっていない。


不死身とは一体どういうことなのか?


肉体が消滅しても
魂は滅することがなく、再び魂の元に
肉体が再構成されるということなのか?


理屈で考えてもよくわからない。




百歩譲って、
あの巨大ドラゴンが不死身というのは、
まぁ、わからなくはない。


あれだけ巨大な
何千年も生きていそうなドラゴン、
どんな熱にも耐え、攻撃が効かないため、
死には至らない、これはまだわかる。




そして、おそらくこの世界で
最も勇者と相性が悪いと思われるのが、
不死種の中でも肉体を持たない
実体を持たない霊体系なのだが、
これは非常によくわかる。


物質至上主義文明の物理攻撃は、
精神至上主義文明の極地のような
この存在には全く効かない、
これは非常にわかりやすい。


ほぼ物質による物理攻撃のみで
ここまで戦って来た勇者からすれば
最悪の敵であり、
現時点で対策が無いに等しいので、
最近獲得した魔法ポイントを
すべて神聖系魔法に
全振りしなくてはならないぐらいに
嫌な相手ではあるが、
存在としては納得がいく。


せめて神聖系魔法が
広範囲攻撃で使えるようになるまでは
対戦したくない相手でもある。




勇者が一番納得がいかないのが、
肉体というか実体を持ちながら
不死身を名乗る者達であり、
ヴァンパイアを筆頭に、
スケルトンなどの存在だ。


ゾンビも不死身扱いされているが、
あれはどんなに肉体がボロボロになっても
生きているからであって、
肉体が再生される系とは違うのであろうか?


もし再生能力があるのなら
その朽ち果てた見かけを
まずはきちんと再生してから
来て欲しいものだ、
などと考え出すと際限なく、
しまいには面倒臭くなって
アンデッドには納得がいかない
ということになる。




まとめてアンデッドを倒す
いい機会はないものか、
勇者は日頃から考えていた。


-


魔王暗殺の暗示を掛けたアインも
未だ動きが見られず、
魔王は相変わらず
誰の前にも姿を現さないようであった。


「魔王、早く死なねえかな」


このまま魔王が
病死したりしないものかと
他力本願に考えたりもする、
勇者であるにも関わらず。




その時、勇者に閃きが降りて来る。


『魔王が姿を見せないなら、
俺が魔王に成りすませばいいんじゃね?』


まさしく逆転の発想。


誰もずっと消息を知らない者など
この世に存在していないも同然。


であれば勇者が魔王に
成りすましたところで何ら問題はない、
勇者にとっては。
魔王からすれば大問題であろうが。




という訳で勇者は魔王に成りすまし
アンデッドを一網打尽にする策を講じる。











「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く