【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

勇者の試算

勇者は考える。
魔王を暗殺出来ない場合、
後どれぐらい殺す必要があるのかと。


面倒なのでここでは、
人間、魔族、亜人等々を
まとめて人と呼ぶことにするとして、
様々な人型種族をすべて含めて
そもそもこの世界に
どれぐらいの人口いるのかという話だが。


この世界で人口統計を取っているとは
とても思えないので
あくまで勇者の憶測、
概算にしか過ぎないが、
大陸の広さや人口密度を
元居た人間世界から比較して考えると
人型だけであれば十数億程度ではないだろうか、
今後他に新大陸でも発見されれば別だが。


その内、魔王軍配下にある者が
約七から八割だとしても
敵総勢は約十億人ぐらいということになる。


今まで自分が殺して来たのは、
決起集会の十万人ボーナスステージがあるとは言え、
おそらくまだ百万にも達していないだろうから、
まだ千分の一にも満たないことになる。


敵を一人残らず殲滅、
皆殺しにすると言うのなら
ここまでと同じぐらいの虐殺を
後千回繰り返さなくてはならない、
さすがに骨が折れるどころの話ではない。


やはりこのゲーム、
早めに勝敗を決めるには
魔王を暗殺するしかないと
勇者は改めて意を決する。


-


敵勢力の内部工作に暗躍している間も
勇者は暇を見つけては
辺境の敵拠点を潰したりもしている。


拠点襲撃は『転移消滅』が
使えるようになってからは随分と楽に、
穏便に事を済ませられるようになっていた。


『転移消滅』は基本一回につき、
敵一体をこの異世界から消し去る能力だが、
建造物を消す時は中の人ごと消すことが出来る。


誰にも知らぬ間に
拠点が中の人ごと消えているというのは
ちょっとしたホラーな出来事のようでもある。




そこでも勇者は考える。


敵拠点に関してもだ。


一体この世界にはどれぐらいの
敵拠点があるのであろうか。


これも元の人間世界と比較して考えると、
元居た世界の国数が約二百カ国。


最低限一カ国につき
一軍事拠点があるとしても、二百拠点。


一拠点で済む訳がないので、
千拠点ぐらいはあるのだろうか。


アンテナだけが建っている
通信施設なども含めれば
無数と言ってもいいかもしれない。


それと比べて見ても
この異世界の敵拠点は
おそらく数え切れないぐらいあるだろう。


-


魔王軍がドラゴン討伐を終えたら
また魔王が人間エリアに
派兵する可能性も充分ある。


次の戦いのことを念頭に置けば、
そろそろここらでアンデッド達を
まとめて一掃しておきたいところだ。


しかし『転移消滅』では
アンデッドを一体ずつしか
消滅させて行くことが出来ない。


アンデッドがまとめて
どこかの城にでもすし詰めで
入ってくれるのなら、
一気に『転移消滅』させることも出来るのだが。


勇者がこの世界に来て以来、
アンデッドは悩みの種でもある。


そもそも勇者はアンデッドの存在に、
不死身という点に、
理不尽さを感じずにはいられなかった。











コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品