【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

地雷と大型トラック

地上には地雷、
空からは化学兵器で
進軍を阻まれている魔王軍。


この勇者、今回の場合
何が性質タチが悪いかと言えば、
戦場に一切姿を見せないことであろう。


自分は遠くから眺め
遠隔操作で物を動かして
攻撃しているだけで、
敵からすれば相手も見えずに、
攻撃して来るのは
見たこともないような
得体の知れない物ばかりであり、
まるで妖術や幻術の罠にでも
嵌められているのではないかと
思うことであろう。


-


地雷で動きを鈍らせ、
化学兵器で敵を弱らせたところで
勇者の作戦は
次の段階に移行する。


魔王軍兵士達の頭上、
しかも数メールしか
離れていない低空に
突然ゲートが開くと
巨大な丸い物体が落ちて来た。


敵はこれを攻撃だと認識し、
迎撃しようとする魔道士達。


彼等の魔法攻撃が
巨大な丸い物体を破壊。


だが、それが狙い、
至近距離で
破壊されることこそが目的。


破壊された際に、
巨大な丸い物体の中に
詰まっていたガスに引火、
地上の敵軍勢を巻き込み、
大爆発が起こる。


「物知らないって、
本当に助かるんだわ」


巨大な丸い物体は
ガスタンク。


そんなものを見たことがない
魔王軍の兵には
対処方法などわかる筈もなかった。


-


今度は高空にゲートが出現し、
巨大な四角い何かが落下して来る。


兵士達は先程のこともあるので
迎撃を躊躇い逃げようとするが、
慌てふためいているため、
地雷を踏んで爆散。


逃げなければ、
当然落ちて来る物体に
押し潰されるだろう。


運の良い者だけが
地雷を踏まずに
逃げることが出来る。


空からの物体が地面に衝撃すると
物凄い衝撃が走り、
それと同時に
物体の重みで地雷が起爆。


運良く地雷を避けて
押し潰されずにも済んだ者も
結局、爆風に巻き込まれた。


まるで地雷地獄。




今度空から落ちて来たのは
総重量数十トンを遥かに超える
超重量級の大型トラック。


「そういや俺、
大型トラックに轢かれて
死んだんだっけ」


現在の勇者である彼が
前世で轢かれて死んだ
大型トラックを武器にするとは
どんな悪い冗談であろうか。


しかし意外にも勇者は
大型トラック攻撃が
気に入ったらしい。


-


次の巨大落下物、鉄屑の塊、
敵魔道士は上空に
巨大シールドを張り、
これを防ぐ。


しかし消滅させる訳でもなく、
跳ね返せる訳でもなく、
巨大落下物は
シールドの上にずしりと
乗っかったまま。


当然魔道士が
シールドを解除すれば
押し潰される。


「みんな、今の内に逃げろ」


仕方がないので
魔道士はせめて
仲間を逃がそうとするが。


感謝しつつ、
逃げようとした者が
地雷を踏んで
魔道士を巻き込み爆散、
その上から巨大な鉄屑が
魔道士を押し潰す。


-


勇者も拠点を奇襲した際には、
人間世界の兵器を利用したが、
通常戦闘では
巨大な重い物を高空から
魔法で加速させて落とせば
それだけで充分
武器になるということに
気づきはじめていた。


「物理すげえな」


物理法則を無視した
異世界の筈なのだが、
物理攻撃がある以上
全く物理が関係ない
ということではないのだろう。











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