【胸糞注意】なテロリスト勇者、異世界を蹂躙す

ウロノロムロ

燃え盛る森

その見回り兵
二人の会話に耳を傾ける勇者。


「なんでも
新しい勇者が降臨して、
見たことがないような
変な乗り物で移動して、
各地の基地を襲っているらしい」


「なんだその
見たことがない変な乗り物って、
新兵器か何かか?」


自分のことがそんな風に
伝達されているのかと、
敵から見た自分を認識する勇者。


「魔王様はお怒りで、
勇者を見つけ次第殺せということだ」


『まぁ、そうなりますよね』


ちょっとの間、
大人しくしていようかと思っていた勇者だが、
その話を聞いて
ここでもちょっと暴れてみようかと
ムズムズしはじめる。


-


敵居城、その大きな木の城門に
突如として現れた
大型石油タンクローリーが突っ込んで来る。


石油タンクローリーが
木の扉を無理矢理こじ開け
爆発炎上すると、
勇者はバイクを疾走させ、
その脇を通り、城内へと入り込む。


不意の侵入者に
敵兵は慌ててこれを迎え撃つが、
転移強奪で手にする手榴弾を
城内にばら撒きまくる勇者、
そっちこっちで敵兵を巻き込み
爆発が起こる。


まともに戦って
捕まってしまえば、
ただのレベルが低い勇者なので、
頼みの綱はバイクと
転移強奪をはじめとする
現在使える能力のみ。




ひとしきり暴れると
長居は無用とばかりに
颯爽と城を後にする、
はずであったが。


襲撃を受けた敵兵が
追い掛けて来るのを
待っているかのように、
そこそのスピードで
まるで遊んでいるかのように
バイクで走り回る勇者。


敵が群れをなして
追い掛けて来ると
追いつかない程度のスピードで
敵兵の群れを誘い出す。


『バイクのスピード、
どれぐらい出るか知らないからね、
怪しまれることないでしょ』


確かに先程の敵兵も
見たことがないと言っていたので、
それがどれぐらいの速さで
走るものなのか敵が知る筈はない。


知っていれば、
この速度で走ることに不信感を持ち、
これが勇者の罠であると
わかったのだろうが。




バイクに乗ったまま
森の奥へと逃げ込む勇者。


最近、雨が降った訳ではないのに、
その土は濡れてネチャネチャしている。
追っ手があまり嗅いだことがないよう異臭も。


濡れた土に滑ったのかバイクが転倒し、
追っていた魔物達が
これに追いつくと
勇者の姿はそこにはなかった。


次の瞬間、上空から
大量の液体が魔物達にぶっ掛けられる。


「何だ、これは!?」


訳が分からない魔物達。


木の太い枝の上から、
魔物達を見下ろす勇者、
既に防火服を着る準備は出来ていた。


「これ、
今俺が唯一使える攻撃魔法、
ファイヤーボールね、
こんな小さくてお恥ずかしい」


「でも火を点けるには
充分なんだよなぁ」


勇者はその手から
小さなファイヤーボールを放つ。


魔物はそれを腕で軽く跳ね返したが、
火が引火して瞬く間に火だるまになる。


その火は次々と
他の魔物達にも燃え移り、
土を伝って木々にも広まり、
あっという間に森全体に渡り切った。


森全体が炎に包まれ、燃え盛る。


勇者は事前にこの森に
ガソリンをばら撒きまくっておいて、
魔物達にぶっ掛けたのも
もちろんガソリンであった。


周囲は森しかないような敵拠点、
炎はいつの間にかそこまで到達している。
それも勇者がガソリンで
導線を事前につくっていたから。


この炎は周辺一体の木々を
すべて燃やし尽くすだろう、
燃えるものがなくなるまで。


「さっき捨てた
核廃棄物まで火が回ったら、
大爆発起こすかもね」


新しいバイクを出して
既に逃げる準備は万全の勇者。


「お疲れさん」


そう言い残すと
用意していた唯一の逃げ道から
早々に走り去って行く。











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