【胸糞注意】な勇者請負人、そして神々、時々ドラゴン

ウロノロムロ

魁!ドラゴン道

黒龍率いる
狂竜高校のドラゴン達に
いいようにサンドバックにされる
赤龍と青龍。


拳で殴られ、
爪で切り裂かれ、
牙で噛み付かれ、
尻尾で打ちのめされる。


ドラゴンは、龍殺しの剣などの
専用武器でも使われない限りは、
基本的には不死身であったが、
傷つかないとか
傷がすぐ治るという訳でもない。


頭や体から血を流し
ボロ雑巾のように倒れる二人。


「おうっ、なんだおめえ等、
もうお終いかよっ? えっ?」


絶対絶命の窮地。


-


その時、白竜さんを
取り押さえていたドラゴン達が
次々と倒れ、白竜さんが解放される。


「なっ!?」


黒龍が慌てて振り返ると
バハムート先輩が
白竜さんを抱きかかえ
既に救出を終えていた。


「バハムートさんっ!!」


「チョー、かっけーっす!!」


憧れのバハムート先輩に
助けられ歓喜する赤龍と青龍、
そして顔を赤らめキラキラした目で
バハムート先輩を見つめる白竜さん。


「ドラゴンたるもの、
男同士の喧嘩は構わんが、
人質などというのは論外!


それではまるで
人間のように卑怯ではないか」


まぁ確かに、
人質を取るドラゴンというのは
これまで一切見たことがない、
案外レアな状況であるのかもしれない。


「誇り高きドラゴンが
そんなことをしてはならん!」


「バハムートさんっ!!」


「チョー、かっけーっす!!」


-


「今までよくもやってくれたな、
殺すぞっ、ゴラァッ!」


「十倍返しだっ!
殺すぞっ、ボケェ!」


何処に隠してあったのか、
赤龍と青龍はそれぞれ、
金属バットと
釘が大量に刺さった棒を取り出す。


どう考えても
武器よりも爪や牙、尻尾の方が
強そうであるのに
何故よりにもよって
その武器をチョイスしてまうのか。


「馬鹿野郎っ!
ドラゴンたるもの
武器を使うなど以ての外だっ!
お前等そんなこともわからんのかっ!」


「ドラゴンは
正々堂々と正面から戦うのみ!
それが生まれながらに最強たる
ドラゴンの誇り」


何故かドラゴン道にこだわる
バハムート先輩。


「バハムートさん、すいませんっ!」


「ドラゴンの男たる者、
喧嘩は素手ステゴロと決まっているっ!
武器を使うなど卑怯千万っ!」


「じゃあ、じゃあ、
ブレスはどうなんすかっ!?」


どう考えても武器を禁止した
ステゴロの喧嘩に
武器よりも強いブレスは
卑怯だと思うのだが。


「馬鹿野郎っ!
そんなことも分からんのかっ!」


「ブレスはなぁ、


ブレスは、胸の中にたぎる熱い魂だっ!!」


「バハムートさんっ!!」


「チョーかっけーっす!!」


何を言ってるのか
ちょっとよくわからないのだが、
それは人間だからであろうか。


とりあえずブレスはOKと判明し、
赤龍と青龍は今までの鬱憤を
思いっきりブレスにぶつける。


「ファイヤーッ、ブレスゥゥゥッ!!」


「コールドッ、ブレスゥゥゥッ!!」


敵ですらそんなの使ってなかったのに、
こっちの方がよっぽど
卑怯なような気がしないでもない。


そしてこれだけ熱く
ドラゴン道を語った
バハムート先輩だったが
その起源は巨大魚の幻獣だと言う、
今がドラゴン扱いなら
それでいいのだ、きっと。


-


兎にも角にも
狂竜高校のドラゴン達を
ブレスで一掃した赤龍と青龍。


しかし体を張って
助けようとした白竜さんは
もうすっかりバハムート先輩にメロメロ、
しっかりとバハムート先輩の腕に
抱き着いて一緒に帰って行った。




「白竜さん……」


思わずため息を漏らす青龍。


「バハムート先輩に
なんか文句でもあんのかっ!?
テメェ、殺すぞっ!ゴラァッ!」


「誰もそんなこと言ってねえだろっ!
テメェ、殺すぞっ!ボケェ!」


泣きながら喧嘩する赤龍と青龍。


ただ今青春真っ盛りの
ドラゴン学園一年生、
ヤンキーコンビ赤龍と青龍であった。











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