猫がくれたもの

知美

猫がくれたもの


わんわん

にゃーにゃー


動物の鳴き声がうるさく聞こえる。


私は今ペットショップにいる。


なぜいるのかと言うと、


「この子可愛いな!

家に来てもらうのはこの子に決めないか?」


嬉しそうに笑う私の旦那様。


「えぇ、そうね。」


5月1日に籍を入れ、新婚生活を満喫してた頃だった。

急に旦那様が

「ペットを買おう。」


私は急すぎて、理解に時間がかかった。


「ペット?」

「そう。ペット!」

「なんで?」

「昔から飼いたいと思っていたんだ。」

「まぁいいんぢゃない?」

「じゃあ、決まりだ!」


と言って、次の休みの日にこのペットショップに来た。


旦那様は白い猫が気に入ったようなので、その猫を飼うことになった。


「由紀子。名前を決めてくれないか?」

「私?」

「由紀子に付けてほしいんだ。」


これもまた急に言われたもので

「んーんーんー」

とすごく悩んだ。


「『花梨』なんてどう?」

「いいね。今日からお前は『花梨』だ!」


その日から私たち夫婦と猫の生活が始まった。


猫を飼うというのが、こんなにも大変だとは思っていなかった。

そこらじゅうを爪で引っ掻いたり、おしっこをしてしまったりと、私は付きっきりになって世話をした。


「こらー。花梨。おしっこはここっていったしょー?」


「これは大事なタンスよ!カキカキしちゃダメだから!」


怒号が飛ぶ毎日。


旦那様が家に帰ってくると、私をぎゅっと抱きしめたあと、花梨と遊び始める。


「いい子だね。」

「何言うのよ!花梨の世話大変なんだからね!」

「いや、いい子だ。」

「もう!」


私は怒ってそっぽ向いた。


すると、聡は

「ははは。」

「何よ!私はご立腹なんだから!」


聡は愛おしそうに私を見て

「由紀子の怒った顔、久しぶりに見たよ。」


「由紀子さ。お腹に赤ちゃんできた時のこと覚えてる?」


私は身体が固まる。

「最終的に赤ちゃんは産まれてこなかったよね。」


辛い過去をまた言われて、少しムスッとする。


「あの日から、由紀子は表情暗かったんだよ?知ってた?笑顔なんて、ロボット並に固かったよ。」


「……。」


「花梨が来て、由紀子は変わったよね。怒ったり、笑ったりがすごいわかる!

由紀子って元々表情豊かだったんだよ。」


「……。」


「赤ちゃんが生めなくなって、俺が好きな笑顔の由紀子はもう現れないのかと思うくらいだった。」


「……。」


「同僚がさ、猫飼い始めたって話してくれてさ。もしかしたら、由紀子と一緒に赤ちゃんの変わりをしてもらう猫がいるんじゃないかなって思ったんだ。」


「それで…花梨を?」


初めて知る聡の想いに胸が締め付けられる。


「由紀子。もう赤ちゃんはできないけど、今は花梨がいる。」


「聡…。」


「これからまた3人で楽しく暮らしてこうな!」


「ふふふ。2人と1匹でしょ?」


つい笑ってしまう。


「そーだな。」


はははっと笑う聡。

ほんとに聡と一緒になってよかった。

赤ちゃんはいないけど、楽しく暮らしていけそうだ。


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