私を救ったカップル
私を救ったカップル
私の家の窓からは色んなものが見える。
山だったり、鳥だったり、車だったり、人だったり…。
よく見かけるのは高校生のカップル。
とても仲がよさそうで、いつも笑っている。
私もそういううきうきしたことをしてみたい。
でも、恐らく私にはそのようなことは起こらないだろう。
私はこの家という名の牢獄で一人ぼっちだ。
でも、一人ぼっちのほうがまだいい。
お父さんが帰ってきた方がもっと嫌だ。
お父さんはいつもお酒を飲んでいて、少し私が粗相すると、怒りながら暴力を振るう。
そんなある日、お父さんが家から出ていく時に鍵を閉め忘れたようだ。
いつもなら、私が出ていかないように、内側からは特殊な鍵がないと開かないようになっている。
それが外れていた。
神様は私のことを救おうとしてくれてる。
チャンスをくれている。
そんな気がして、家から飛び出した。
とにかく遠くへ。遠くへ。
お父さんから見つからないように。
私は必死だった。
靴も履かず、素足で走った。
小石を踏むたび痛みが走ったが、どうでもよかった。
少し走ると、いつも窓から見えているカップルが歩いていた。
私はすがりつくように。
「助けて。助けて。」
必死な私を二人は状況を飲み込めていない。
「助けて。助けて。」
私は二人に言い続けた。
靴も履いていない。
服もボロボロの私は二人にどのように見えているのだろうか…。
女の人の方が先に
「どこのおうち?」
「助けて。助けて。」
私はその言葉を繰り返すしかなかった。
後ろから声が聞こえた。
「夏海ー。どこに行っていたんだ。父さんとても心配だっんだぞ。迷っただけだ。安心しろ。
」
優しい声の主はお父さんだった。
そして
「娘を助けてくださったんですね。ありがとうございます。」
と丁寧にお父さんはお礼を二人に言った。
「お父さんを探していたのね。お父さんから離れちゃダメだよ。」
と、女の人は言った。
そんな。違う。助けて。
「本当にありがとうございました。さぁ、夏海。家に戻ろう。」
お父さんは私の手をひいて歩き始めた。
私は何も言えなくなってしまった。
家に戻ると、いつも以上に殴られ蹴られた。
「もう変な真似するんじゃねーぞ。」
それはとてもとても怖い顔だった。
私の足を折り、今度こそ逃げられなくなった。
お父さんはというと、最近家にこもりがちになった。
私を見張るためかもしれない。
そんなある日、家に手紙が届いた。
お父さん宛だが、少し変な手紙だった。
『まくらを売っております
ドイツ産のものです。
家計にとてもやさしいです。
らくらく便でお届けが可能です。
さぁあなたもこのまくらを買いましょう。
携帯からでも、Webからでもご注文いただけます。
別途料金で枕カバーも購入可能。』
という枕の宣伝の手紙…チラシのようだ。
お父さんはくだらないチラシだと言って、丸めます。
その様子を私がいたことが面白くなかったのだろう。
「何見てやがる。」
と、私の襟を掴みます。
「ととと時計みみみ見てただけです。」
すると、お父さんの携帯電話に着信が。
「なんだよ。
おお!美代ちゃんだ。
金をつぎこんだかいがあったな。」
私を殴るのをやめて、電話に出ていた。
いつもの声でなく、なよなよしたようなお父さんの声だった。
私はチラシをもう一度見た。
『まド家楽さ携別』
私は恐る外を見た。
すると、あのカップル二人がチラチラっとこっちを見ていた。
さけべばいい。でも、それでもダメなら、またお父さんに殴られる。
でも、でも、助かるかもしれない。
私は夢中で窓から顔を出した。
しかし、のどを最近殴られて、うまく声が出なかった。
それでも叫んだ。
すると、お父さんが急いで私を窓から引き剥がした。
「なんてことしやがる!殺されたいか!」
お父さんの顔はいつも以上に怖かった。
殴ろうとしたその時だった。
ピーンポーンとチャイムが鳴る。
「松崎さん。お届けものです。」
どう感じてもこんな都合よく宅配が届くわけがない。
警察かもしれない。
助かった。
私は安堵する。
すると、私を抱えながらお父さんが玄関まで行く。
その手には包丁が…。
もしかして…
ドアを開けた瞬間、やはり警察だった。
「みろ!お前たちが動けば、こいつを刺す。」
警察官の顔が強ばる。
「へへへ。」
私は殺されるのか…。
何もない人生だった。
と悟った。
すると、警察官から隠れるようにあのカップルがいた。
私はあのカップルのように笑い合う人と出会いたかった。
もう終わるなんて、いやだ!
私はお父さんの手をがぶりと噛んだ。
すると、お父さんの腕が少し緩んだところを私は腕から離れることができた。
お父さんは警察官に囲まれ、逮捕されていった。
カップルはいつの間にかいなくなっていた。
あの手紙はカップルが書いたものらしい。
その二人は直ぐにいなくなってしまい、私はお礼も言えなかった。
二人にはとても感謝している。
私には子供ができました。
親の愛情というものを受けてこなかった私は、うまく子育てができないと不安だった。
夫はとても優しい人。
二人での子育てなんだから、きっとうまくいく。
そう信じてる!
山だったり、鳥だったり、車だったり、人だったり…。
よく見かけるのは高校生のカップル。
とても仲がよさそうで、いつも笑っている。
私もそういううきうきしたことをしてみたい。
でも、恐らく私にはそのようなことは起こらないだろう。
私はこの家という名の牢獄で一人ぼっちだ。
でも、一人ぼっちのほうがまだいい。
お父さんが帰ってきた方がもっと嫌だ。
お父さんはいつもお酒を飲んでいて、少し私が粗相すると、怒りながら暴力を振るう。
そんなある日、お父さんが家から出ていく時に鍵を閉め忘れたようだ。
いつもなら、私が出ていかないように、内側からは特殊な鍵がないと開かないようになっている。
それが外れていた。
神様は私のことを救おうとしてくれてる。
チャンスをくれている。
そんな気がして、家から飛び出した。
とにかく遠くへ。遠くへ。
お父さんから見つからないように。
私は必死だった。
靴も履かず、素足で走った。
小石を踏むたび痛みが走ったが、どうでもよかった。
少し走ると、いつも窓から見えているカップルが歩いていた。
私はすがりつくように。
「助けて。助けて。」
必死な私を二人は状況を飲み込めていない。
「助けて。助けて。」
私は二人に言い続けた。
靴も履いていない。
服もボロボロの私は二人にどのように見えているのだろうか…。
女の人の方が先に
「どこのおうち?」
「助けて。助けて。」
私はその言葉を繰り返すしかなかった。
後ろから声が聞こえた。
「夏海ー。どこに行っていたんだ。父さんとても心配だっんだぞ。迷っただけだ。安心しろ。
」
優しい声の主はお父さんだった。
そして
「娘を助けてくださったんですね。ありがとうございます。」
と丁寧にお父さんはお礼を二人に言った。
「お父さんを探していたのね。お父さんから離れちゃダメだよ。」
と、女の人は言った。
そんな。違う。助けて。
「本当にありがとうございました。さぁ、夏海。家に戻ろう。」
お父さんは私の手をひいて歩き始めた。
私は何も言えなくなってしまった。
家に戻ると、いつも以上に殴られ蹴られた。
「もう変な真似するんじゃねーぞ。」
それはとてもとても怖い顔だった。
私の足を折り、今度こそ逃げられなくなった。
お父さんはというと、最近家にこもりがちになった。
私を見張るためかもしれない。
そんなある日、家に手紙が届いた。
お父さん宛だが、少し変な手紙だった。
『まくらを売っております
ドイツ産のものです。
家計にとてもやさしいです。
らくらく便でお届けが可能です。
さぁあなたもこのまくらを買いましょう。
携帯からでも、Webからでもご注文いただけます。
別途料金で枕カバーも購入可能。』
という枕の宣伝の手紙…チラシのようだ。
お父さんはくだらないチラシだと言って、丸めます。
その様子を私がいたことが面白くなかったのだろう。
「何見てやがる。」
と、私の襟を掴みます。
「ととと時計みみみ見てただけです。」
すると、お父さんの携帯電話に着信が。
「なんだよ。
おお!美代ちゃんだ。
金をつぎこんだかいがあったな。」
私を殴るのをやめて、電話に出ていた。
いつもの声でなく、なよなよしたようなお父さんの声だった。
私はチラシをもう一度見た。
『まド家楽さ携別』
私は恐る外を見た。
すると、あのカップル二人がチラチラっとこっちを見ていた。
さけべばいい。でも、それでもダメなら、またお父さんに殴られる。
でも、でも、助かるかもしれない。
私は夢中で窓から顔を出した。
しかし、のどを最近殴られて、うまく声が出なかった。
それでも叫んだ。
すると、お父さんが急いで私を窓から引き剥がした。
「なんてことしやがる!殺されたいか!」
お父さんの顔はいつも以上に怖かった。
殴ろうとしたその時だった。
ピーンポーンとチャイムが鳴る。
「松崎さん。お届けものです。」
どう感じてもこんな都合よく宅配が届くわけがない。
警察かもしれない。
助かった。
私は安堵する。
すると、私を抱えながらお父さんが玄関まで行く。
その手には包丁が…。
もしかして…
ドアを開けた瞬間、やはり警察だった。
「みろ!お前たちが動けば、こいつを刺す。」
警察官の顔が強ばる。
「へへへ。」
私は殺されるのか…。
何もない人生だった。
と悟った。
すると、警察官から隠れるようにあのカップルがいた。
私はあのカップルのように笑い合う人と出会いたかった。
もう終わるなんて、いやだ!
私はお父さんの手をがぶりと噛んだ。
すると、お父さんの腕が少し緩んだところを私は腕から離れることができた。
お父さんは警察官に囲まれ、逮捕されていった。
カップルはいつの間にかいなくなっていた。
あの手紙はカップルが書いたものらしい。
その二人は直ぐにいなくなってしまい、私はお礼も言えなかった。
二人にはとても感謝している。
私には子供ができました。
親の愛情というものを受けてこなかった私は、うまく子育てができないと不安だった。
夫はとても優しい人。
二人での子育てなんだから、きっとうまくいく。
そう信じてる!
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