噂の記憶屋さん

亜希野くるり

1話 看板の無い店

私…あの子を…○しちゃった…
…私もいっそ…

「…ねー!アイ、聞いてる?」
「…えっ!?」
「やっぱり聞いてない…」
「ご、ごめん…何の話?」

ここは、私立堅木山高校しりつかたぎやまこうこう
私、楠木藍くすきあいはこの高校2年生。
この高校では今、あるお店が噂になっている。

「んもう!もっかい話すよ?よーく聞いててね!」
「あ…うん」

まさか。そんな話あり得るわけない
私が友達から聞いたのは、
「3つのお店の存在」
その1つがこの街にあるそうだ

「記憶屋さん…かぁ…」
考えるたびに歩くスピードが遅くなっていく
「わっ…」
急に強い風が吹いてきて、歩く足を止めた。
咄嗟とっさに目を瞑る

「…あれ…ここ、何処だろう…」
瞑っていた目を開けると知らない風景が広がっていた。
出歩いている人は一人もいない
「道に迷っちゃったのかな…戻ろう」
くるっと後ろに振り返る。
「…お嬢さん、いらっしゃいませ」
すると次は何処かの店前に立っていた
中から黒いドレスを着た女性が手を降っている
何の店なのか、看板を探すが何処にもない
「…お客様…何をお探しで?」
「看板は…このお店は何ですか…?」

店主はニヤリと笑う
「看板なんぞありません。なんせ此処はトクベツ店ですから」

特別…?
少しして思い出した。3つのお店の事を

「それは…このお店…?」

「お客様…どうか致しましたか?」
店主の黄色い瞳が怪しげに光る

「えぇっ…と」

「お客様、悩み事がある様ですね…」

バクッ
心臓が裏返ったかの様だった
「ど、どうして…」

店主が更に続ける
「言い忘れていました。此処は記憶屋さん。私はミコト。貴方の悩み事…ぜぇんぶ改変出来ちゃいますよ♪」

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