異世界の錬金術

cicada

第六話 試験期間って全休の日ができるからいいわぁ~

どうも~、皆のアイドル、アークちゃんでぇ~す。あれから、一年が経ち、テュカとミカはうちの家事と店の手伝いをしている。

俺はというとすっかり苦手意識を持たれてしまい、敬語で話される始末だ。

はぁ、なんで自分の家で少し肩身が狭くならにゃならんのだか。というわけで、俺は今、東の森林に来ている。理由は、薬草採取である。5才になったから家の手伝いが始まったのだ。

前世では、初等教育が始まる時期だが、この世界の教育機関は13才から19才までの6年間で、貴族の通う魔法学院だけである。

うちはしがない道具屋で、5人兄弟なので俺が学院に行けるかどうかは絶望的だろう。

そうそう、俺には妹が二人いたのだ。妹の方には嫌われまいと、世話をし続けたかいもあり、見事にお兄ちゃん子に成長してくれた。

早く、帰って妹たちと遊ぼう。俺の心のオアシスよ。待っていてくれぇ~。

俺はさらに進化した『索敵 改』で、薬草の生体電位を読み取り。次々と採取していった。

「こんなもんか、ん?なんだあれ。」

俺の視線の先には、馬車が一台止まっている。ちなみに、距離は2km先である。俺には正確には、見えているわけではない。『索敵 改』の馬車の金属部分の等電位面を読んだのである。

他にも、人型の金属が棒状の金属を持って、ぶつかり合っているのも感知できる。

うーむ、これはぁ。

「面倒ごとってやつかぁ。」

自分の利益だけを考えるなら、無視するのがいい。俺の力が白日の下にさらされる危険性が増すだけだ。

だが、そんなことは関係ない!俺は、テンプレ展開を見逃すようなへまはしない!!

ふうはははは!!きっとあの馬車には、どっかのお姫様とかそんな感じの女の子が、乗っているに違いない!!!フラグを立てるのだああああ!!!

やはり、彼はバカである。

「ひゃっはー、とっととくたばっちまいなぁ!」

状況はすでに乱戦模様であった。しかし、どちらに味方すればいいのかわからない。どっちもおっさんなのだ。ちっさいおっさんとでっかいおっさんの乱戦とか、誰得の光景が広がっている。

「あれ、ドワーフかなぁ。」

「みなのもの!!この宝剣だけは死守するのじゃぁああ!!」

「「「おおおおおおおお!!!!」」」

幼女だ!!!ちっさいおっさんたちのリーダーはロリっ娘だぁ!!!!

鳥飼英次はバカである。

どおおん!!!

その轟音に、誰もが土煙の中心に注意を向ける。そして、そこから現れる5歳児の言い放った一言に、誰もが一瞬の隙をつくってしまった。

「そこのお嬢ちゃん!!手助けするからおデートしない!!!」

おバカである。




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