乙女ゲームの世界に転生しました。ヒロイン?悪役令嬢?いいえ、攻略対象です。
どうしてこうなった
「えーと…これ、どういう事…?」
いつも通り布団に潜り込んで気持ち良く夢の世界へ旅立った筈の私は、ぼんやりと意識が浮上するのに従って、まだ重い瞼を持ち上げた。すると、真っ先に視界に入ったのは見知らぬ天井。
よし、夢だな。
だってそうだろう。住み慣れたオンボロアパートのベッドで寝た筈なのに目が覚めたら別の場所に居るとか。なにそれ怖い。なに?私誘拐されたの?いくら寝てたからって、全く気付かれずに連れ去るとか出来るの?まさか薬でも盛られてたとか言っちゃう?
そこまで考えて、ふと、さっきの自分の台詞が耳慣れない声で聴こえた事に気付いた。風邪でも引いたかな、と思って試しに声を出してみる。
「ぁー…あ?あーあー…」
うん、喉痛てめるとか鼻声とかもはやそういう次元じゃない。誰だこれ。一応成人済みで、それなりに上背もある私の声はこれといった特徴の無いアルトだった筈だ。なのに、今聴こえる声は女の子の甲高さとは違う、どちらかというと声変わり前の男の子の様な高音。
「どういう事…?」
最初の疑問をもう一度繰り返す。ひとまず、状況を確認しようとして…固まった。まず真っ先に視線を向けたのは自分の手。学生時代は球技をやっていたお陰で平均より一回り程大きく、スキンケアなど一切していない為に荒れ放題だった私の手は今、驚く程に白くすべすべした、椛みたいなちっちゃなそれに変わっていた。
おーけー、落ち着こう私。二回程深呼吸して、改めて自分が置かれている状況を確認する作業に戻る。部屋の中を見渡すと、ごく普通の一般庶民の私には縁の無さそうな、見るからに高級品と分かる家具やら調度品やらが置かれている。
うん、今私が乗っかってるベッドもすんごいびっくりする位ふっかふかだもんね。
となると、ここはどこかのお金持ちな人の家なんだろうか。だとしても私がここに居る理由にはならないと思うけど。
いまひとつ状況が掴めなくて、引き続き辺りを見回していると、ある物が目に入った。…鏡だ。
そこには、『私』とは似ても似つかない人物が映っていた。
柔らかそうな金色の髪に、まん丸に見開かれた淡い空色の瞳。驚く程に白い肌に血色の良いほんのりと色付いた頬。怖い位整った顔立ちで、将来イケメンになるのが確定しているであろう、およそ5歳か6歳の…『少年』
あっれー、おっかしいなー。私一応(よくまな板とか言われるけど)生物学上は女の筈なんだけどなー。そして両親祖父母といった、私が把握してる限りの親族もみんな日本人の筈なんだけどなー。ていうか、成人してるのになんで5歳児(推定)になってんの?意味が分からない。
あれか?なんか魔法使いの物語に、望みを移す鏡とかいうのがあったけど、あれの同類か?え、私こんな願望持ってたの?マジで?……無いわー…。
なにはともあれ、今がどういう状況なのかが全く分からない以上、下手な行動は起こさない方が良いんだろう。何か分かるまでこの部屋で大人しくしているしかない。
困惑だとか、私をこの状況に陥れただろう原因への怒りだとか、ほんの少しの好奇心だとかそういうのを全部ひっくるめて大きな溜め息を吐く。
「本当に…どうしてこうなった…」
いつも通り布団に潜り込んで気持ち良く夢の世界へ旅立った筈の私は、ぼんやりと意識が浮上するのに従って、まだ重い瞼を持ち上げた。すると、真っ先に視界に入ったのは見知らぬ天井。
よし、夢だな。
だってそうだろう。住み慣れたオンボロアパートのベッドで寝た筈なのに目が覚めたら別の場所に居るとか。なにそれ怖い。なに?私誘拐されたの?いくら寝てたからって、全く気付かれずに連れ去るとか出来るの?まさか薬でも盛られてたとか言っちゃう?
そこまで考えて、ふと、さっきの自分の台詞が耳慣れない声で聴こえた事に気付いた。風邪でも引いたかな、と思って試しに声を出してみる。
「ぁー…あ?あーあー…」
うん、喉痛てめるとか鼻声とかもはやそういう次元じゃない。誰だこれ。一応成人済みで、それなりに上背もある私の声はこれといった特徴の無いアルトだった筈だ。なのに、今聴こえる声は女の子の甲高さとは違う、どちらかというと声変わり前の男の子の様な高音。
「どういう事…?」
最初の疑問をもう一度繰り返す。ひとまず、状況を確認しようとして…固まった。まず真っ先に視線を向けたのは自分の手。学生時代は球技をやっていたお陰で平均より一回り程大きく、スキンケアなど一切していない為に荒れ放題だった私の手は今、驚く程に白くすべすべした、椛みたいなちっちゃなそれに変わっていた。
おーけー、落ち着こう私。二回程深呼吸して、改めて自分が置かれている状況を確認する作業に戻る。部屋の中を見渡すと、ごく普通の一般庶民の私には縁の無さそうな、見るからに高級品と分かる家具やら調度品やらが置かれている。
うん、今私が乗っかってるベッドもすんごいびっくりする位ふっかふかだもんね。
となると、ここはどこかのお金持ちな人の家なんだろうか。だとしても私がここに居る理由にはならないと思うけど。
いまひとつ状況が掴めなくて、引き続き辺りを見回していると、ある物が目に入った。…鏡だ。
そこには、『私』とは似ても似つかない人物が映っていた。
柔らかそうな金色の髪に、まん丸に見開かれた淡い空色の瞳。驚く程に白い肌に血色の良いほんのりと色付いた頬。怖い位整った顔立ちで、将来イケメンになるのが確定しているであろう、およそ5歳か6歳の…『少年』
あっれー、おっかしいなー。私一応(よくまな板とか言われるけど)生物学上は女の筈なんだけどなー。そして両親祖父母といった、私が把握してる限りの親族もみんな日本人の筈なんだけどなー。ていうか、成人してるのになんで5歳児(推定)になってんの?意味が分からない。
あれか?なんか魔法使いの物語に、望みを移す鏡とかいうのがあったけど、あれの同類か?え、私こんな願望持ってたの?マジで?……無いわー…。
なにはともあれ、今がどういう状況なのかが全く分からない以上、下手な行動は起こさない方が良いんだろう。何か分かるまでこの部屋で大人しくしているしかない。
困惑だとか、私をこの状況に陥れただろう原因への怒りだとか、ほんの少しの好奇心だとかそういうのを全部ひっくるめて大きな溜め息を吐く。
「本当に…どうしてこうなった…」
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