実際にあった怖い話。

Lilith(リリス)

君はどこ?

私には幼稚園時代不思議な友達がいた。

名前はモエ。彼女は入園式の時に隣同士で

すぐ仲良くなった。モエはとても活発で

面白くて、優しい子。私はモエが大好きで

毎日モエに会えるのが楽しかった。

モエは私が知らないことも沢山知っていて

私の世界が広がるのを感じていた。

モエは私の親友だったのだ。

でも、ある時、私の身の回りで不思議な、

とても奇妙な出来事が起きたのだ。

モエと私が二人で砂場で遊んでいた時のこと

モエが砂場から綺麗な緑色の石のような

何かを見つけ、私に見せてきた。

「ねぇ!これ、エメラルドだよー!丁度2つあるから二人で1個ずつね!親友の証!」

と私に一つくれた。

その直後、厳しくて、怖いと皆が苦手な

先生がこちらに寄ってきて、

「その手に持っているものはなーに?」

と聞いてきた。私はすかさず

「モエがくれたの!親友の証!」

と言って先生に見せた。

先生は手に取ると、

「これは、ガラスの破片です。先も尖っていて危ないから私が預かります!」

と鬼のような形相で親友の証を持っていって

しまいました。私はうなだれて、

モエに謝ろうとしました。

しかし、モエはその場から消えていたのです

私はモエを探して外遊びの時間中走り回り、

ヘトヘトになりましたが、モエは見つかる

ことはありませんでした。

おやつの時間も帰る時間も。

先生も友達も誰もモエのことを気にして

いませんでした。まるで、いないかのように

次の日、モエは幼稚園に来ませんでした。

というより、この日を境にモエとは会って

いないのです。

最初、モエが風邪やインフルエンザに

かかってお休みしているだけかと

思いましたが、1ヶ月経っても来ないのです

私は心配になり、例の怖い先生に

「先生!モエは大丈夫なの?」

と聞いた時、先生の顔が青ざめていると

いいましょうか、とても不思議な表情

でした。そして、こう言ったのです。

「モエちゃんは急に遠くに行くことになったの。だから、簡単には会えないわ。」

私は幼いながらにすごくショックを受けました。

そして、それから2年の月日が経ち、

私は幼稚園を卒園しました。

とても、とても、綺麗な青空だったのを

今でも憶えています。

あの砂場にお別れしに行った時、

ふと、さよならと言うモエの声が聞こえた

ようなそんな気がしました。

今でもよく憶えています。

それから、数年後、

私は小学校を卒業しました。

私は卒業したのを機に幼稚園のアルバム

を見ることにしました。

どこにもモエが写ってないことに気がつき

ました。入園式の写真も、納涼祭の写真も、

運動会の写真にも、クリスマス会の写真も。

一枚も無いのです。たった一枚も。

まるで、はじめからいなかったかのように。

私は、入園式のビデオを回しました。

モエは......いなかった。

私は幼稚園からの幼なじみにモエのこと

憶えているかと聞きました。

「モエって人はいなかったけど、お前よく一人でいなくなっていたよな。モエってよく言っていたような記憶はあるけど。」

私は血の気が引きました。

そして、察しました。

モエはこの世のものではなかったのだと。

そう考えれば、あの時の先生の表情に

納得がいきます。

きっと、先生は幼い私を傷つけないよう、

言葉を選んでくれていたのでしょうね。

私の中でこの先生に出会えたことは、

この件以外にも沢山の優しさ、厳しさ、

強さを貰えました。一生の宝です。

今でもたまに、幼稚園の前を通るとモエが

今もそこにいるような気がします。




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