異世界三大異能力 ~俺たち兄弟が無双する~
第1話
家族が、いや兄弟がバラバラになりそうな時、貴ならどうするだろうか?
例えば、両親が事故で死亡し、兄弟3人が親戚の家にバラバラに引き取られそうになった時なら……。
まだ18歳になったばかりの長男である私は、親族一同に向かってこう言ってやったのだ。
(ぴぴぴぴぴぴっー)
どれも似たり寄ったりの携帯電話のアラームで目を覚ます。
あたりを見れば六畳間の部屋にはこの御堂家の兄弟3人が辛うじて暮らしている。
狭い部屋にギリギリ三枚の布団を敷いて寝ているため隣を見れば三男の三成が腹を出して寝ていた。
「うーん、やっぱソニーだね」っと訳のわからん事を寝言にしながらお腹をかいている。
もう一人の弟の二成を探すが見当たらない、もう起きているのだろう。
もう一度、寝たくなる気持ちを必死に我慢し、睡眠への欲求に抗いつつ布団から洗面所に向かう。
すると、キッチンで手際よく調理をしてる主婦・・、いや主夫の次男の二成が朝食の支度をしている。
「おはよう、兄さん。」
「おはよう、二成。」
同じ遺伝子が入っているのか不安になるぐらいのイケメンが雛(ひよこ)プリントのエプロンを付けて味噌汁の味見をして「うんっ完璧」とウィンクしている。
ここに世の女性がいたら黄色い悲鳴が鳴り響いたに違いない。
ちなみには最近人気急上昇中のイケメン俳優なのだが、二成(ふたなり)ではなく成二(せいじ)と言う芸名で活動している。
「兄さん、朝ご飯は食べれますか?今日は兄さんの大好きなほうれん草のお味噌汁です。」
「おおぉ、食べる食べる。先にシャワー入るから。」
エプロンの似合いすぎる次男の返事を待たずにシャワーに向かう。45度と熱い湯で眠気を覚ますのが大好きで、昨日見たドラマのエンディング曲を口ずさみながらシャワーを浴びる。
「ふーん、ふっふふーん。ぼんぼん」
ガチャっ。三男が起きたのだろうか三堂家はユニットバスなので風呂とトイレは薄いカーテンだけである当然鼻歌は三男の三成に聞かれた、朝から笑わせないでくれと鼻歌を馬鹿にされた。
「兄貴、ちゃんとシャワーの温度戻してくれよ。いつも熱くてびっくりするの俺なんだからな。」
「あー、気を付けるよ。いや、確認してから使用するばいい話じゃないの?ってもう居ないし…はぁ~。」
こうして独り言は増えていくのだろうか、一家の大黒柱たる私がこれではイケない。
浴槽を見れば流れていく抜け毛を眺めつつ、父さんもこんな思いをしていたのだろうか。
今は亡き父に同情するも腹が減って来たため気持ちを切り替え洗面所を後にする。
居間の布団は片付けられ、ちゃぶ台に出来たてであろう朝食から湯気と食欲をそそる匂いが胃袋を刺激する。
今日の献立はご飯、ほうれん草の味噌汁、卵焼き、漬物、納豆だ。
「兄さん、ご飯が出来てます。」
「兄貴、飯食おうぜ。」
「じゃあ「「頂きます」」」
この狭い六畳間の食卓で家族三人で朝食をとる日常を目にし、あの時の自分の選択は正しかったと誇らしく思った。
ガチャガチャガチャガチャ
しかし、僕たち兄弟は顔も性格もまるっきり似てない。いっそ兄弟じゃないって方が信憑性があるのだが家族とは血や容姿のみで判断出来るものではなく、目が合えば自ずと何を伝えたいか理解し合えると私は思う。
ガチャガチャガチャガチャ
隣では欠食児童の様な、いやどこぞの戦闘民族の食事シーンを彷彿させる食べっぷりで3倍目のどんぶりをお代わりする三男を横目にまだ1切れしか食べてない卵焼きに箸を伸ばすが、箸が卵焼きに触れる瞬間に日本人が誰もが聞き知る シュッン っと言う効果音と共に卵焼きが一つ二つと シュッン、シュッン っと消えて行く。
まるで瞬◯移動じゃないか、うちの弟は遂に食卓の中でも最強になってしまった様だ。
卵焼きはもう一切れも残ってない。偉い人が言っていたではないか卵焼き無ければ納豆で食べれば良いと納豆さえ在ればおかずはいらない…無理やり私はそう思う事にした。
(納豆は偉大だ。)
※
始発の電車に揺られながら1時間の通勤時間を利用しての趣味である電子書籍を読みながら始発の閑散としている電車に揺られ都心部に向かう。
職場には、まだ誰も居ないため静寂さが心地よい。少しすると最近入社した新人くんとベテラン女性さんが挨拶しながら出社してきた。
「御堂先輩、おはようございます。」
「あら、御堂くんおはよう。」
「おはようございます。」
二人は離れた自分たちのデスクに座り話を続ける。
「なんで御堂先輩、モテないんですか?真面目だし、優しいし、仕事出来るじゃないですか?」
「しー、声が大きいわよ。カミよ…髪…神に見放されると婚期を逃すのよ。大事にしなさい。」
後輩は頭を押さつつ大きい声でオーマイガーと神に祈った。
(二人とも聞こえてるよ、まったく好きで禿げた訳ではないのに…。)
当たり前の業務、定時通りの退勤、ウチの職場は歓送会や会社の集まり以外の退社後の飲みにケイションを禁止している。情報漏洩の防止とかパワハラ対策とかだっけ…まぁーいいや。
帰宅の電車に揺られ、いつもと同じように電子書籍を読む。
「兄さん?」
「兄貴?」
ばったりと最寄り駅で兄弟三人が揃うと言う珍しい出来事に驚いた。折角なので今日は奮発して焼き肉にするかと提案してみたところ、想像以上の食い付きである。
「やったー。焼き肉だぜ、うっひょー。」
「いいですね、焼き肉。この前、社長にご馳走になった焼き肉屋が美味しかったです。ここから近いからそこにしませんか?」
「辞めてくれ、一皿1500円とかの焼き肉屋はお財布に悪い。」
「兄ちゃん、オレも高い焼き肉屋に一度でいいから行きたい。そして、死ぬ程食いたい。」
「三成にはまだ早いですよ、大人になってからですね。」
「くそー、早く大人になりたい。」
高い焼き肉食いたさに大人になりと思う弟(みつなり)の素直さに弟(ふたなり)と思わずニヤケてしまう。
「「あははは~。」」
和やかさを壊すように悲鳴が聞こえる。
きゃああぁぁ~
振り向くとそこには凄い勢いで歩道に突っ込んで来た大型トラックが迫って来ていた。一直線に私たちに向かって肉薄する。
「二成、三成、逃げ…」
二人を突き飛ばそうとしたが、咄嗟に何も出来なかった。何が二人は私が育てますだ、助けられずに死ぬのか。
「くそっ、駄目だ間に合わない。時間よ止まってくれ~。」
一成の必死の身動きでも二成と三成を少し吹き飛ばす事しか出来ず、私の意識はそこで途切れた。
例えば、両親が事故で死亡し、兄弟3人が親戚の家にバラバラに引き取られそうになった時なら……。
まだ18歳になったばかりの長男である私は、親族一同に向かってこう言ってやったのだ。
(ぴぴぴぴぴぴっー)
どれも似たり寄ったりの携帯電話のアラームで目を覚ます。
あたりを見れば六畳間の部屋にはこの御堂家の兄弟3人が辛うじて暮らしている。
狭い部屋にギリギリ三枚の布団を敷いて寝ているため隣を見れば三男の三成が腹を出して寝ていた。
「うーん、やっぱソニーだね」っと訳のわからん事を寝言にしながらお腹をかいている。
もう一人の弟の二成を探すが見当たらない、もう起きているのだろう。
もう一度、寝たくなる気持ちを必死に我慢し、睡眠への欲求に抗いつつ布団から洗面所に向かう。
すると、キッチンで手際よく調理をしてる主婦・・、いや主夫の次男の二成が朝食の支度をしている。
「おはよう、兄さん。」
「おはよう、二成。」
同じ遺伝子が入っているのか不安になるぐらいのイケメンが雛(ひよこ)プリントのエプロンを付けて味噌汁の味見をして「うんっ完璧」とウィンクしている。
ここに世の女性がいたら黄色い悲鳴が鳴り響いたに違いない。
ちなみには最近人気急上昇中のイケメン俳優なのだが、二成(ふたなり)ではなく成二(せいじ)と言う芸名で活動している。
「兄さん、朝ご飯は食べれますか?今日は兄さんの大好きなほうれん草のお味噌汁です。」
「おおぉ、食べる食べる。先にシャワー入るから。」
エプロンの似合いすぎる次男の返事を待たずにシャワーに向かう。45度と熱い湯で眠気を覚ますのが大好きで、昨日見たドラマのエンディング曲を口ずさみながらシャワーを浴びる。
「ふーん、ふっふふーん。ぼんぼん」
ガチャっ。三男が起きたのだろうか三堂家はユニットバスなので風呂とトイレは薄いカーテンだけである当然鼻歌は三男の三成に聞かれた、朝から笑わせないでくれと鼻歌を馬鹿にされた。
「兄貴、ちゃんとシャワーの温度戻してくれよ。いつも熱くてびっくりするの俺なんだからな。」
「あー、気を付けるよ。いや、確認してから使用するばいい話じゃないの?ってもう居ないし…はぁ~。」
こうして独り言は増えていくのだろうか、一家の大黒柱たる私がこれではイケない。
浴槽を見れば流れていく抜け毛を眺めつつ、父さんもこんな思いをしていたのだろうか。
今は亡き父に同情するも腹が減って来たため気持ちを切り替え洗面所を後にする。
居間の布団は片付けられ、ちゃぶ台に出来たてであろう朝食から湯気と食欲をそそる匂いが胃袋を刺激する。
今日の献立はご飯、ほうれん草の味噌汁、卵焼き、漬物、納豆だ。
「兄さん、ご飯が出来てます。」
「兄貴、飯食おうぜ。」
「じゃあ「「頂きます」」」
この狭い六畳間の食卓で家族三人で朝食をとる日常を目にし、あの時の自分の選択は正しかったと誇らしく思った。
ガチャガチャガチャガチャ
しかし、僕たち兄弟は顔も性格もまるっきり似てない。いっそ兄弟じゃないって方が信憑性があるのだが家族とは血や容姿のみで判断出来るものではなく、目が合えば自ずと何を伝えたいか理解し合えると私は思う。
ガチャガチャガチャガチャ
隣では欠食児童の様な、いやどこぞの戦闘民族の食事シーンを彷彿させる食べっぷりで3倍目のどんぶりをお代わりする三男を横目にまだ1切れしか食べてない卵焼きに箸を伸ばすが、箸が卵焼きに触れる瞬間に日本人が誰もが聞き知る シュッン っと言う効果音と共に卵焼きが一つ二つと シュッン、シュッン っと消えて行く。
まるで瞬◯移動じゃないか、うちの弟は遂に食卓の中でも最強になってしまった様だ。
卵焼きはもう一切れも残ってない。偉い人が言っていたではないか卵焼き無ければ納豆で食べれば良いと納豆さえ在ればおかずはいらない…無理やり私はそう思う事にした。
(納豆は偉大だ。)
※
始発の電車に揺られながら1時間の通勤時間を利用しての趣味である電子書籍を読みながら始発の閑散としている電車に揺られ都心部に向かう。
職場には、まだ誰も居ないため静寂さが心地よい。少しすると最近入社した新人くんとベテラン女性さんが挨拶しながら出社してきた。
「御堂先輩、おはようございます。」
「あら、御堂くんおはよう。」
「おはようございます。」
二人は離れた自分たちのデスクに座り話を続ける。
「なんで御堂先輩、モテないんですか?真面目だし、優しいし、仕事出来るじゃないですか?」
「しー、声が大きいわよ。カミよ…髪…神に見放されると婚期を逃すのよ。大事にしなさい。」
後輩は頭を押さつつ大きい声でオーマイガーと神に祈った。
(二人とも聞こえてるよ、まったく好きで禿げた訳ではないのに…。)
当たり前の業務、定時通りの退勤、ウチの職場は歓送会や会社の集まり以外の退社後の飲みにケイションを禁止している。情報漏洩の防止とかパワハラ対策とかだっけ…まぁーいいや。
帰宅の電車に揺られ、いつもと同じように電子書籍を読む。
「兄さん?」
「兄貴?」
ばったりと最寄り駅で兄弟三人が揃うと言う珍しい出来事に驚いた。折角なので今日は奮発して焼き肉にするかと提案してみたところ、想像以上の食い付きである。
「やったー。焼き肉だぜ、うっひょー。」
「いいですね、焼き肉。この前、社長にご馳走になった焼き肉屋が美味しかったです。ここから近いからそこにしませんか?」
「辞めてくれ、一皿1500円とかの焼き肉屋はお財布に悪い。」
「兄ちゃん、オレも高い焼き肉屋に一度でいいから行きたい。そして、死ぬ程食いたい。」
「三成にはまだ早いですよ、大人になってからですね。」
「くそー、早く大人になりたい。」
高い焼き肉食いたさに大人になりと思う弟(みつなり)の素直さに弟(ふたなり)と思わずニヤケてしまう。
「「あははは~。」」
和やかさを壊すように悲鳴が聞こえる。
きゃああぁぁ~
振り向くとそこには凄い勢いで歩道に突っ込んで来た大型トラックが迫って来ていた。一直線に私たちに向かって肉薄する。
「二成、三成、逃げ…」
二人を突き飛ばそうとしたが、咄嗟に何も出来なかった。何が二人は私が育てますだ、助けられずに死ぬのか。
「くそっ、駄目だ間に合わない。時間よ止まってくれ~。」
一成の必死の身動きでも二成と三成を少し吹き飛ばす事しか出来ず、私の意識はそこで途切れた。
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