生きて世界を見て廻る

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第2章 地下水路 1節 戦後間も無く

あの戦いから3日経った日、3人は先の戦いの報酬が払われる為ギルドへと足を運ぶ。
戦いは無かったかのように町は平和であった。
「町が無事で良かったです」
「そうだね、門付近で防げて良かったな」
「ソーラとかの後衛が頑張ったお陰」
「ああそうだな」
そんな話をしながらギルドに入る、中には他の冒険者の姿もありすでに報酬を貰ったのか喜んで騒いでいる。
「あっ!ルートさん!こっちです!」
受付のアイリーナが手を振り誘導する。
「報酬を受け取りに来ました」
「はい!準備出来ております!こちらが金貨一人分で30枚です!」
「以外と貰えるんですね…」
金額に驚く。
「活躍が多かったですからね、それで…」
笑顔だったアイリーナの顔が真面目な顔に変わる。
「お三方は…国にお呼び出しがかかっておりまして…」
「え…」
「ルートなんか悪いことした?」
「待て俺は何もしてないぞ無実だ」
「呼び出し理由は何?」
「えぇ…と…ボスであるバードンに遭遇した者だからだそうです」
「あっなるほど」
戸惑いから一瞬で理解する。
「明日城までとの事です…」
「はいはいお城ね…しろ!?」
「はい…中心のお城です」
「嫌な予感しかしない」
「大丈夫ですよね…」
「城門まで行ったら中の人が案内してくれるみたいです」
「はぁ…とりあえず行くか…」
お城と言う凄い所に行くのに気持ちが高まらないルートだった。




報酬を受け取った後アニスと分かれサナと2人で教会へと向かった。
「神父さん居ます?」
ガチャッとドアを開けて中に入る。
「えぇ…おりますよ、何の用でしょう?」
まるで来ることが分かっていたかのようにタール神父は準備万端だった。
「ルートのスキルをもう一度調べて欲しい」
「えぇ…分かりましたが今回はお金を頂きますよ」
「勿論」
「あっ意外と話が早いのね」
「ルート急いで」
「えぇ…では始めます」
神父は右手を前に出し目を閉じる、すると急に目を見開いて驚く。
「えぇ…これは…」
「何かわかったの?」
「えぇ…前に見たときとは内容が少し変化しておりました」
「確か前回は冥府の加護が付いてるとかだったな」
「能力が出てきたとか?」
「えぇ…多々かすれてて読めませんが各身体能力強化する…としか」
「それだけ?」
「えぇ…前文に何かあるようですが見えないのです…」
「戦闘があったか何か変わってると思ったけど情報はこれだけか…」
「えぇ…戦闘時何があったか教えて貰えませんか?」
「わかりました」
3人は教会のやたら長い椅子に座り話す。
「まず俺はオーガの一撃を耐えました」
「えぇ…オーガの攻撃はまともに受ければ骨が折れるくらいですね…」
「ですが無傷です、そして敵のボス魔王軍であるバードンと言う奴の当たったら爆発するレーザーを何度も直撃しました、ですが」
「えぇ…無傷と…」
「身体強化のお陰でこうなったとかですかね」
「それだったら圧倒的な防御力だね」
「えぇ…魔王軍の攻撃をも防ぐ防御力ですか…」
「現時点で分かるのはこれだけ?」
「えぇ…そうですね…」
「そうですか…ありがとうございます!じゃあ俺らは他に用があるので行きます」
「えぇ…ご活躍期待しております…」
「はい!じゃあまた!」
「えぇ…少々お待ちを」
2人が外に出ようとしたところを神父に止められる。
「何ですか?」
「えぇ…お金を頂いてません」
「あ…」
その後しっかり金貨1枚払った。




教会を後にし次はある店へと向かった。
「おーい!やってる?」
「うるせぇな!店の看板見ればわかるだろ!」
「親父!客だよ!」
「客だろうと愛想はいらねぇ!」
ルートが店に入り様子を確認しただけでこの騒ぎである。
「相変わらずだね」
「サナさん!」
「久しぶり」
「親父さん!武器を探しに来たんだが」
「ルートさんも!」
「よっ!」
「私も武器を見たい」
「どうぞどうぞ!見ていって下さい!」
まずここは武器防具屋である、魔王軍との戦い前に発見した店だ、戦い前に持ってきたもう1本の剣を買ったのもここだ、そしてここの親父であるロックは大変うるさい本人曰く「これならいつ元気じゃないかわかるだろうと」意味がわからん…。
そしてその息子であるヒットはうるさい親父とは正反対で物静かで優しい少年である。
「それで!どんなんが欲しいんだ!」
「普通の剣が欲しいんだが…」
「はぁ!剣!?前も買っただろう!!」
「前のは…折れちゃって…」
前の剣はユニークモンスターであるオーガと戦った時に目に刺したまま放してしまい回収しようと確認した時には持ち手が無くなり刃は折れていた。
「折っただと!どんな使い方したらそうなる!」
「モンスターと戦ってて…刺して放置してたら…ね」
「ね…じゃねぇ!1本作るのだって簡単じゃないんだぞ!」
「落ち着いてよ親父」
「親父さんうるさいよ」
「たく…どんなんが欲しいんだ!」
「前のは少し重かったからもう少し軽めで振りやすいのをお願いしたいな」
「じゃあこれはどうだ、前より短めで少し太めだから耐久性も十分だ」
親父は店に飾ってある物を出す。
「いい感じだ、手に馴染むな」
「そら良かったな」
「親父さんこれにするよ」
「毎度あり!」
店の物が揺れるほどの大声で言うので流石に3人とも耳をふさいだ。
「それで…サナさんは何が欲しいのですか?」
サナは悩んだ顔をしそれと同じにピンと立った耳も下がる。
「弓なんだけど…あるの?」
「あー弓は…無いですね」
ヒットは少し困り顔になる。
「あん?弓だぁ?」
「うぅ…そうだけど無いんでしょ?」
急に大声で話に入ってくるロックに耳を押さえるサナ
「あるにはあるが…材質にこだわりはあるか?」
「特には無いけど…」
「めっちゃダサいのとかじゃないのか?」
「まあ見てなって!」
そう言うとロックは店の裏までそれを取りに行った。
「ヒットはどんなのか知ってるのか?」
「知らないですね」
「ガラクタとかじゃないよね」
「それは…無いと…いいですね」
「息子に信じて貰えない親父さん…」
しばらくするとロックが戻ってきた、すると手には通常の剣より少し長めの剣を持ってきた。
「親父さん…弓って言ったよね」
「だから持ってきたんだろ!」
剣を机の上に置きドヤ顔で威張るロック。
「どう見ても剣だぞ?これ」
「まあ見てろって!」
そう言うとロックは剣を手に取り、持ち手にあるボタンを押す、すると刃が縦半分に分かれ持ち手が回転する。
「「「な!」」」
3人とも普通の剣には無い動きに驚く。
そして剣は形を変え、弓へと変形した。
「親父さん…これ…」
「どうだ!カッコいいだろ!遠距離、近距離、完璧に対応可能の武器、弓剣だ!」
「親父これどこで手に入れたんだ?」
「おい!ヒット!俺が作ったって考えは無いのか!」
「無いよ」
「無いな」
「無いね」
満場一致である。
「おい!!まあいい…これはな俺の親父が作ったもんだ」
「手入れ大丈夫?」
「ああ大丈夫だ!」
サナはそれを持ち構える。
「少し重い…けど使えない事はないね」
「素材は何で出来てるんだ?」
「少量のアダマンタイトと鉄の合金だ」
「アダマンタイト…」
素材を聞き少し困った顔をするルート。
「なあ…」
「どうしたの?」
「アダマンタイトってなんだ?」
「そこからかよ!」
「えぇ…ルートさん知らないんですか?」
「なんかすごい金属としか…」
ルート以外の3人は呆れた顔をする。
「アダマンタイトって言うのはな、火山付近の地下深くで稀に採れる貴重な素材だ、これを少量でも使うと魔力の通りが良くなるんだ」
「つまりどう言うことだ?」
「つまりな魔法を武器に付与すると威力が上がったりして精度が良くなるんだ」
「サナにピッタリじゃないか」
「でも飛ばすのは矢だから」
「「「あ…」」」
武器の欠点に気がついた3人。
「で…でも剣なら大丈夫だよ!」
「はぁ…まあいいやこれいくら?」
「あー実はずっと買い手がいなくて困ってたからな…在庫処分みたいなもんだからな…」
「でも貴重な素材使ってるんでしょ?」
「あー保留でいいか?」
「保留?」
「正直アダマンタイトの値段がよく分からないからな…とりあえずプレゼントってことで後で支払って貰うよ」
「そう言うと事なら貰ってく」
「遠慮ないな」
「貰えるものは貰う」
「ハッ!いい心がけだな!」
「じゃあ親父さんにヒットまた来るよ」
「じゃあね」
「ああ!また来いよな!」
そうして店を後にする2人だった。










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