生きて世界を見て廻る

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1章 18節 戦場跡地

戦いが終わり戦場には、人とモンスターの死体、焼ける匂い、そして疲弊し生き残った者達がそこに残った。
「終った…んですよね…」
「そうだろうね」
「誰なんだ…アイツは…」
ルートの視線の先にはバードンを退けた男が1人立っていた。
「なあ!あんた!さっきは助かったよ!」
近づきつつ声をかける、すると声に気づいたのかこちらを向く男、自分が言うのも何だが美青年でキレイだった。
「礼を言われる筋合いはない、ただ任務をこなしただけだ」
「でも凄いよ!同じ冒険者でもこんなに強いなんてさ!」
「あ?」
男はそのキレイな顔で眉をひそめこちらを威嚇する。
「冒険者?俺をお前らの様なクズと同じにするな!」
「クズって…」
「俺は騎士だ国のために働く、だが貴様らは何だ、秩序もなく誇りもなく、私利私欲の為に働く、更には大した力もなく何も産み出さない、これをクズと言わず何と言う」
男は挑発的な態度を取る。
「何だよ…国の為に働くのがそんなに偉いのかよ!」
「ふん…当たり前だ冒険者をやるくらいなら農民の方がマシだぞ」
「お前…言わせておけば!」
ルートは殴りかかろうとしたがサナに抑えられる。
「ルートそれはダメ」
「サナ!」
「ふん…殴ったら反逆罪で逮捕してやろうと思ったのに残念だ」
「あなた名前は?」
「冒険者に名乗る名はないが君達は冒険者である前に女性だ、レディーに粗末な態度は取れない、ゼーシャだもう会うことはないだろうがな」
「ゼーシャさん…ね」
「ゼーシャ…ゼーシャ!?」
名前を聞き驚くアニス。
「なんだ知り合いか?」
「いえ…ですがネール王国に住んでる人なら皆が知ってる名です…」
「人気者なんだな」
「別にそう言うわけでは無いですけど、とにかく凄い噂が絶えない人なんです」
「そうか民衆に俺の名が知れわたってるのか、光栄なことだ」
腕を組み偉そうな態度を取るゼーシャ。
「だーんちょー!」
遠くから声をかけられその場の全員がそちらを向く、その姿はウサギの様な縦に伸びた耳があり肩より少し長い位のピンク色の髪と大きく育った胸を揺らしながら笑顔で手を振りながら向かってくる。
「団長ー生きてた!」
「当たり前だ、俺がこんなところで死ぬと思うか?」
「思わないよ、でも万が一があるからね」
「安心しろ万が一もないゼロだゼロ」
「それなら良かった!でこの人達は?」
「ボスと先に戦ってった奴らだ」
「そうなんだ!無事で良かったね!じゃあ団長!そろそろいこ!」
「あ?あぁそうだな行くか」
「じゃあ!またねー」
「あ…行っちゃった」
「行ってしまいましたね」
嵐の如く現れ颯爽と消える2人。
「ムカつくが強かったな…」
「ルートも強かったよ」
「そうです!ルートさん!よく分からないですけど凄かったです!」
「ありがとうな…でも今は安心して腰が抜けたよ」
「あの攻撃を直撃で耐えるなんてね」
「実は俺にもよく分からないんだけどな」
「加護がどうのって言ってましたね」
「それを調べる必要があるな」
先ほどまで戦場だった場所に腰を降ろし休む3人。
「おーい!ルート!」
再び遠くから声が聞こえる、今度は見覚えのある2人だった。
「ジェイクにラコ!」
「生きてたんだね」
「おうよ!お前達もな」
「3人だけ?」
「おっ!ギルはどうした?」
ジェイクの問にルートとサナは黙り混む。
「あぁ…そう言う事か」
何を話した訳でも無いのに2人の顔を見てジェイクは理解する。
「すまない…」
「分かってたよ…冒険者だからいつかこうなるって…でも…早いよ…」
「ラコ…」
涙を堪えるラコの頭をジェイクが撫でる、それと同時に感情が抑えきれず涙を流す。
「うぅ…」
「……」
このすぐ後に別の冒険者が駆けつけ事後処理が開始された、ギルの死を惜しむ間もなく他の冒険者の死体モンスターの死体を運ぶ。
参加冒険者150名に対し死者数49名、敵総勢約1000体この死者数49名は全員が前衛冒険者である。




王国騎士団長室にて。
「敵総勢1000……モンスターはスケルトン、ランナーウルフ、オーガ…」
「団長どうしたの?」
ゼーシャは結果報告書を確認していると顔をしかめる。
「可笑しいな…」
「何がです?」
「今回の戦いはこの国を潰しに来たのだろ?でもどう考えても戦力が低いモンスターばかりだ」
「そう言われれば……」
「潰すならもっと圧倒的なモンスターを連れてくるだろうに」
「まるで始めから潰す気がなかった見たいな」
「ボスも簡単に引いたからな…別に目的があったと考えるのが妥当…」
「考えすぎでは?」
「考えすぎるのは悪い事じゃない、なあバニー敵の軍勢は最大でどこまで入り込んだ?」
「門を越えてすぐの所まで、門付近で何とか持ちこたえた見たい」
「モンスターの体に異変は?」
「特には…普通のモンスターですね、一種ユニークモンスターが確認されてるね」
「それはどうなった?」
「討伐されたみたい」
「そうか…わからん!」
資料を読むのを諦め上を向く。
「やっぱり考えすぎだよ休憩しよ」
バニーはゼーシャの後ろに回る。
「ほらっ!力抜いて!肩揉んであげるから!」
「あぁ?あぁぁありがと…」
ゼーシャはさっきまでのしかめっ面とは変わってとてもリラックスした顔になる。
「団長は年の割に肩こりすぎだよ!」
「あぁ…悪かったな…そりゃぁ……」
「ほら…目を閉じて…」
「………」
余程疲れていたのかすぐに寝てしまった。
「よしよし…かわいいなぁ…団長は」
「すぅ…すぅ…」
寝息をたて寝るゼーシャ、それを見守るバニー。
「やっぱり考えすぎだよね」





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