生きて世界を見て廻る

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1章 17節 戦乱

「いくよ」
「はい」
「さぁ力を見せてください」
バードンは余裕の構えを見せる、サナはバードンの横に回り込んだ。
「スパイラルアロー!」
サナは矢を放ち移動を繰り返す。
「その様な攻撃では届きませんよ」
バードンは右手を矢の方に向ける、すると矢は手のひらの前で止まり落下する。
「あまりに単調な攻撃ですね」
「サ…サンダーボール!」
サナに気を取られていたバードンは背後からのアニスからの攻撃に反応が遅れた。
「なるほど気を反らし詠唱時間を稼ぎましたか、ですが…」
アニスの攻撃は背中に直撃したが、バードンは無傷だった。
「き…効いてない?」
「その様ですね、実力差と言うやつです」
「でもこの距離ならどう?」
バードンが余裕の構えをしている間にサナはゼロ距離まで接近し矢を放った。
だがバードンはそれをギリギリの所で回避した。
「今のは危なかったですね、ですが」
バードンは腰に下げていた剣を抜きサナに斬りかかる。
「ここまで近付くとは無謀ですね!」
「望む所」
サナは弓を捨てナイフを抜き剣を往なす。
「ほう…ミスリル製のいいナイフですね」
「うるさい」
サナは何度もバードンに斬りかかるがすべて回避される。
「いいナイフですが…使い手がそれでは意味がない」
「サナさん!近付きすぎだよ!」
「大丈夫」
「確かに遠距離ではあなたの矢も魔法も意味がない、ですがそれは接近戦でも同じです!」
バードンは斬りかかるサナを右足でアニスの方へ蹴り飛ばした。
2人はぶつかりその場で倒れる。
「ごめん」
「い…いいえ…はっ!」
アニスが前を向いた時にはバードンが目の前で斬りに来ていた、アニスは自分の死を悟った。
「なんて呆気ない」
剣は目前の所でアニスは目を閉じた、そして剣が当たる直前でそれは起きた。
「ほう…」
一人の剣士がその攻撃を跳ね返したのである。
「全く大丈夫か?サナ、アニス」
目を開けると先ほどオーガに潰されたはずのルートがそこに立っていた。
「ルート?」
「ああそうだ」
「本当に?」
「ああ、まあちょっと待ってろ俺も戦うから」
ルートは服の汚れを払い剣を構える。
「あなたは先ほどの…いや…今は何か違いますね」
「魔王軍の何だか知らないけどここで倒させてもらうぜ」
「ふん…オーガに勝てないで私に勝てるとでも?」
「ものは試しだ」
ルートは先ほどとは比べ物にならない位速いスピードで動き斬りかかる。
バードンもその動きに合わせ対応してくる。
「なるほど実力はあるようですね」
「いや実力は無いぜ、でも今はやれるって感じがするだけだ」
「そんな考えで」
余裕を見せていたバードンが段々と追い詰められていく。
「仕方がありません」
動き回るルートに人差し指を向ける。
「バーストレーザー!」
紫色のレーザーがルートに放たれた、それをギリギリで避ける。
「あぶな…」
避けたレーザーは地面に着弾し爆発した。
「避けましたか…ですが!」
今度は1発ではなく連射してきた。
だがそのレーザーの中しっかり避けつつ着実に接近する。
「なかなかやりますね…でも!」
今度は両手でレーザーを連射する。
「くそ…」
「どうですかこの弾幕の中で接近できますか?」
近付いた距離が段々と遠ざかっていく。
「爆発ばっかりしやがって…環境考えろよ…」
「さぁ!どうです?」
「あっ…」
着弾すると爆発するレーザーを避けるので精一杯だったがルートは足を踏み外してしまった。
「終わりですね!」
その場で膝をつくルートにレーザーが直撃し爆発した、それは何発も何発当たり辺りが黒い煙で覆われるまで撃たれた。
「ルート!」
「ルートさん!」
「残念ですね…せっかく生きていたのに」
不適な笑みを浮かべながらバードンは戦意喪失しているアニスと、下を向くサナに近づいていく。
「あー残念だとても残念だ、ネールの戦力がこれだけとは」
「まだ終わってないぜ」
その声は先ほどの黒煙の中から発せられた。
「どうやら俺はまだ死んでないみたいだ」
「なんですと?」
黒煙が晴れてそこにいたのは無傷のルートだった。
「あれだけのレーザーを受けておきながら無傷…ですと!?」
「ついでにさっきより調子が良いみたいだ」
そう言うとルートは剣を構え直す。
「まさか…貴様!加護持ちか!」
「どうだろうな!」
力強く地面を蹴り、一瞬で間合いに入る。
「えぇい…忌々しい…」
間合いに入ったルートと斬り合いになる。
「貴様…先ほどより速い…」
「サナを可愛がってくれたお礼だよ!」
剣と剣が交わり鍔迫り合いとなる。
「神はいつも魔族には味方しない!いつもは傍観者であるのに!決まって魔族が力を持つと加護渡し魔族を滅ぼそうとする!それで何が神か!」
「そんなの!俺に言われても知らねぇよ!」
「神はいつでも平等であるべきではないのか!」
「そんなの!神に直接言え!」
剣を打ち上げ体制を崩す事に成功した。
「なに!?」
「これで!!」
体制を崩したバードンにルートは剣を振る。
「プロテクション!」
「なに!?」
剣を振ったはずがバードンの手前で攻撃は弾かれた。
「バードン様…大丈夫でしょうか?」
「あぁトマーシュ助かったよ」
「そろそろ本気を出したらいかがですか?」
「あの人間は私の攻撃を耐えたから本気を出して勝てる保証が無いよ」
「お前まだ本気じゃないのか…」
「えぇ…まあ…簡単にやってはつまらないでしょう?ですが私をここまで追い詰めたのは称賛に値します」
「それは嬉しいねじゃあ俺ももっと上げてくぜ」
「ふん…蹴散らしてあげましょう」
「はぁ!!」
掛け声と同時に斬りかかるが弾かれる。
「くそ…」
「まだまだ」
余裕を見せるバードンに再度斬りかかろうとするが思いもよらぬ形でそれは阻まれる。
「プロミネンスサークル!」
「なんだ!」
バードン、トマーシュ、ルートを大量の炎が囲う。
「やれやれ…冒険者はこの程度なのか…」
「ですが頑張った方なのでは?」
「バニー?冒険者風情なんて褒める必要なんてない、この程度の敵も退けないのだぞ」
「でもでもー!」
「でもじゃない!てかさっさと持ち場に行け!」
「はいはーい団長は厳しいんだからー」
炎を出した本人であろう者が現れた、その姿は銀と赤で染色された鎧に身を包み、炎と同じ赤く染まる髪で我が物顔で歩む。
「貴様がボスか」
「そうですが…あなたは……」
「魔物に名乗る名は無い」
「そうですかざんね…」
バードンが話す合間それは一瞬、光のような速さで左腕を切り落とした。
「何か言ったか?」
「なるほど…その3つ星の国旗が描かれた鎧…」
「紅進撃」
再度光のような速さで斬りかかるが今度は避けられる。
「避けたか」
「そうですか…ネール王国騎士団……ですね…」
「そうか…じゃあもう良いだろ、炎熱斬り!」
またも一瞬で間合いに入り下から上へ斬り上げる、バードンはそれをギリギリで回避したが脇の所をかすめる。
「燃え広がれ!」
その声の後、かすめただけの脇から炎が燃え広がった。
「なんですと!」
「もう終わりで良いだろ、さっさと諦めろ」
「えぇ…そうですね…ひとまず撤退させていただきます…」
「バードン様…」
「そうか、だが逃がさん」
「プロテクション!」
騎士の攻撃はトマーシュの魔法によって阻まれる。
「今回は撤退ですが、これはまだ始まりに過ぎません我らはまた世界を取り戻します」
「ふん…戯れ言を」
「余裕でいられるのも今だけです…ではまた」
バードンとトマーシュは、炎の円の中から姿を消した。
「他愛ない」
剣に付いた血を振り払い収める。
戦いは決着が付き、見事魔族を返り討ちに成功したが、被害は少なくなかった。




「よっしゃ!オーガ討伐だぜ!多分一番強いオーガだぜ!もしかしたらこいつがボスだったかもな!!」
「ジェイク、それは無いみたいだよ」
「どうしてだ?」
「どうやら終わったみたい」
「終わったのか…?」
「オーガに夢中で他が見えてなかった証拠だね」
「そうだ!ソーラとギルは!」
「ソーラは後衛だから大丈夫だと思う、ギルはルートと一緒だったね」
「よし!ルートとギルを探しに行くか!」
「そうだね…ギル…無事でいてね…」


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