生きて世界を見て廻る

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1章 16節 ユニークモンスター

「皆行ってしまった……どうしよう……私にも援護位は出来る…よね!」
「アニスくん、無理はしなくても良いのだよ」
「いいえ、私は行きます!ルートさんの所まで!」
そう言いアニスはルートのいる戦場に足を踏み入れたのだった。
「行ってしまったか…」
「マスター…現在オーガが8体おります、ですがそれ以外はスケルトンばかりなので我々は優勢ですよ!」
「だがなアイリーナまだ敵の大将がいるだろ、それを倒すまでは安心出来ないよ」
「そうです…ね」




ガァァァァァァ!
その咆哮は戦場全体に響き渡り冒険者を圧倒する。
「ルート…不味いかもね」
「なんかめっちゃ怒ってる…」
「アイツはユニークモンスターだ…」
「ユニーク?」
「ああ…原理は解明されてないんだけど、モンスターが突然変異して同じ言葉を話す様になるんだ、そしてそのモンスターは通常とはけた違いの強さを持つんだ…」
「つまり強いって事だろ、何でもいい…倒せばいいんだろ……」
「ルート…スッゴいビビってる?」
「べべべべべ別に?なんで?」
「足が…」
「ハッ!」
ギルに指摘されたルートは震える足を抑え、もう一本の剣を構える。
「とにかく!戦うしかないんだろ!行くぞ!」
「そうだね行こうか」
2人は左右に別れオーガの気を分散する。
「さてとユニークの力はどんなものかな!」
ギルはオーガが迷っている隙を突き、足を攻撃する。
「はぁぁぁぁ!光一閃!」
斬擊が1つの光の線のように放たれた攻撃はオーガの足をしっかりと捉えた。
「ムダダ…」
ギルの攻撃をものともしないオーガは棍棒を大きく横に振って反撃をする。
「クッソ…一旦下がって……ハッ!」
回避行動を取ろうとしたギルをオーガは逃がさずに棍棒で吹き飛ばした、その出来事にルートは驚きを隠せなかった。
「なんだ…あれ…さっきと全然違うじゃないか…」
「ハハハ…ヒトハ脆イナ…」
さっきのギルの攻撃も効いてる様子は無くその場で立ち尽くした。
「クッソ…あと少し…魔力防御が間に合わなかったら死んでたな……」
ギルは何mか飛ばされギリギリの所で立っているに過ぎない。
「次、オマエ」
「ただじゃやられねぇよ!」
ルートはオーガの正面から突進する。
「フン…オロカナ」
「どうかな!」
ルートの突進にオーガは余裕を見せる、そして棍棒を思い切り振り下ろしてくる。
「ここ!」
それと同時に突進をやめその場で止まる、その瞬間オーガの攻撃はルートの目の前に落ちてきた。
「ナンダト」
「ハズレだな!さあ!覚悟しな!」
オーガの棍棒は地面に埋まり再度攻撃するには時間が足りない。
「その首貰った!」
埋まった棍棒の上を走りオーガの首を斬りかかる。
「オソイナ」
驚いたのも束の間、オーガは棍棒から手を離しルートを掴み上げる。
「おい!降ろせよ!暴力反対!」
「今更ナニヲ」
ルートを掴み上げたオーガは、ルートを地面に叩きつけた。
ズドンと大きな音と穴を開けた。
「ガハッ…」
「マダダ」
オーガは棍棒を引き抜き、力を溜め渾身の一撃をルートへ叩きつける。
「あ…」
圧倒的すぎる力を見せられ、ギルは声が出ない。
「ヤハリヨワイ」
オーガはその場を後にし吹き飛ばしたギルの元へと向かう。
「そんな…」
「キニスルナ、オレガツヨイダケ」
その時ゆっくりと足を進めるオーガに一本の矢が放たれた、それを余裕で回避する。
「ナンダ」
「お前…ルートを…」
「サナ!ダメだ!単独じゃ!」
「お前…ルートを……殺す!」
「カカッテコイ」
「言われなくても殺す」
サナは数mある距離を一瞬で詰めオーガの間合いに入る。
「マダオソイナ」
「うるさい」
オーガは間合いに入ったサナを凪ぎ払うがサナはギリギリの所で下がり回避する。
「お前の方が遅い」
攻撃を避けたサナはすぐに2本の矢を放つ、その矢はオーガの体に直撃した。
「ヤルナ」
しかしオーガに効果は無いようだ。
「まだまだ」
続いて今度は3本の矢を同時に放つ。
「光爆回転……貫け!」
「2度ハ、クラワン」
オーガは矢を叩き落とす為棍棒を振ろうとする。
「させない」
その時放たれた矢の1つが太陽の様にまぶしい光を放つそれによりオーガは目を塞がざるを得なかった。
「ナンダト!」
2つ目の矢は、棍棒を持つ手元に当たり爆発した、それによりオーガの右手を吹き飛ばした。
「クッ!」
そして3本目の矢は高速に回転し、目を塞ぐ手を貫通しさらにオーガの左目を貫通した。
「キサマ!」
「お前はもう死ぬんだから、黙ってて」
痛みに叫ぶオーガを気もせずに矢をつがえる。
サナの回りに風が吹く、その風は次第に大きくなる。
「言ったでしょ殺すって、風の加護よ」
「キサマ…キサマ…」
サナの回りの風は矢の先に収縮しオーガに矢を放つ。
「ソニックウェーブ…ショット」
その矢はオーガの胸を貫通する、その後に大量の風の波がオーガの体を切り刻む、そして跡形も残らない位にオーガを刻んだ。
「黙って死ねば良かったのに」
「お…おい…サナ!すごいな!大丈夫なのか?」
「うん、ギルも大丈夫なの?」
「僕は大丈夫だけど…今は動けない…かな」
「肩かすよ」
「ありがと…でも…ルートが…」
「いいから……行くよ………」
ルートが潰された場所に目をやる、平然を装うがサナの目からは涙がこぼれ落ちる。
「あーあやられちゃったねぇユニークモンスター」
「ですがあの獣人の戦闘の記録が取れました」
「やはり下級モンスターだけじゃダメか…仕方がない…私が相手をしようか」
どこからともなく現れた2人、その姿は人と変わりがないが負のオーラがあふれでている。
「お前は…」
「ああ…私はバードン、ネールに宣戦布告した者です」
「お前が…ボス…」
「サナ…やめようここは下がって体制を…」
「ギル?」
会話が途中で切れたこと不思議に思ったサナはギルの方を見る、するとギルの脳天に小さな穴が開いていた。
「すいませんね君はもう動けない様だから楽にしてあげたよ」
バードンがやったであろう攻撃の後ギルの体は爆散した。
「え…」
「なんか障壁張ってたようですけど…無駄だったみたいですね」
「よくも……」
「おおいいですねやる気ですね、トマーシュ手出しはするなよ私だけでやる」
「ええそのつもりでした、私は観戦しております」
「許さない!お前は私が殺す!」
「おお是非やってみてくれ」
「サナさん!私も援護します!」
後ろからアニスが走って来た。
「アニス…」
「私だって援護位は出来ます!」
「そう…じゃあお願い」
「2人ね…いいですよ一向に構わない!」
「絶対殺す…行くよアニス」
「はい!」




「マスター!ユニークモンスターの出現を確認しました!」
「何だと…冒険者達をそっちに向かわせろ!」
「ですが他のオーガ達相手で精一杯です!」
「クソ…手が足りん…」
「なんだ、冒険者はこんなものか」
「き…貴様は…」



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