生きて世界を見て廻る

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1章 9節 Dランククエスト

日が昇りしばらく経った時、アイナは2階の右側奥の部屋へと足を運ぶ。
「もう起きてるかなぁ…裸だったらどうしよ…」
アイナは、恐る恐るドアを開ける、すると想像とは全く持って逆で服を着たまま普通寝ている。
「あらら…お疲れだったのね、今はちょうど6時だから…後1時間後ね朝食は」
部屋の時計を見て時間を確認する。
「机に書き置きを残して置こーっと」
机の紙とペンを使い書き置きを残す。
「これで良しっと…来なかったら起こしに行けばいいか」
2人の寝姿を見ながら部屋を後にした。




「ん…あぁ」
アイナが部屋を出てすぐだったサナが目を覚ました。
「ルート以外の匂いだ…」
匂いのする机へと向かう。
「書き置き?受付の人かな…」
(朝食は、7時から8時までの1時間です!その間までに来なかったら朝食が出せませんので注意してください!)
「わざわざ来てくれたんだ」
眠い目を擦りながら言う。
「後1時間くらいはあるから大丈夫でしょ…」
そのままルートの寝るベット中に入るサナだった。
そして1時間が経った。
「まだ起きてないのかなぁ…もう7時10分だけど」
受付左手にある食堂にて待つアイナだった、そこには他の宿泊客が何人かいた。
「アイナ!今日の客はこれで全部かい?」
厨房から声が聞こえる。
「後2人いるはずなんだけどまだ来てないみたい!」
「あ~ん?早く起こしてきな!」
「わかった~」
アイナは、小走りで2階のさっきの部屋へと向かった。
「大丈夫、さっき見たときは普通だったし」
ドアに手をかけノックしながら中へ入る。
「失礼しまーす」
アイナの目にまず入ったのは、女性の場所が変わっている所だった。
「あ…れ?お邪魔だった?」
アイナが驚き固まっていると、ルートが目を覚ました。
「あ~良く寝た、お?なぜサナがいる?」
ルートは、起きた瞬間にそれに気づく。
「サナ起きろ~朝だぞ~」
「うぅ…ん」
「ダメだな」
サナに声をかけるが、起きようとしなかった。
「あ…お邪魔でしたか…?」
「ん?あ~受付の人?」
ルートは、やっとアイナの存在に気づく。
アイナは、金髪のセミロングで緑の瞳に少し小柄な印象の女性だ。
「はい…あのぉ~朝食のお時間なんですよ…」
「あーそう何ですね今行きます」
「すいません伝え忘れてましたですから一様書き置きは残したのですが…」
「あー普通に気が付かなかったです」
ベットを出て机の上を確認したルート。
「では…食堂で待っております」
「はい、わざわざありがとうございます」
アイナは一礼すると、部屋を後にする。
「さてと、サナ!起きろ!」
さっきとは逆に大声で起こす。
「あぁ…ルート?」
「そうです!朝食だ!」
「7時からでしょ?」
「知ってたのかよ!」
「メモ見たから……」
「じゃあ起こしてよ!!」
「眠かったんだもん」
「もういいからはよ起きな」
サナ眠い目を擦りながら、ベットから出て2人で食堂へ向かう。




「あ!やっと来たねお前たち!」
食堂に着いた2人を迎えたのはアイナではなく、黒髪の強気の女性だった。
「あ、おはようございます」
「おは~」
「7時半だよ!早く朝食食べてクエスト行ってきな!」
「え!?はっ…はい!」
訳がわからず椅子に座り用意されている朝食を食べる、朝だからかお腹に優しいスクランブルエッグにベーコンそして食パンが用意されていた。
「朝からうるさいなぁ…」
「ごめんね…お母さんいつもこうだから…」
食べ始めると同時にアイナが話をかけてくる。
「いや別に良いんだが、ずいぶん元気だな」
「そうでしょ?あれが毎日」
「それは大変だね」
「そうでもないよ?お客さん達はあれでいいって評判いいよ?」
「そう…なんだな」
「朝静かにしたい」
「サナは自由過ぎるんだよ」
「あ!ごめんなさいまだ名前がまだだったよね、私はアイナよでさっきのひとが私のお母さん」
「そうだな俺はルート、冒険者になったばかりだがよろしくな」
「私はサナよろしくね」
「ルートさんにサナさんね、ねぇねぇ!ルートさんっておいくつ?」
「俺?俺は、19だけど?」
「年上なんだね!私は15!」
「15?15にしてはしっかりしてるんだな」
「えへへ…ありがとう!じゃあお母さんに叱られちゃうからまたね!」
「ルートにやけてる」
「バカっ!そんな事無いよ!」
「そぉー?」
「と、とにかく今日は、クエストに行ってみるぞ!」
「うん賛成、じゃあ行こ」
朝食を食べ、宿を後にしギルドへ向かう。




ギルドに入りアイリーナさんのいる受付へ向かう。
「おはようございます!今日からクエストですか?」
「はいそうです、なんかいいクエストありますか?」
「難しいのでもいいよ」
「おいサナまだ俺は戦闘に関しては初心者なんだが」
「強い敵とやった方が学べるよ」
「それあっさり死ぬ奴じゃん!」
「そうですよ!初めは簡単なのから慣れて行きましょう!」
ルートの言葉にアイリーナも同意する。
「それでクエストは?」
「はい!薬草採取やゴブリン退治、近隣の森の調査などがあります!」
「へぇ…」
クエストの紙を手に取り、一つ一つ見ていくと1枚の紙で目が止まる。
「やっぱり初めはゴブリンかな」
「あー私ゴブリン嫌い」
「嫌いならなおさら倒さないとな」
「ゴブリンですね!討伐した証の耳を剥ぎ取って持ってくれば換金いたしますよ!でも気を付けて下さいね?」
「ゴブリンと言ったら初心者がよく行くクエストですよね?」
「あーそれゴブリンなめて殺される人」
「どう言うことだ?」
「確かにゴブリンは初心者がよく行くクエストですがよく殺されるクエストでもあります」
「と言うと?」
「ゴブリンは、個々はそうでも無いのですが何より知恵が働くのでちょっとしたことで逆転なんていうのもありまして、実は危険なんですよ」
「後あいつら男に対しては殺意丸出しだからね」
「おーこわい」
「男は殺され女は種の繁栄のため生かされる、ゴブリンがよくやることです、そのせいで村が襲われるなんて話も聞きます、最近では魔王の軍が来てるなんて言う噂もありますし」
「魔王軍?」
「はい魔王軍は、最近勢力を強めてまた侵略しようと考えてるとか言われています」
「魔大陸の方はヤバイって聞くもんね」
「なるほどわからん、でも今は関係ないんだろ?」
「そうですが注意してくださいって言う話です!」
「了解です!じゃあゴブリン討伐クエスト行ってきます!」
「はい!お気をつけ下さいね?」
アイリーナさんの見送りの後、城門へと向かった。




「おお!お前達は昨日の!」
城門まで行くと昨日の門番さんに声をかけられた。
「あ!昨日の門番さん!」
「身分証は出来たか?」
「無事出来ましたよ!冒険者です!」
「そうか良かったな、ケガとかに気をつけてな!」
「はい!ありがとうございます!」
門番さんと会話をして近隣の森へと向かう。


「えーとここの森だな」
クエストの紙を見ながら歩く。
「それなりに数はいるはずだから注意してね」
「オーケー、クエストでは…ゴブリン5体討伐だそうだ」
「まあそれくらいなら大丈夫でしょ」
辺りを見渡しながら歩く2人、するとサナがあることに気づく。
「いた」
「どこだ!」
「静かに…あそこ」
草の陰に隠れサナの指す方向を見る、そこには1体のゴブリンがいた、そのゴブリンは少し痩せよだれを垂らし武器であろう棍棒のような物を持っていた。
「あれがゴブリンか」
「うん…でもあれははぐれだね」
「はぐれ?」
「群れからはぐれたゴブリン、よく見ると痩せててケガしてるでしょ?」
「ああそうだな」
「普通ゴブリンは群れるから1人でいるなんて滅多にない」
「でもチャンスだな、やっちまおう」
「待った不意打ちの方がいいからまだ待ってて」
「お…おう」
息を殺し、ゴブリンの様子をしっかり見る、そしてゴブリンが反対側を向いた。
「今」
サナの声と同時に草の陰から飛び出し、ゴブリンへ接近した、その音に気づいたゴブリンは少し遅れて振り向いた、しかしその時にはルートは目の前にいた。
「よし!貰った!」
剣を抜き、ゴブリンの首元を狙い剣を振るが、間一髪の所でゴブリンが避けられた。
「なに!」
ゴブリンは不意打ちで焦ったが、すぐに体制を立て直す。
「一回下がって」
「ああ」
「バレたらしょうがない私のナイフで戦う」
サナもナイフを抜きゴブリンを2人で囲う、するとゴブリンの生きたいと言う気持ちが伝わってくる。
「やれるか?」
「大丈夫、落ち着いて」
お互い様子を見合っているが、先にゴブリンが動き出した、持っている棍棒をルートに振ってきた。
「は!」
そんなに速い訳ではないので払いのける事が出来た、だがゴブリンは振り続ける。
「クソ!クソ!」
「ルート落ち着いて!そのまま持ちこたえて!」
ルートが、ゴブリンの意識を向かしている間にサナが背後から近付く。
「はぁ!」
その声と同時にサナはナイフで後ろから突き刺した、だが入りが甘かったのか暴れ始めた。
「ダメだった」
「これでもくらえ!」
再びルートは、首元狙い剣を振りおろしたがまた棍棒で防がれたが、今度はその棍棒ごと切り飛ばした、そのままゴブリンは地面に倒れた。
「ふぅ…やったな…」
「そうだね」
ゴブリンと一戦交えて腰が抜ける。
「ゴブリン一体でこれかよ…」
「しかもはぐれだからね、もっと強いのがいるってこと」
「そうだな、命のやり取りも大変だな」
「少し休憩してご?」
「そうだな」
2人は、その場で腰を下ろす。
「剣の練習が必要だな…」
「そうだよね、ルート初心者だからね」
「ゴブリンと戦ってわかったよ初心者が死ぬ訳が」
「お互い必死だからね」
「強くならないとな、ゴブリンなんて余裕で狩れるくらいに」
「私もナイフでトドメがさせなかったからなー」
「お互いに練習していこうぜ?」
「う…うん」
サナは少し恥ずかしがりながら答える。
「さ!討伐証明取って次行くか!」
「昼前には帰ろ」
「そうだな!」
ゴブリンの耳を取り、次のゴブリンを探しに行く2人だった。

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