自由気ままな最強パーティ!

水無月空

十九話 シスコン兄貴とブラコン妹の堕天使討伐!

「お兄ちゃん!お散歩行きましょ!」
「おう、どこまでいくんだ?」
 今、お昼の1時。食後の運動に散歩に行く。
「街の外の平野をくるっとまわりたい!」
 そんなこんなで平野をくるっと回って、
 スライムとか、キメラとかなんやかんや討伐してた。


二時間後
「うぅ。ここ、どこ?」
「お、お兄ちゃん起きた?」
 周囲を見渡すともはやゲヘナであった。
 死屍累々とした地獄。首をもがれ、裂傷のひどい
 人やどうして生きているのか不明なほどの傷を
 負いながらもうめき声をあげている人。
 少し先の方に黒い羽をもった美少女がいた。
 その美少女はこれまた黒い布1枚で身体を覆っている。
 だが、異様に目立つその髪は白銀で天使を思わせる。
「なぜ、こうなった?!」
 愛音と散歩して・・・こうなった。
 あれ、ちょっと何章か飛ばし読みしたっけ?
「お目覚めになったようですね。」
「待て待て!ここはどこで、お前はだれで、
 なんでこうなったんだよ?!」
「質問は1つずつにしていただきたかったのですが。」
 や、すみません。ってそうじゃねぇ。
「いいでしょう。まず、私は堕天使ルシファー。
 そしてここは、私の作った疑似世界です。
 あぁ、他の世界の10000分の1の速度で時間が
 進んでいるので、いつまでもここにいてもよろしいですよ。」
「いつまでもいいってことは、なにか企んでるな?」
「あらあら、お気付きになりましたか。
 いえ、なにも取って食おうなんて思いませんよ。」
「じゃ、何がしてぇんだ?!」
「私は貴方達の生態と形質が知りたいのです。
 別に、私の身体を好きにしてくださっても
 よろしいですわよ?」
「妹の前でそんなことできるか?!」
「ですが、妹さん寝ていらっしゃいますよ?」
 後ろを見ると爆睡する愛音。
「ところで、そこの人たちは?」
「あぁ、これは・・・。」
「なんだよ、口ごもって。」
「いえ、教えましょう。これは、私の実験体ですわ。
 生態系とか知りたいと思っていたんですよ。」
 ニタリと妖艶な笑みを浮かべ空中から降りてきた。
 ふざけんじゃねぇ。俺らの行く末があれか。
「あれは、人間か?そうなら、お前は俺の敵だ!」
「あらあらまぁまぁ、そうですか。交渉決別かしら?」
「えっ、戦うの?!」
「おはよう、愛音!戦闘準備!いくぞ。」
「えっ、ちょっ!もぉ、仕方ないわね、お兄ちゃん。」
 愛音が、ステップを踏み壁を跳びまわりながら
 ドンドンとスピードを上げていく。その速度が
 物理限界を吹っ切る、光の速度を越えたときに
「ソロモンの鍵」
 ジャラジャラと連なった鍵で飛び切りでかい
 引き出しに手をかけ、力を全開にし発動。
 自分の周囲の空気抵抗と地面の摩擦を書き換え、
 無くし、愛音の周囲も同じ状態に変更、
 自分の攻撃力と推進力すべてを前面に向ける。
 これと自分の異能を発動。圧縮と強化それを収縮し
 左拳に両足、背中、その部分だけに能力を発動。
 堕天使に向けこの攻撃を全力でぶつける。
 だが、その時には堕天使は新たな空間を
 前面と背後に展開しそこを繋げ、背後から迫る
 愛音と正面から迫る俺をぶつける。
 その後、俺に向けて手のひらサイズの
 疑似太陽を球体を維持したまま飛ばしてくる。
 俺は愛音を抱え上に躍し避ける。
 その後、左手に愛音の片足を乗せ、
 愛音は膝を曲げ俺が投げるのと同時に跳躍、
 これでスピードを累積する必要もなくスピードは
 目で追える限界を越えた。しかも、俺は
 下へ落ちることで落下の力を前方に進む力へと
 変換、そして時間の圧縮する。
「あら、今の避けますの?しかも、一手で
 二つの事を成し遂げるのですか。あらあら。」
「ずいぶんと余裕だなぁ!?」
 俺も愛音もガチモードへと入る。愛音なんか
 目がマジだ。ここまでくると視界の色は無い。
 集中力を極限まで高めるとゆっくりと時間が
 流れているような気がする。
 地面から落ちている石を手に取り
 思いっきり投げる。圧縮強化の力で
 石の速度を減速、超加速。石がルシファーへ
 向かうとその真上で愛音が攻撃を仕掛ける
 準備万端だ。だが、それを奴は
 自身に超斥力を作り、はじき返す。
「どうすれば勝てるんだよ?!」
「知らないっ。」
 あいつになにか欠点はないか?
 ゴリ押すか?、いや、あの疑似空間で終わる。
 いや、空間の操作は魔力消費がバカ高い。
 魔力量はミークの奴より少ないはずだ。
「おい、愛音。ST消費!わかったか?」
「・・・?あっ!わかったわ。」
 スタミナ消費作戦。いわゆる持久戦だ。
 前後左右上下に跳びまわり、攻撃を仕掛ける。
 久々の愛音との戦闘だ。
 ワクワクしてきた。血がたぎる。
 だんだんと奴の空間転移や斥力の発生が減り、
 インターバルが長くなってきた。
 だが、現状は変わらない。敵のスタミナが
 減ったところで倒しきれない。あいつ守りが
 堅たすぎてまともにダメージを与えられない。
「愛音!時間稼げ。」
 返事はないがすぐに行動するあたりが愛音だな。
「させないわよ!」 
 跳びまわり、俺にルシファーが接近するときには
 しっかりタゲ取ってくれる。
「鬱陶しいわぁ!」
 突然の8方向レーザー。よけきれるはずはなく、
 命中し停止。立ち上がれないが、息はあるようだ。
 ありがとう愛音。もう十分だ。
「アウトレイジ・バースト」
 8秒間の圧縮の後アウトレイジ・バーストだ。
 炎龍ですら柔らかく感じるあの必殺技。
「ソロモンの鍵」
 1つだけ色の違う黒い引き出しを開ける。
 出来れば使いたくはなかった。
 これは、自身の間合いに入った全ての
 生物の魔力・スタミナLvを1に固定する。
 だが、自身もそれにかかってしまう。
 筋力は固定対象外なので俺の能力に支障はない。
 一撃でいい。この一撃で楽にしてやろう。
 美少女を殺すのは癪だが。致し方ない。
「次はもっといい出会いを期待するよ。」
 顔面に一撃。ぐちょりという音で
 顔がなくなり、魔素となり、俺に吸収された。
 Lvが上がるときの謎の感覚。疑似空間は消え、
 いつもの世界に戻る。
 愛音をお姫様抱っこし街に戻る。
 街の病院に連れていく。
 屋敷に帰ると傷を見た仲間が心配してくれるが
 今はそれどころじゃない。今回初めて
 知性があり、会話をもかわした奴を
 殺したのだ。虚しい。そんな沈んだ気分で
 寝床に入った。


 あれから3日がたったころ。
「最近、佑くん元気ないよね。」
「あぁ、そうだな。なんかあったのか?」
「まさか、ミークさんいじめでもしました?」
「ひどいなぁ、そんなことして・・・ないよ。」
「何ですか、その間は?!」
 俺は、ひそひそ話をする仲間を置いて
 近くの食品店へ買い物に行った。
 今日の晩飯はピザなので、その材料を手に取り
 店員さんに持っていく。
 やけに美人な人だな。白銀の長い髪。
「あらあら、貴方。元気だったかしら?」
 この喋り方。
「えっ?!」
「わかる?ルシファーよ。と言っても力は
 全然残ってなくて空間転移も数回しか使えないけどね。」
 可愛らしい仕草で、てへっとする。
「マジか。お前って無敵なの?」
「そのうち死ぬわよ?」
 ほっとしたわ。
「あ、今ね私、根無し草なの。居候してくんないかしら?」
 害はないんだろうな。
「いいですけど、無駄なことしないでくださいね。」
「はいはーい。」
 買い物の後ちょこちょことついてくる彼女と一緒に
 屋敷に帰るとまたみんなに言われるし、あきれられるし。
 それはもう大変であった。

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