3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

二百九十五話 真実3

「......さて、もう少しこの体が
どんなものかを貴様で試すとしよう。」


タチアナは血に染まったナイフを
振りかざし、カクバを斬りつけようと
している。


キンッ!


と、ここで懐から素早く
小刀を取り出した鬼灯が
カクバを守った。


「......タチアナ......どう......したの......!」


何とかタチアナの刃を受け止めた
鬼灯は、様子の変なタチアナに
話しかける。


「誰に語りかけている。
我は魔王ぞ。」


「......嘘だ......もしかして......お前......
タチアナを......操ってる......!?」


「否。我にそんな力など無い。」


「......」


鬼灯は今にもタチアナのパワーに
負けそうだった。
だが、誰も反撃することができない。
なぜなら、相手はタチアナなのだから。


「っ!」


けれど、一人だけ違った。
バーゼンと鬼灯が反撃できない中、
彼だけはタチアナに体当たりした。


「......もう......やるしかねぇのか......」


カクバは悔しそうな顔をしながら、
自分の下唇を噛みしめて言う。


「おい! カクバ! 何をしているの
だよ!」


「......カクバ止めて! ......きっと......
タチアナは......魔王に......操られて──」


「ちげぇんだよ!!! タチアナは魔王
なんかに操られているんじゃねぇ!
こいつが魔王なんだよ! 」


「何言って──」


「こいつが!!! 
タチアナが魔王なんだよ! バーゼン!」


バーゼンはカクバの言っている意味が
わからないかった。
いや、バーゼンだけではない。
鬼灯やヨーテルもカクバの言動に 
困惑を示していた。


「ほう......貴様、何故それを知っている。
それを知っているのは我とマッド
サイエン、そしてラーバだけのはず
だが。」


「そのラーバから聞いたんだよ!」


「ラーバか。奴め、一体何を
企んで──」


「もう喋るな!! その姿で、これ
以上何も言うんじゃね!! 殺すぞ!!
......信じたくなかった......あいつの
言ってたことは嘘だと思ってた......
けど......けどなぁ!!! 
あいつの言ってたことが、
全部当たってんだよ!」

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