3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

二百六十四話 フリーズランド24

「何百年も前のことじゃ。
まだ人間の人口が多く、魔族達
よりも繁栄していた時代に、
わらわはこの島に栄えていたとある
村の長じゃった。
そんな時に、魔族と
長年戦争をしていた下の大陸の
人間達がわらわの島に襲撃してき
おった。」


「なんでだよ。同じ人間同士だろ?」


「資源じゃ。この島は
まだ人間による開発が
進んでおらず、この島にある
鉱石や動植物達までもが
下の大陸の人間達の目には
高価に映ったようでありんす。
それから、幾度となく下の大陸の
人間たちによってわらわの
島は荒らされた。
村も崩壊し、わらわは同じ人間を
恨んだ。
そんな時、わらわに声をかけて
きたのが魔王じゃった。」


「魔王!?」


倒すべき者の名が出て、
タチアナは目を大きく開く。


「魔王はわらわに言った。
貴様がその島を守りたいので
あれば、我の配下となれとな。」


「それで......君は魔族となったのか......」


「......まあ、今思えば、わらわは
いい実験体になっただけじゃったがの。
わらわは魔族となるために、
体に魔王の血を少し流し
込まれた。
じゃから、わらわは魔王の力を
少し使えるでありんす。」


「魔王の力......」


「もしや見てみたいなどと
言うのではないな? オスよ。」


やべ......心読まれた......


「......思ってない。」


「顔に書いてありんす。
わらわはあの力が嫌いじゃ。
じゃから、いくらソナタ達が
この鳥の恩人と言えども、
それは無理でありんす。」


「それはいいんだけどさ、
吹雪姫に聞いておきたいことが
あるんだ。」


「なにかや?」


「お前のボスである魔王を
倒してもいいか?」


すると、俺の言葉に
吹雪姫は一瞬無表情に
なったが、直ぐに


「ふふ、ふふふっ! オスよ、ソナタは
面白いことを言うの。」


と、顔をほころばせた。
だが、俺の顔を見ると
再び真剣な表情に戻る。


「わらわには何も問題はありんせん。
わらわもあやつは嫌いじゃからの。
ただ、魔族が滅べば、再びこの島に
人間どもが襲撃してきそうじゃな。」


「それは私が何とかしよう。
魔王を討伐し、平和な世界へとなったら、
私の統括する騎士団から何人か
この島に派遣することを
約束する。」


「ほう。メスはなんじゃ......
偉い身分の人間だったのかや?
通りであれほどの強さを
持っているでありんす。」


「私など、まだまださ。」


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