3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

二百十六話 仲間の捜索14

それに続いて他の隊長も
船から飛び降り、一番最後に
俺も呪覆島に上陸した。
島に着地するとべちゃっと
泥が音を立てる。


「タチアナ様! 気をつけてください!」


「長老頑張って!」


「サッちゃん隊長! 無理しないでね!」


船から声援が送られるが、
もうすでに辺りの霧が濃く、船の
上が黙視できない。


「皆、くれぐれも離れないように。
何かあったら遠慮なく叫んでくれ。」


タチアナはそう言って俺たち一人
一人の顔を見ると、くるりと前を
向いて歩き出した。
俺もそれに続こうとすると、
前をほうきにまたがって
ふわふわ浮いていたヨーテルが
俺の方に寄ってきて


「さ......お手並み拝見ね。」


とほくそ笑んだ。


「何がですか?」


「さぁね?」



そう言ってにやにやしながら、
彼女は先を進む。
まあ、恐らくは俺が回復魔法を
使うのを見ようとしているのだろう。
どうして彼女がそこまで俺の正体を
見破ろうとしているのかわからないが、
彼女の前ではあまり高レベルの魔法を
使わない方がいいかもしれない。

が、それ以前に注意すべきは
この霧だな......。
タチアナの言った通りマジでなんも
見えない。ただ、今自分が田んぼの
ような泥のなかを進んでいるのが足の
感触から伝わってくる。
別のことを考えていたら
簡単に仲間とはぐれてしまいそうだ。



俺は今一度気を引き締め、
五人の後を追う。



? ってあれ? 五人?
四人しかいなくね?
タチアナと長老とヨーテルと
サッちゃん隊長と......あれ?
弓使いの人は?


「タチアナ!」


「ど、どうした、隼人。ビックリ
するでは──」


「あの弓使いがいないぞ!」


「!?」


タチアナを含む全員が
え!? と動揺する。


「う、嘘でしょ! まだ船から
歩いてそんなに経ってないのよ!?」


「いつからじゃ。隼人君。
いつから気づいたんじゃ。」


「いや、俺もついさっきです。
さっきまで俺の前を歩いて
いたんですけど......」


「も、もしかしてルドルフさん......
底なし沼に......」


サッちゃん隊長が縁起でも無いことを
言う。


「皆、一度来た道を戻ろう!」

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