3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

二百十二話 仲間の捜索10

「いや、あの......漏れそうなんで
すけど......」


「は? 私の話よりトイレの方が
大事なわけ?」


「......まあ......お腹痛いですし......」


俺は必死にもうだめだアピール
をするが、彼女には全く効果が
ないようで


「駄目よ。いいからさっさと
案内しなさいよ。じゃないと
この船内のトイレ全部
破壊するわよ。」


と問答無用で強要してくる。


まずいな......このままじゃ本当に
リュックの中のセルフカードが
見られてえらいことになる。
何は策はないかと考えていた
そのとき。


「どうしたんですか? ヨーテル様。」


俺の元に天から天使が舞い降りた。


「アアルナ。ちょっとあんたも
手伝いなさいよ。」


食堂から無理やり連れ出された
俺はばったり通路でアルナさんに
出会った。


「ヨーテル様......私の名前は
アルナって言ってるじゃないですか!」


「あんたが自分で言ったじゃないのよ!」


「あの時は緊張していて......って、
それより何を手伝うんですか?」


「この男の荷物検査よ。」


「隼人さんの? 一体どうして?」


「昨日の夜、食糧庫から魚が
盗まれたでしょ。その容疑が
この男にかかってるのよ。」


「ああ......あれ。」


えぇ......アルナさんも知ってるって
ことは嘘じゃ無かったのかよ......って
ことは犯人は......


「でも、あの魚を盗んだ犯人って
そこの鳥さんですよ。」


やっぱお前やないかい!!!


「は......なんでそんなこと知ってる
のよ。」


「昨日、牛喜さんが食糧庫から
出てくるその鳥さんを目撃したら
しいです。」


「そ、そうなの......? 」


「はい。もう他の皆さんも知ってると
思いますけど。」


え、俺そんなことなんも聞かされて
ないんだけど。


隣をちらっと見れば、俺と全く同じ
反応をヨーテルはしている。


あれ? 俺たち皆から疎外的な
扱いされてない?
なにこれ、いじめ?
いじめは良くないな......情報は
皆平等に共有しないと......


「......じゃ、じゃあ。俺の
疑いも晴れましたね。」


何はともあれ流石は我が天使、
アルナさん。俺の窮地を救ってくれた。
俺はこの好機を逃すまいと、この
場を去ろうとする。


「そゆことで.......」


「ちょ......」

やはり、ヨーテルはまだなにかを
言おうとしていたが、俺は
素早くその場から離れた。

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