3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

百八十九話 再会を夢見て3

「ちょうど今、ヨーテルと一人の
回復魔法士がとある任務をしている。」


「ヨーテル様が? そうだったのですか。
先ほどから姿が見えませんでしたので、
てっきり何かあったのかと心配して
おりました。」


そう言って、ドッペはほっと
胸を撫で下ろす。


「ははっ、ヨーテルにかぎって
そんなことはないさ。」


「あ!」


「どうしたのだ? アルナ。そんな
大声を出して。」


「タ、タチアナ様! そういえば、
言い忘れてたことがあって......
その長老様も随分前から──」


「ああ、長老ならさっきまで私と
一緒に行動していたぞ。」


「え!?」


「なぜかはわからないが、
前線ではなく、負傷した職業者達の
手当てにまわりたいと言ってな。
今はサーマクリフエントロマナーリと
共にいるはずだ。」











ちょうどそのころ......


「テイル、その人にヒールかけて!」


「はい!」


「ミマ! そっちもって! 一回、
奥に運ぶから!」


「わ、わかりました!」


敵に狙われない森の奥ではサッちゃん
を筆頭とする回復魔法士達が必死に
負傷者の手当てをしていた。


「サッちゃん。このわかもんは
そっちに運べばよいかの?」


「ちょ、ちょっと待って! その
人は......」


サッちゃんは忙しそうに、
後ろを振り返った。


「ちょ、長老!?」


そこには、微笑みながらに手を振る
長老が立っていた。


「い、今までどこにいたんですか!!
わ、私......ふ、不安で............
じんばいじてだんですよ!!!」


ルドルフが戦闘不能になり、
唯一残った隊長は自分だけという
とてつもないプレッシャーに
押し潰されそうだったサッちゃんは、
長老の姿を見ると、安心感から
ばっと泣き出してしまった。


「すまん、すまん。心配かけて
しまったの。」


長老はまるで赤ん坊をあやすように
頭を撫でる。


「......あれ......長老......その鳥は?」


サッちゃんは鼻をすすりながら、
長老が抱えている謎の鳥を尋ねた。


「ああ、これかの。これは
さっきタチアナちゃんに預かってて
欲しいと頼まれての。」


「タチアナさんが!?」


「うむ。なんでも大切な
鳥だと言っておったんじゃが......
タチアナちゃんは食いしん坊じゃから
多分非常食じゃの。」

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