3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

百八十七話 再会を夢見て

一方、陸上では......




「射て!!!」


水中に潜っていた何十人もの
魚人兵達が陸に追い詰められた
人間たちに向かって一斉に
吹き矢を飛ばす。


「ぐあっ!!!」


船が粉砕し、いよいよ逃げ場の
無くなったアルナや牛喜たちは
射たれていく仲間たちを庇いながら
必死に応戦していた。


「牛喜さん! ルドルフ様は
どちらに。」


アルナはルドルフに指示を仰ごう
と探していたが、どこにも見当たらず
牛喜に尋ねた。


「ルドルフ隊長なら
先ほど頭を打った衝撃で地面に
のびていたぞ。今は回復魔法士
に治療されているはずだ。」


「そうだったのですか。どうします。
一体誰がこの場を仕切れば......」


「我輩もそのことについて
今考えていたが......
そういえば、ヨーテル隊長も
見当たらないがどうしたんだ?」


そう言われてアルナは
ヨーテルがさっきまで飛んでいた
空を見上げる。


「本当ですね。何処にも姿が
見えません。」


「......くそ......こんなとき他の
隊長が居てくれたら......」


一人はジュラ島で迷子、
三人はジュラ島で置いてけぼり、
一人は空から消え、
一人は船から消え、
そして一人は現在戦闘不能。
唯一残っていた隊長は
今もなお戦場を駆け回って
負傷した職業者達の手当てを
しているが、この現状では
どうあがいても人間側が直に
敗北するのは目に見えていた。



「牛喜さん危ない!!」


すると、死角から放たれた
一本の吹き矢が牛喜目掛けて
飛んでくる。
それをぎりぎりのところで
剣で斬り落としたアルナだったが


「アルナ!」


今度は六本の矢がアルナに
飛んできた。
牛喜は弾の無くなり、もはやただの
荷物と化した銃を捨て
アルナの前に立ち、身代わりになろう
とする。


その時、突如暗闇から
謎の声が聞こえた。


「石火切烈!」

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