3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

百七十二話 三日月島37

俺のどや顔で、不安になったのか、
長老はタチアナを見る。


「心配はいらないでしょう。
なんたって隼人はレベル9─」


俺は慌ててタチアナの口をふさぐのだった。

















そして、俺たちはそのヨーテルという
者の力をかりるべく、地上へ向かった。


「な、なあ。」


その道中で後ろから、ワインが蚊の
鳴くような声で俺を呼ぶ。


「なんだ?」


「お、お前、本当に人魚姫様を
助けられるのか?」


「ああ。」


「ほ、本当に本当か?」


「本当に本当だ。」


すると、ワインは何かを考え込み、
それいこう何も言わなくなった。


それから、五分もかからず、俺たちは
長老の後を追って無事、地上に出た。


「やはり、もう夜だったな。」


タチアナはそう言って辺りの状況を
把握する。


その時


「雷神の槍!」


空の上でほうきにまたがる
女性がいた。


その女性の声によって、空の上から
目映い光を放ちながら稲妻が
地上に降り注ぐ。


「ヨーテルちゃんじゃ。」


「あの人か。」


「そうだ、この世界で長老の
次に強いと言われている、大魔道士だ。」









そのまま俺たちは森を抜け、弓状の
島が一望できる崖の上に到着した。


「タチアナちゃん。ほれ、あそこ。
あそこで皆が戦っておるぞ。」


長老の指差す方を見るとそこには
アルナさんや牛喜さんをはじめとする
仲間が粉々に粉砕した船の近くで
海から襲来してくる魚人達と戦っていた。



「ちょうろーーーう!!!」


すると上空から、先ほどまで
空で戦っていたヨーテルという女性が
こちらへ飛んでくる。


「ちょっと!! どこに行って
たのよ!!!」


「す、すまぬ。」


あまりの彼女の勢いに、流石の
長老も顔をひきつらせながら謝罪する。


「ってタチアナじゃない!
あんたもどこに行ってたのよ!!!」


「す、すまない。」


今度はタチアナが謝る。


そして、俺の方をちらっと見たが、
誰? みたいな顔をしただけだった。



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