3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

百六十三話 三日月島28

「タチアナ、ちょっとここで待ってろ。」


「? 何をするつもりだ?」


俺はゆっくりと立ち上がり、
こちらに向かってくる二人の
魚人をじっと待つ。


そして


「!?」


俺が以前、船の中で遭遇した
魚人、じゃない方に飛びかかり、
首を締め上げる。



「ん!!ん!!!!......」


俺に首を締め上げられている魚人は
苦しそうにもがく。



「な、な、何者だ!?
 ......お、お前は!!!」


「よう、久しぶり。」


面識のあるもう一方の魚人は
俺の顔を見ると、すっとんきょうな
声を出した。


「動くな。このままこいつを
絞め殺すぞ。」


「な、なんでお前がこんな
ところに......」


「ちょっと事情があってな。
そうだ、いろいろ聞きたいこと
があったんだ。今からする
質問に素直に答えろ。
じゃないと......」


俺は更に魚人の首を締め上げる。
すると流石に限界が来たのか、
締め上げられている魚人は、
助けてくれと目線を向けてくる。



「わ、わかった! だからもうそれ
以上仲間を苦しめないでくれ!」


「それはお前の返答次第だ。
じゃあ、いくぞ。
まず、さっき人間達が脱走したって
言ってたが、今この島に人間が
いるのか?」


「......いる。」


「どこに?」


「たぶんこの島の陸上で今、仲間と交戦
しているはずだ。」


「交戦? そうか。
次だ。この島の幹部の居場所を
教えろ。」



「......それはできない。」


「? その返答の意味がわかってるのか?」


「ま、待ってくれ! 違う! 違うんだ!
それだけはできないんだ。」


「なぜ?」


「だってそんなことをしたら魚人族は
魔族に消されてしまう。」



「? どういうことだ?」


「お、俺達、魚人族は魔族のなかじゃ
位は高くない。いいや、最も低い位の
種族と言っていい。いわば、俺達、
魚人族は魔族の中では奴隷みたいな
ものなんだよ。」


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