3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

百五十八話 三日月鳥23

「くそー、ヨーテルさんだけ
運良く逃げましたね。」


「ルドルフ隊長。そういう
言い方はよくないぞ。」


「うるさいですね。どうせあなただって
そう思ってるんでしょ?」


「我輩は微塵もそんなふうには
思っていない。」


「へっ、綺麗事ばっかぬかしますね。」


「......」


「もしかして助けが来るとでも
思ってるんですか? 来ませんよ。
だってあのヨーテルさんですよ?
無慈悲さと残虐さという
二つを兼ね備えた究極個体である
あの人が、敵にみすみす捕まった僕らを
助けに来るわけがない。
僕らはもう終わったんですよ。」


「そ、そんなこと......」


ルドルフと牛喜の会話に入ってきたのは
サッちゃんだった。


「あなたは黙っててくださいよ。
何にもしてないくせに、
口ばっか達者でほんっと、
役に立たないんですから!」


「もうよせ!」


隊長であるルドルフのあまりの
言いようを牛喜は注意する。


「おい! 静かにしろ!」


すると、その牛喜の注意に
力が入っていたのか、
今度は監視の魚人兵に注意されて
しまった。


「ちっ。」


ルドルフはイライラが止まらず、
舌打ちをする。



「......我輩は必ず助けに来てくれると
信じている。」



「ふっ。まだそんなこと──」


「いや、必ず来てくれる。なぜなら......」



「なぜなら?」



その時だった。













「石火切烈!」



「ぐはっ!!!!」



突如、檻の外にいた監視全員が
何者かによって斬られた。


「だ、誰です!?」


思わずルドルフは立ち上がって
暗くてよく顔が見えないその者に
尋ねた。


「皆さん!」



そして、彼女は暗闇から
顔を出して満面の笑みでこう言った。


「助けに来ました!!!」

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