3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

百五十三話 三日月島18

「奴に注意しろ。先ほど陸地を
焼き付くした張本人だ。」


魚人兵の長はヨーテルを指差す。



「あーー! もう。最悪!」


「ごめんなさい。私のせいで。」


「もういいわよ。それより私に
掴まりなさい! ここから一旦距離を
取るわよ!」


「は、はい!」


アルナはほうきに股がったヨーテルの
体にしがみつく。



「しっかりつかまっときなさいよ!」


それに返事をしようとしたアルナだっが、
いきなり海の中をヨーテルの
ほうきがもうスピードで動き出したので
そんな余裕はなかった。



「逃がすな!」


長は呆気にとられている魚人兵に
指示を出す。

はっと我に返った魚人兵達はすぐさま
ヨーテル達の後を追うが、ほうきの
移動速度が速すぎて、まるで追い付けない。




「ヨーテル様! み、みんなは!」


「今は無理よ! 海の中じゃ、
ろくに攻撃魔法が使えないわ。
今は逃げるのが先決よ。」


「し、しかし......」


「あー! うるさいわね! 
大丈夫よ。
きっとみんな死んでないわ。
言ってたでしょ? 
人間は殺すなって。
それに気を失った他の連中も
陸に連れていかれてたじゃない。
今のところは逃げるの。
逃げて、後で助けるわ。」


「逃げるってどこにです?」


「陸よ陸よ。スカイリムの効果は
そう長くは持たないわ。
三日月島の森の中で身を隠すのよ。」


「わ、わかりました。って、ヨーテル様!
後ろ!」


「え?」


魚人兵ならまいたはず。
そう思って後ろを振り向いたヨーテルが
見たものは


「ま、また影!?」


先ほどヨーテルが上空からみた巨大な
黒い影がヨーテル達を追いかけてくる。


「もう! 一体あれはなんなのよ!!」


ヨーテルは更にほうきの移動速度を
加速させ、海面に向かう。



「しつこいわね。」


しかし、その謎の巨大な影との距離は
みるみるうちに縮まっていく。



そして



バシャン!



間一髪のところで、ヨーテルとアルナは
海面から抜け出し、地上に出たのだった。

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