3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

百十二話 エレディア村18

「タチアナ?」


「......」


様子がおかしい。



「......すまない。何も覚えていないんだ。
何も......」


「おい、大丈夫か?」


「......何も......私は......」


「おい!」


タチアナは頭を抱え込んだと
思ったらその場にばたりと倒れてしまった。











「ここは?」


倒れたタチアナを病院に運び、
休ませること二時間。
タチアナはふっと目を覚ました。



「目、覚めたか。」


「? 我々は洞窟で話していた 
はずだが......」


「覚えてないのか? タチアナ、
子供達と遊び疲れて話してる
途中に眠っちゃったんだよ。」


「そう......だったのか。すまない。
恥ずかしいところを見せたな。」



そう言うとタチアナはベットから
出る


「おい。もう立ち上がっても
大丈夫なのか?」


「大丈夫だ。それよりも、隼人。
我々もそろそろこの村から三日月島に
向かおう。おそらくだが、皆、
次の島に向かったのだとしたら
その三日月島にいるかもしれない。
だから上手くいけば我々と皆は
そこで合流できる可能性もある。」


「いや、だがな──」


「もし私が今みたいに疲れて倒れても
君がいてくれるのなら
安心さ。頼りにしているぞ。」


タチアナはそう言ってぽんぽんと俺の不安をよそに肩を叩いてくる。



俺が不安がってるのは、
タチアナがまた疲れて倒れるんじゃないか
とかではなく、洞窟で彼女が倒れたとき、
全く回復魔法が効かなかったことだ。

疲れて倒れたのであれば、
ヒールで数分足らずで目を覚ます。
だが、あのときは違った。
別の魔法をかけても全く効かなかった。



では何故彼女は急に倒れたのか?


考えられるのは一つ。
俺がした質問。

俺のあの質問で彼女の様子が
一変した。

しかも、そのことについてタチアナは
全く覚えてない。

人は耐えられないほど辛かったことを
無意識的に記憶から消すことが 
あるらしいが......まさかな......


「どうした、隼人? 行くぞ。」


「あぁ、わかった。」


俺はあの時、何か、何か重要な
ことを目の当たりにした、
そんな気がしてならなかった。

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