3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

八十五話 ジュラ島11

その言葉に我輩からも、私からもと
アルナと牛喜が隊長達に頭を下げる。


「そ、そんなこと言われても......
どうします、皆さん?」


「......では、こういうのはどうじゃろ?」


他の隊長達が頭を抱える中、
一番最初に口を開いたのは
やはり長老だった。











「まあ、それなら......」


ヨーテルは長老の提案に渋々
納得する。


「そうするとやはり、問題と
なるのは誰が
島に残って二人を捜索するかに
なりますね。」


長老が提案した作戦はこうだった。


ヨーテルの魔力を回復するため、
一度この島付近から少し離れた
海に滞在する。
その間、行方不明の二人を
捜索するため、何人かがこの島に
残る。
そして、ヨーテルの魔力が完全に回復し、
再び一定時間、船が浮遊できるように
なったら、船ごとこのジュラ島に戻り、
タチアナ達が見つかっていれば、
そのまま船に回収し、次の島へ。


もしも、まだ見つかっていなければ
今度は更に人数を増やして捜索を
するというものだった。


「島にはまだもう一体の幹部が
いる。あわよくば、そいつも討伐
しておきたいところなのだよ。」


「なら、やっぱ島に残るのは
隊長の中からだよな。」


「誰が残ります?」


「......私......残る......」


「だろうな。なら、俺も。」


「自分の妹が危険にさらされて
いるのかもしれないのなら、
兄である俺が残らないわけには
いかないのだよ。」


鬼灯に続き、カクバ、バーゼンが
名乗り出る。


「なら僕も──」



「いや、これ以上はいい。」


「ぼ、僕のこと嫌ってません!?」


「......大......嫌い......」


「んまあ、とにかく! 無駄に多くて、
もっと迷子のやつが増えても
困るしな!」


そんなこんなで島に残るのはこの三人に
決まった。










「魔力が完全回復してここに戻って
くるのは明日の夕方くらいよ。」



「......わかった......それまでに......
タチアナ......見つける。」


捜索組の三人はロープを
つたって再び島に上陸しようとする。


「あ、あの!」



すると、カクバ達の後ろで
タチアナを敬愛するアルナ、
ビルメ、ドッペの三人が彼らに
頭を下げていた。



「どうかタチアナ様を──」


「わかってる。必ず見つけてやるよ。」


皆まで言うなと、カクバは
彼女達のお願いをしっかりと
心得て、ヒュルヒュルと
下へと降りていった。

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