3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

五十四話 選抜試験13

「いい部下......もったね......タチアナ。」


タチアナに抱きつきながら
うとうとしていた
鬼灯が、アルナを見て言う。



「あぁ......私の自慢の部下だよ。」



「どっちが勝つと......思う?」



「......ドッペだろうな。彼は強いよ。
レベルだけではなく、経験的な
面においても、アルナよりは
遥かに。ただ......」



「ただ?」


「アルナも十分強い。
断言できるよ。あの二人の
勝負は選抜試験最後の
決闘に相応しいものになると。」



「......タチアナが......そう言うんだったら
見ないわけには......いかないね。」



試験中ずっとしがみついていた鬼灯は、
隣に置いてあった自分の
席によっこいしょと座った。












シールを互いに剣に貼り、兵士の
決闘開始の合図を待つ。
先程までうるさかった鼠は
隼人と牛喜に抑えられている。



「アルナ、手加減はしない。
私もお前と同様、タチアナ様に
ついていきたいのだ。」



「分かっています。」



彼女のはっきりとした返事に、
ここまで強くなったのかと、
一緒にタチアナの騎士団にいた
ドッペは感心していた。



「これより──」


兵士が合図を言い始める。


アルナとドッペは剣を構える。



負けられない。
たとえ、ドッペさんが私より
強いとわかっていても!


アルナは手の震えを必死にかき消す
ようにぐっと剣を力強く握る。



そして、


「始め!」


と兵士の合図がかかった。





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