3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

四十二話 選抜試験

「それじゃあ、ギルドカードを
預かるね〜」


ギルドカードとは俺が、
受付嬢に見られた紙のことだ。
そこには名前、職業名、レベル、
ステータス、覚えているスキルなど、
他人に見られたらえらいことになる
情報が載っている。


俺が受付嬢に渡すと彼女は
奥の方に行ってしまった。


「は〜い、お待たせ〜。」


それから数分ぐらい経ち、受付嬢は
俺のギルドカードを返してきた。


「職業名が回復魔法士から
聖職者になってる事と、使える
スキルが結構増えてるから、
はい、後はこの資料を見てね。」


受付嬢は分厚い本一冊を俺に
渡してくる。
恐らくスキルの使い方や内容が
一つ一つ書いてあるようで、
後で一通り目を通しておかなければ
ならないなと、少し憂鬱な気分に
なってしまう。


「分かりました。」


「それと、お兄さんが受ける
選抜試験は五日後にあるらしいから〜
お兄さんは四日後ぐらいに港で
下の大陸行きの船に乗ってね。」


「その港はこの前の緊急任務の時の?」


「そうそう。」


「了解です。それと、試験の内容とか
ってわからないんですか?」


「それについてはなんにも。多分、
当日になったら公表されるんじゃ
ないかな〜。まあ、でも、お兄さんなら
全然余裕でしょ?」


「さぁ……試験内容によりますよ。」


「またまた〜、
謙遜しなくていいのに〜。」


「まぁ、とりあえず、
全力を尽くします。」


「うん、応援してるよ〜」


「はい、ありがとうございます。」


俺のお礼に受付嬢はニコッと
微笑んだ。







それからあっという間に四日が経ち、
俺はメグとペルーに見送られながら
下の大陸行きの船に乗る。


「行ってらっしゃあーーい!」


メグの元気な見送りに俺は
大きく手を振った。






船を見渡すと、職業者は
俺と四人しかいなかった。
きっと選抜された者達の多くは
下の大陸にいるのだろう。


俺は船の部屋の中で多量の
スキルを頭にたたきこんでいた。




それから五時間後、船が止まる。

同じ部屋にいた者達が
続々と外に出る。
俺もその後を追って部屋を出た。





外に出ると俺の目に一番早く
入ってきたのは大きな城だった。


遠い丘の上に城下町を
従えながら堂々とそれは建っていた。


港には多くの商人や旅人、職業者達が
活気に満ち溢れている。



俺はそれに導かれるように、
下の大陸へと一歩足を
踏み入れたのだった。




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