十六話　任務決行3

「いない……？　ドッペ、
どういうことだ？　ここで合流する
んじゃなかったのか？」

圧倒的な彼女の力で楽々合流地点に
たどり着いたが、そこには待機してい
るはずの騎士団の姿は無かった。

「そのように私も聞いておりました
が……これは一体……」

そこにはテントや食器、生活用品が
まるで今までここに人がいたかのように
置いてあった。

「敵の襲撃を受けたか？
いや、それにしては争った
形跡もないし、第一そこらへんの
魔族にやられるようなたまは、
私の騎士団にはいない。」

彼女は眉をひそめるも、自分が
不安がってどうすると、
両手でぱんぱんとほっぺを叩く。

「仕方ない……アルナ、ビルメ。
私についてこい。
ドッペは他の皆とここで待機していて
くれ。少し、辺りを見回ってくる。」

アルナ、ビルメと言うらしい、騎士の
二人とドッペが了解と返事をする。

「おい、タチアナさん。
俺たちをこんな危険な場所に置いて
行くのかよ。」

彼女の急な判断に異議を唱える
者がいた。
彼だけではない、他の連中も
作戦が嫌な方向に向かっているのでは
ないのかと心の中で思い始めている。
そんな彼らにタチアナは笑って
言った。

「心配するな。ドッペはこう見えて
私が一番信頼を置く程の強さを持って
いるし、それに……もし、私達三人が
ヘルドラに出会っても私達で倒すから、
君たちはゆっくりそこでくつろいでいて
くれ。」

いささか、無茶苦茶な事を言ってい
るが、彼女の笑顔は不思議と心を安
心させてくれる、まさに太陽のよう
だった。