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牧之原智花は人を殺さない

もやもや

プロローグ

「分かっていると思うが……牧之瀬智花。なんというか……もう少しなんとかしてくれないか」
 世界に何万いる死神のトップである熊野渉は牧之原智花という少女に申し訳なさそうに言った。だが少女は熊野に対して敵愾心に満ちた表情で熊野を睨みつけていた。

漆黒の髪の毛に針金のように細い毛、死神の女の子が着ているような、真っ黒なゴスロリファッションではなく、Tシャツにジーパンという非常にラフな格好。ルックスは中性的でティーンエージャーくらいの外見だが、一目見ただけでは男なのか女なのか判断をするのは難しい。
 少女は冷たい表情のまま答えた。
「ノルマは達成しています」
「……まあそうなんだが、色々死神業界も大変なんだ。分かってくれ」
「嫌です。私はもう二度と人は殺しません。お話が以上なら失礼させて頂きます」
 少女は冷たく言い放ち部屋を出て行った。
 少女が部屋を出ていくと熊野は大きくため息をついた。

「やっぱりなんともならんか……」
 熊野はそばに置いてあった青いファイルを見て、牧之原の経歴を見る。
 トップシークレットと書かれてある、プロフィールの右端には先ほどとは違う成人した女性の写真が写っている。
「彼女には荷が重すぎたんだろうな。俺の責任なんだろうが……」
ファイルを閉じ、熊野は椅子から立ち上がり客人用のソファーに座った。身体の大きい熊野でも座れるくらいのソファーだ。そしてテーブルの上に置いてある葉巻を咥え、火をつける。
 その時ドアを二回叩く音がした。
 真っ黒なスーツに眼鏡をかけた男が入ってきた。「失礼します。例のものが完成致しました」

「御苦労だったなニコラ。机に置いておいてくれ」
「分かりました。そういえば先ほどあまり見ない男か女か分かり難い子が出てきたのを拝見したのですが。お知り合いですか」
「牧之原智花。共有データーベースで見たことないか」
「牧之原、牧之原……。思い出しました、E適正の死神でしたね。ですがどうしてE適正の死神に死神長自らお会いになっているんです?」
「復習だ、ニコラ。死神の適正について言ってみろ」
「そんなの養成所で習うことじゃないですか」
 
 ニコラは一度咳払いをしてから「死神にはAからCの適正があります。A適性の死神は直接自分が殺すのではなく、政治的な理由や戦争を引き起こすことで間接的に人の命を奪う死神。歴史的に大虐殺や大規模な戦争を引き起こした者がこれにあたります。
 次にB適正が死神として最もポピュラーな適正です。自らの手で直接人の命を奪います。そしてC適正ですが、人に害を与えることで人の命または寿命を奪っていくという適正です。反社会的組織の人間やサイコパスと呼ばれている人間たちがこれに当てはまります。
 D適正はAからDと違い、人と仲良くなることで少しずつ命や寿命を奪っていくという死神たちです。最後にE適正は……死神には不適格な死神とされています」
「まさしく教科書通りの説明だ。素晴らしい。褒美にその青いファイルで牧之原智花を探してみろ」
ニコラは青いファイルを開き、牧之原智花を探した。
「なっ!?」
 ニコラの驚く顔を見て熊野は得意気に言った。
「それが牧之原智花の本当の評価だ」
「いや……でも私が見たときはE適正だったはず……どうして……?」
 熊野は、ほくそ笑みながら答える。

「死神の上層部ではE適正の死神には別の言い方をすることがある『災いをもたらす者』と」
「牧之原智花は……『災いをもたらす者』なんですか?」
「……少し思い出話をしてやろう。そこに座れ」
 熊野は自分の向かいソファーを指す、マルコがソファーに座ると熊野はゆっくりと口を開いた。
「いいブランデーが入ったんだ。どうだ一杯」
「勤務中ですよ」
「ったく、相変わらず固い奴。まあいい。この話は元老院でも数人の爺と婆しかしらないことだ」

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