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牧之原智花は人を殺さない

もやもや

21

智花が連れていかれた先は女王の玉座前だった。
女王と思われる周りには女エルフが四人。
女王の容姿は二十代半ばくらいだろうか。王冠をかぶり、右手には大きくて真っ赤な宝石をつけた右手が光る。
周りの女エルフと比べてもかなり若い。だが目つきは鋭く智花を見下している感じが勘に触った。
「頭を下げろ」
 隣にいる女エルフに強引頭を下げさせられる。
「頭を上げなさい」
 女王からの声で智花は頭を上げる。
「あなたが妖精の里に侵入した人間ですね」
 冷たく温かみを感じない言葉だ。
「間違って入ってしまったのは謝る。でもわざと入ったわけじゃない」
「ではどうして妖精の里に入ってしまったのですか」
「私は異世界から仕事でこっちに来た。人間の街を探していたとき、偶然この里に入り込んでしまっただけだ」
「この妖精の里は人間には入れない結界を張っています。どうしてこのエルフの里に入り込めたのですか」
「そんなの分かるわけ――」
 いや……エルフの里に入り込めた理由ってもしかして――。
「答えに窮しているようですが。やはりあの男たちの仲間だったということなのですね」
 女王の言葉に、智花の近くにいた女エルフと周囲にいる女エルフたちが一斉に武器を構える。
「違う! ちょっと待て。もしかしたら私の体質のせいかもしれない」
「武器を収めなさい。一体どういう意味ですか」
 智花は自分が人間とエルフ、そして魔族と魔物時間によって変化することを告げた。向こうの時間で朝の六時から十二時までは人間と決まっているが、それ以外はランダムに変化することを説明した。
 女王は智花を見て何かを悩んでいるそんな表情だ。
「確かにあなたの説明が本当だとしたら、この妖精の里に入れるのも納得はいきます。ですが、実際に見てみないと信用はできません」
 女王は強い口調で智花に言う。
「分かりました。先ほど説明しましたが、次にエルフに変化するかどうかは分かりません」
「あなたの説明では六時間に一度変化するのでしょう。それまで待ちます。ですがもしあなたの言ったことが嘘だと判明したらあなたを厳罰に処します。いいですね」
「ええ。大丈夫です」
「誰かこの者に客人としての部屋の用意を」
 女王が言うと、側のエルフが素早く動いた。
「確かあちらの世界の時間で六時間は人間のままと言いましたよね」
「そうです。今は人間なので朝の六時から午後十二時以前の時間ということになります」
「あちらの世界の時間を正確に分かるものはないのですか?」
「ありますがスーツケースの中に入っています」
「スーツケース? 捕縛した際あなたが持っていたものですか」
「その中に時間を確認するものがあります」
「分かりました。では部屋が用意され次第、あなたの持ち物を一時的に返却しましょう。それとレギーナ、その者を監視していなさい」
 レギーナといわれた女エルフは「分かりました」と答えた。
「六時間に一度その者がエルフに変化するか私に報告してきてください。もしあなたの言ったことが嘘や偽りだった場合、死罪と致します。以上です」
 智花は強引に立ち上がらされ、女王の元を離れた。













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