屋根裏の吸血少女は騙してる

べるりおん

守りたいから


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァッッッ!!!!!!!!!」

「おいリリス! やめろ!!!」
「やめ……なァァァァァァァァァァァァッッッッッッ!!!」

 それはリリスの心の奥から沸きあがる苦しい声だった。
 俺は何が起こっているのかわからないまま、首元の痛みとリリスの苦しみを見て、即座にリリスを引き剥がそうとするが、俺の力では抵抗することが出来なかった。
 俺とリリスが抱き合ってる異様な光景を見た聖剣持ちは、聖剣を上段に構えてこちらに向かってくる。

「おい、やばいあいつがくる!! 早く離れろ!!!」
「…………ワタシのジャマを………スルなぁぁぁァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッッ!!!!!!!!!」
「ッ!?」

 近づく聖剣持ちを見たリリスは、目を赤く輝かせながら異様なオーラを解放し、聖剣持ちを吹き飛ばす。

「何がどうなってんだ……」

 俺は訳の分からない光景を目の当たりにし、言葉を失う。
 そんな俺を他所に聖剣持ちは、剣でオーラを防ぎながら後退し、即座に駆け出し攻撃を仕掛けてきた。

「グァァッ!!」

――キンッッ!!!

 それは俺とリリスの周りにできている不思議な模様が描かれた結界のようなものだった。
 それは聖剣持ちの攻撃を防ぎ、こちらへと刃を通さない。
 攻撃を通せない事が初めてのことなのか、焦りを浮かべた聖剣持ちは目を一層赤くしながら剣をがむしゃらに振るい続ける。
 
「おい、リリス! なんかわかんないけど攻撃を防げてるぞ! もう離れて…………リリス?」


「アアァァァァァッッッッッッ!!!」


「おいしっかりしろ!!! リリス!!!!!」

 俺の首元を噛むリリスは、悪魔のような声と共に力をいっそう込める。
 俺の首元からは血が流れ、鋭い痛みが止まらない。
 
「もうトマラナイ、ワタシはチをスウ鬼!!!! だからスって、スって、スイまくる!!!!! オマエのチ全部モラウ!!!!!!!」

 漆黒の翼を出したリリスは、吸血鬼と言わざるおえない姿で、俺の首元を貪りつく。
 こいつ、本当にどうしちまったんだ!!
 痛みからか、手に力が入らない。
 鬼のような目でただ俺の血を吸い続けるリリスを、俺は涙目で見つめることしか出来ない。

「あ……やば…………意識が……」

 どれほど吸われてしまったのか分からないが、だんだんと足に力が入らなくなり意識が遠のくのを感じる。

「やっぱり……お前は……吸血…………」

 いつの間にか服装が最初に会った時と同じ、ゴスロリ衣装になっていることに気づいた時には、俺の意識は無くなり、目の前が真っ暗になっていた――



~~~~~~~~~~~~~~~~~

 
 そこには笑いかけてくる男の人がいた。


 その人はこちらに近づき、私の頭をわしゃわしゃと撫でてくる。


(俺はお前に殺されても怨まない。だからいいよリリス。お前がくれた幸せを俺が血で返してやる。もう苦しまなくていい。大丈夫だリリス。俺の血が不味くて悶絶してるだけだろ? ふ、お前らしいが、せめて美味しく飲んでくれよ? じゃあなリリス……ありがとう、好――)



 男の人は最後まで話すことなく、一滴の涙を流しながら風のように目の前からいなくなった――


(あなたは……………。私は一体………………………………)



 こうして私はまた、最低な人間になった――
 

 














 

 
 


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