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屋根裏の吸血少女は騙してる

べるりおん


――同時刻

 大都市エルカニアでは、ちょっとした噂が流れていた。
 都市の中央にある巨大な円形状の建物。
 そこには冒険者ギルドがあるのだが、新米ギルドマネージャーであるレストが、長い赤髪のポニーテールを揺らしながらいそいそと資料整理をしていた時に起こった。

「え……この魔力感知……微妙にずれてるような……」

 レストが手に取っていた資料。それは先程討伐依頼をこなしに冒険者が都市を出ていったクエストの資料だ。
 そして魔力感知というのは、先日都市の魔道士がエキロ村の調査をした時のものだ。
 魔力を感知するとその強さに応じて丸の色が変わるのだが、レストが気づいたのは、赤い丸が微妙に印刷ミスのようにズレているという事だった。
 そして、最終的に結論づけたのはこの間亡くなったギルドマスターの孫である、ガンスという男だ。彼はすぐにギルド職員を集め、切羽詰まった様にこう言った。

「先日のエキロ村調査に不備があった! 一体の魔物が生息すると記載されていたがあれは違う! 同じ魔力の魔物が2体垂直にいた可能性がある! 直ちにこのクエストに向かった冒険者の撤退を命じてこい!」
「「はい!!!」」

 魔力感知の弱点。それは真上から切り取ったものしか見れないということ。故に、ほぼ同じ魔力のものが垂直にいられると見分けることがほぼ不可能に近い。
 それを見抜いたガンスは無事でいてくれとただ願うことしか出来なかった――


~~~~~~~~~~~~~~~~~


「いったいなぁ! もう女の子なんだから手加減してよ!」
「化け物の性別なんか気にしてられない。悪いな死んでくれ」

 リリスは聖剣持ちの攻撃をくらってもそこまで大事には至っていなかった。しかし、

「遅れてすみません! 【攻撃促進ハイアタック】!!」
「俺は遅れたつもりは無いけどな! 【雷蜘蛛サンダーハント】!!!!」
「俺は面倒臭いからなんもせんでいいな」
「おい」

 杖の女。グローブの男。双剣の男。がそれぞれ聖剣持ちの元へ集まり、4対1という状態になってしまったのだ。
 杖の女は聖剣持ちに能力アップの魔法をかけ、グローブの男は手から無数の雷を帯びた蜘蛛の糸を放出してくる。その後ろでただ立っているのは双剣の男だ。
 リリスは蜘蛛の糸を建物を利用しながらかわしつづけるが、体力の限界を迎えていた。

「さぁて、チート聖剣使っちゃうかぁ?」
「くっ!」

 ちらと、聖剣持ちの方を見ると、両手でしっかり聖剣をにぎりしめ力を込めていた。先程の魔法により力が何倍にも膨れ上がっているのを肌で感じとったリリスは、これはさすがに! と少しでも距離をとろうと全力で走り出す。

「いやいや、俺別に近接攻撃するなんて言ってないけど……ま、いっかやっちゃうか……はぁぁぁぁ! 【真空の光剣ライトニングソード】ォォォォォ!!!!」
「……え?」

 それはまさに竜巻とも言える暴風。轟音と土煙と共にリリスに襲いかかる輝く空気は、無数の刃を含み、あらゆるものを切り進み、共に襲いかかってくる。
 それに対しリリスはただ驚くことしか出来ず――

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!! ……なーんてね?」
「嘘だろ!?何故普通に立っていられる!!!」

 リリスは突き出していた左手を下ろし、聖剣持ちをにらみつけ、

「吸血少女舐めんなよクソが……【完全防御フルエンス】は……はぁ……相手が最後に出した技に対して使って、絶望させる用に使うのよ……ふ……ふふ、ざまぁ無いわね……ぐ……」

 ガタッと膝から崩れ落ちたリリスは、苦し紛れに笑い、

「まぁ、血を半分持っていかれちゃうのは厄介ってところかしら……」

 そう言い残しそのままばたりと崩れ落ちたのだった――

 

 

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