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屋根裏の吸血少女は騙してる

べるりおん


「ちくしょうが! どうなってんだこの世界! なんでいきなり人間を襲うんだよ!」
「分からないわよそんなの! とりあえずあの家に隠れるわよ!」

 担がれている俺はリリスに従うしか出来ないが、リリスの判断はあっていると思う。
 リリスが選んだこの家は、裏に勝手口があるため侵入されても逃げやすい。
 しかし問題もあり……。

「リリス! もし、アイツらが火の魔法的な物を持っているとしたら俺達は火だるまになっちまうぞ! てか、リリスの力でどうにか出来ないのかよ!」
「火だるま!?やだやだまだ死にたくないんですけど! 仕方ない、私が蹴散らすしかないわね!」

 そう言って早々に家を飛び出そうとするリリスを慌てて抑え、

「まて! よく考えろ、俺は戦力外で、戦えるのはリリスだけ。ましてや、敵は聖剣持ちのチートっぽいやつと、ほか四人だぞ? いくらリリスでもやられちまうって」
「だからって、黙ってても火だるまになるだけじゃない! いい? 前にも説明したけど私の【奪取スティール】は強力なの。分かるでしょ? 大丈夫。私が俊輔を守ってあげるから。死なれたら私……嫌だもん」
「リリス……………」

 リリスはそう言ってニコッと笑った後、じゃあ行ってくるからその隙に、なるべく遠くに逃げて! と言って家を飛び出して行った。
 残された俺は、家の中にある1m程の鎌を手に取り、勝手口に手をかける。

「俺を守るため……か。あいつとも随分仲良くなったもんだな……」

 なんだかんだ半年ほど一緒に生活をしていたリリスを思い出し、喧嘩ばかりが脳裏に浮かぶが、その中には一緒に喜んだことや笑った思い出も入っていた。以外に悪くない異世界生活だったかもしれないと思いながら、俺はリリスの言われた通り逃げるため、全速力で駆け出した。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「俊輔を死なせる訳にはいかない。私が守らなきゃ。でないと……」


――能力を盗む前に死なれては困る。


 それがリリスの体を動かす源だ。
 そんな事を考えていた時だった。
 少し離れた所からあの聖剣持ちの男の声がした。
 
「おい、あっちは探したか! 俺が探しに行く!」

(こっちにくる……)

 そんな男の声を聞いたリリスは小さく口を動かし、

「使うか……【変幻ミラークル】」

 リリスは一瞬白く輝き、どこにでもいそうな女の子へと姿をかえた。
 
(この姿で助けを求めて、隙を見て吸血してやるわ)

 よりそれっぽく見せるために、着ていた服を破き、土をつけた。手際よくそれらを行うリリスは、何故襲いかかってきたのかを考えながら、近づく足音に意識を集中させた。

(そう言えば、人の姿に化けてるとか言ってたわよね……っっ!?)

「見つけたぞ! 多種にわたり姿を変える化け物! みんなこっちに来い! さっさと片付けて帰るぞ!!!」

 何故バレたの!?と脳裏に疑問が過ぎるが、聖剣持ちの男の言葉でようやく分かった。

(私達は人の姿をした化け物だと何故か勘違いされている。そして、私が変幻をしたから確信に至って……いや待って私が姿を変えるところなんて見られていないはず……)

 考えれば考えるほど分からなくなる状況に、打開策はなにかないかと考えるが、答えはすぐに出た。

(殺すしかない)

 聖剣持ちは仲間が来るまで冷静にリリスに対し剣を構えながら、睨みつけている。
 その睨みを返すかのように、はぁとため息をついたリリスは、足に力を込め――

「ごめん。私に吸われて死んで!!!」
「なっ!?」

 まさに鬼とも言えるような速度で一気に距離を詰めたリリスは、聖剣持ちの首に向かって口を近づけた。

(さよなら)

 一歩も動けなかった聖剣持ちは、ただ唖然とすることしか出来ず、血を吸われ――

「【極反射オートカウンター】……残念だったな。俺はこれでもランキング上位者の冒険者なんだ。そんな攻撃じゃ俺には勝てないぜ?」
「え?」

 そんな言葉が耳に流れ込んだ時にはリリスの体は宙を舞い、呆気なく吹き飛ばされていた――








 
 

 

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