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屋根裏の吸血少女は騙してる

べるりおん

異世界招待


「なぁリリス。何がどうしてこうなったんだ?」
「今更どうしたの俊介。それに関しては私が聞きたいところよ?」

 ここは異世界。

 そうだよ。今あなたが思った通りの異世界さ。
 知ってるだろ? ゲーム、ラノベ、漫画で出てくるあの異世界。転生したり、転移したりで、魔法ぶっぱなすあれ。
 一度は憧れたりしなかった? 可愛い女の子守ってハーレム人生送ったり、カッコイイ王子様に助けられて秘密の関係になったり……。

 俺もそういうの……憧れてたんですけど!!

 だが!!

 いざ蓋を開けてみたら!!!

「なんで俺達……」
「こんな端っこの村で自給自足生活してるの? なんて言わないでしょうね?」

――そう

 俺達は異世界に来てから約半年。

 ずーーーと、この誰からも目につかなさそうな小屋でひっそり暮らし、農作業をして、クソつまらない自給自足生活を送っているのだ!!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~

――半年前(俺とリリスが出会った時)

「あんた私と異世界で冒険してみない?」
「は?」
「なに? 死にたいの?」

 そう言ってくる女に対し、俺は首を横に振ることしか出来なかった。

 だって死にたくないもん。

 てか何この死の瀬戸際の異世界招待。もっと華やかな招待が良かったんですけど!
 今も睨み続けている女に対しはにかんだ俺は、異世界について聞いてみることにした。

「いやその……行くのはいいんですけど、どんな所なんですかね異世界って……というか、何しに行くんですか?」

 俺の質問に首をひねった女は俺の目をまっすぐ見つめ一言。

「しらん」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

 思わず出てしまった声を押し殺しながら俺は女に質問を畳み掛ける。

「いやその目的なしで知らない場所行くって意味わかんないんですけど! というかあなたは誰なんですか、なんで俺の家に居るんですか! 超次元過ぎなんですけど!」
「むぅ。そんなに質問されてもなぁ……。まぁ、私の事についてはいずれゆっくり話すことになるとして、異世界に行く理由は、ある物を探しに行きたいだけよ。ただ一人で行くのは寂しいからあなたに来てほしーなーって思っただけ」
「ほう」

 少し顔を赤くする女に対し、俺は少しドキッとしながらも真顔で冷静を装う。

「よくわかった。俺は暇だし異世界に行きたい。そしてその探しものの手伝いもする。ただ、最後に一つだけ聞かせてくれ。お前は何者なんだよ……やっぱりその見た目だし、吸血鬼……なのか?」
「……っ!」

 少しピクっと羽が動かした女は自分の長い赤髪をいじりながら、

「いやこれは……その……私の能力【変幻】を使って姿を変えてるだけよ? 私は別の異世界で生まれた人間。……ちょっとアンタからしたら変な人と思うかもしれないけど、私の世界では普通! まぁ私が一番有能で最強ですけどね!!」
「頭が追いつかねぇ……」

 鼻を高くしてエッへんとえばる女を見た俺は、改めて夢でも見ているのだろうかと思ったが、これは現実。くしくも砂糖水の味がする時点で現実なのだ。
 俺の部屋に現れた異世界の人間が俺を殺そうとしたが、気まぐれで殺すのを諦めて、異世界に冒険しに行こ?ってか……。

――ちょっと……いや! くそ面白そうじゃね!?

 殺されそうになったのはちょっとあれだが、異世界に行けるのは楽しみすぎるだろ!
 俺は少し興奮しながら女の方を見つめ、

「まぁとりあえず異世界とやらに連れてってくださいよ! ……本当に行けるのならね……」
「いい心構えね! では早速!」

 俺が少し怪しんでいることなど隅に置き、懐から緑の液体が入った瓶を取り出した女は、俺の肩に手を乗せる。
 いや何これ気持ちわり! 色が気持ちわりっ!
 緑の液体にちょっとひいていると、女は俺の方を向き、

「そういえばまだ名前を聞いていなかったわね、私はリリス。あんたは?」
「俺は……俊介です」
「俊介……なんか聞いた事あるけどどちらにせよダサい名前ね」
「失礼なやつだな全く。俺の親に謝れ」

 そんな失礼極まりないリリスは瓶の蓋を開け、中身を自分の体と俺の体に振りかける。

「うげ、なんか臭くね?」
「うるさい。仕方ないでしょそういうものなんだから。……それにしても……ガッさい服ね、センス無さすぎない?」

 俺は服装を指摘され、はっとなにかを思い出したかのように、

「あ! そうだ! せめてこの全身ネズミ色パジャマは着替え――」

 俺の言葉が言い終わる前に周りに白い光が現れ、俺の意識は無くなっていた――


~~~~~~~~~~~~~~~~~


「まぁ、私の目的はこいつの能力を開花させ、私の能力【#奪取__スティール__#】で吸い取ること……まぁ奪ったら代償でその人死んじゃうけど。それにしてもこの俊介とかいう間抜けが強そうな能力を持っているのは以外だったわね。俊介には悪いけど、私は絶対世界最強の吸血少女にならなきゃならない。そのための養分になってもらうわ――」

 こうして。能力が開花したら殺されるとも知らない俊介と、吸血鬼であることを隠し、俊介を騙しているリリスの少し変わった冒険が始まった――






 まぁ自給自足してますけど。

















 

 


 
 






 

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