話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

屋根裏の吸血少女は騙してる

べるりおん

屋根裏の吸血少女


――ギシギシ……ミシッ

 また始まった。

 ここ数日。俺の部屋の屋根裏から奇妙な音がするのだ。
 
「まさか真司が言ってた通り、本当に幽霊なんじゃ……」

 身をぶるっと震わせながら布団を頭まで被る俺は、同時に、一応念の為と枕元に置いてあった塩を手に取る。

「よしこれを手にすり込んでっと……いやこれ砂糖じゃねーか!」

 自分でツッコミをしながら己の手を見て絶望した。
 手汗とミックスされて、砂糖水が手の上で製造されていたのだ。

「くそが! ……はぁ、仕方ない。手を洗うついでに昨日こっそり隠してたプリンでも食うか」

 さすがに夜中のプリンはやばいかな。と悩みながら立ち上がった時だった――

「きゃっっ!!」
「?」

 頭上から聞こえた女の子の声に一瞬頭が真っ白になった時、バキバキバキバキと音を立てて屋根裏から何かが落ちてきた――

「いったーい!!!」
「は?」

 目の前で起こった怪奇現象に頭がついていけない俺は、とりあえず自分の手を舐めてみる事にした。

「うん。甘いな」
「いや少しは私に興味もてよ!」
「ん? 誰お前。さて手でも洗いに行きますかな」
「そろそろ泣くぞお前! なんだそのポケーっとした顔は! 私は影か何かか!」

 否。ガッツリ見えている。

 赤眼で、ゴスロリ衣装で、小さな牙が生えいて、背中には漆黒の翼が生えた幽霊……いや、吸血鬼みたいな女の子が!!!

 みんな覚えておけ。こういう時は驚いてはいけない。見て見ぬふりをして現実から逃げるんだ!
 
 俺は手を舐めながら直ちに部屋を離脱し、親の元へ向かうというミッションを脳内に作り上げ、扉に手をかける。
 そんな俺の行動に何かを察したのか、女の子は立ち上がりながらこちらを振り向き。

「待ちなさいよ。あんた私の事言うつもりでしょ!」
「あー砂糖水おいし!!!」

 待てと言われて止まるやつなんていねぇよ! と思いながら砂糖水に助けを求めた時だった――

――ドンッッ!!

「言うってことね?」

 ここここ……怖いーーーー!!!!

 なんか一瞬で壁ドンされたんですけど! やだ怖い!! 死ぬ!!! 終わった! 最後の晩餐は砂糖水だ!!!!

 ギリギリまで顔を寄せ威圧してくるこいつに俺は何も出来ないまま、ただゆっくりと崩れ落ちた。

「はぁ? この程度でビビるとか……もういいわ、さようなら」
「……ひっ!」

 崩れ落ちた俺の首元に口を近づける女の子。
 こんな状況なのに少しドキッとするのは、彼女いない歴イコール年齢の弊害なのだろうか?
 俺は身動きが取れないまま、なされるがままに殺され――



「……やっぱやーめた」
「へ?」



 俺の首元から離れた女の子はうーんと頭を悩ませながら一言。

「あんた私と異世界で冒険してみない?」
「は?」

 こうして本気で意味のわからない展開になってしまったのだった――



「屋根裏の吸血少女は騙してる」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く