異世界転移に間に合わなかったので、転生して最強になろうと思う!
勝利報告をしたが、天使と呼ばれた!
    バタッ……バタッバタバタバタバタバタッ――。
「どうしてこうなった……」
総勢六十名の女子生徒が倒れていく。
もしこれが誰かの作戦だとすれば、どれだけ場を混沌とさせたいのだろうか? そしてそれは成功しているのだろう。
現在はクラス棟前、前に俺ら九人が並び、百人を前にしていた状況だった。前に、と言う意味なら今もそうだが半数以上が倒れた今、俺は正直面倒の一言に尽きる思いだ。折角ボコボコになった地面を直ぐに戻せる。
とりあえず五分前から回想に入るとしよう。
五分前。
「お疲れ様なのだ!」
「おう、キューテ。教室の方は何か問題は無かったか?」
俺は階段を上りながら二階から見下ろしてくるキューテに訊ねる。するとキューテから返事が来ない。何かあったのかと、上ってみると、なんとも言えない表情をしていた。
「い、いや……ど、どう言うべきなのだ? 見た方が早いと思うのだ」
俺は階段を上りきり、キューテが指差す廊下の床を見る。
「うぅ……僕はもう駄目だ……死刑だ……お父さんに殺される……うぅ……」
と、ロイルが三角座りで転がっていた。あ、そういやロイルの家って王族の護衛だっけ……。
すまない。ロイル。お前の犠牲は無駄にしない……。
冗談はさておき、そうか。ロイルの事を忘れていた訳では無かったが、ここまでダメージがあるとは……。
そっとしておこう……。
俺はロイルに黙祷してから三つの教室へ全員外へ出るように言った。
「……で、何でだよ!」
そして今、クラス棟前で俺の叫びは虚しく響く。
いや、他の皆も俺の叫びに同感する様に少し引いているのだ。
「何で倒れる!? もうとっくに回復しているだろ!?」
俺が続けて言うと、倒れている全員がビクッと動き、思い出したかのように立つ。……ゾンビかよ。
そしてこちらを向く。俺が倒れたい……そんな気持ち。
「誰か代わって……くれないよなそうだよな。はぁ」
俺が説明するのは当たり前なのだが、義務ではない。しかしそれは他の皆も同じなのだ。俺は俺から逸らされる視線を以てそれが分かった。誰一人口を開こうとしない事も。――訂正、俺の隣に立つアリスのみ、バイオな光景と全員の視線を近くに感じている事から口を開けない。
「では……改めて、俺はレト・アルトレア。と、Sクラス皆だ。皆にはそれぞれ後で自己紹介をしてもらうとして、まずは君らの事を教えて欲しい。俺の事を一方的に知っていても俺が知らないので話にならない。……まず始めに、君らは何クラス?」
『Aクラスです!』
六十人のAクラス生徒が一斉に答える。あ、六十人とはつまり女子のこと。
と言うか息がピッタリで俺ビックリ。ついでにアリスは逃げたそう。
「……次に……そのAクラスで、王子から圧政を受けていたか?」
『はい! 私達百名はエルルトの奴から権力を振りかざされ、理不尽な罵倒や強制的な訓練を強いられていました!』
打ち合わせでもしていたのだろうか? 長文でも息ピッタリな六十名。だが、仮にも王子を奴呼ばわりはいかんだろう。せめてエルルト。
『尚、私はレト様になら罵倒されても構いません! 寧ろお願いします!』
ちょっと聞き捨てならない事を言った奴がいた。どこだ! どこからだ! 誰が言った! 風評被害を生むからその発言は看過できんぞ!? てか一人じゃなかった気がする!
「……断る。で、一応君らは捕虜だ。だが、好きに帰ってもらって構わない。残りたいなら残ってくれてもいい。ただ、ここはSのクラス棟だ。一応俺に対しての攻撃を禁止する。破った場合、俺の実験台に――」
魔力操作で近くに魔力反応を多数確認。その数約六十。ヤバい。怖い。
「――する前に追放だな。うん」
魔力反応消滅。危ないところだった。これは長引かせない方がいいな。本当になんだこいつらは……。
「おい男子諸君。女子が怖いんだけど、説明を求める」
「……はい! では僭越ながら自分が……」
良かった。こっちはまともだ。挙手で一人が話始める。
「まず、自分等はクラス戦争という紛い物ですが、謂わば戦いの場で手心を加えて頂き、更には手当てまでしていただけた。その事に感謝しています。そして、その場で指揮を執られていたあなたの姿に自分達は憧憬の念を抱きました! そしてそれは女子も恋慕という形で同じく抱いているのではと思います」
ほぅ……。いや、それでも怖いな。憧れてくれるのは嬉しいが。
「成る程。一応聞きたくはないが念のため聞こう。女子は――」
『レトきゅんは天使です!!!!』
一人一人言ってくれるのなら嬉しいのだろう……きっと。しかし、大勢で言われると寧ろホラーである。アリスも涙目でプルプルしているし。普通にホラーなのだ。
俺は気絶することを選択した。
「どうしてこうなった……」
総勢六十名の女子生徒が倒れていく。
もしこれが誰かの作戦だとすれば、どれだけ場を混沌とさせたいのだろうか? そしてそれは成功しているのだろう。
現在はクラス棟前、前に俺ら九人が並び、百人を前にしていた状況だった。前に、と言う意味なら今もそうだが半数以上が倒れた今、俺は正直面倒の一言に尽きる思いだ。折角ボコボコになった地面を直ぐに戻せる。
とりあえず五分前から回想に入るとしよう。
五分前。
「お疲れ様なのだ!」
「おう、キューテ。教室の方は何か問題は無かったか?」
俺は階段を上りながら二階から見下ろしてくるキューテに訊ねる。するとキューテから返事が来ない。何かあったのかと、上ってみると、なんとも言えない表情をしていた。
「い、いや……ど、どう言うべきなのだ? 見た方が早いと思うのだ」
俺は階段を上りきり、キューテが指差す廊下の床を見る。
「うぅ……僕はもう駄目だ……死刑だ……お父さんに殺される……うぅ……」
と、ロイルが三角座りで転がっていた。あ、そういやロイルの家って王族の護衛だっけ……。
すまない。ロイル。お前の犠牲は無駄にしない……。
冗談はさておき、そうか。ロイルの事を忘れていた訳では無かったが、ここまでダメージがあるとは……。
そっとしておこう……。
俺はロイルに黙祷してから三つの教室へ全員外へ出るように言った。
「……で、何でだよ!」
そして今、クラス棟前で俺の叫びは虚しく響く。
いや、他の皆も俺の叫びに同感する様に少し引いているのだ。
「何で倒れる!? もうとっくに回復しているだろ!?」
俺が続けて言うと、倒れている全員がビクッと動き、思い出したかのように立つ。……ゾンビかよ。
そしてこちらを向く。俺が倒れたい……そんな気持ち。
「誰か代わって……くれないよなそうだよな。はぁ」
俺が説明するのは当たり前なのだが、義務ではない。しかしそれは他の皆も同じなのだ。俺は俺から逸らされる視線を以てそれが分かった。誰一人口を開こうとしない事も。――訂正、俺の隣に立つアリスのみ、バイオな光景と全員の視線を近くに感じている事から口を開けない。
「では……改めて、俺はレト・アルトレア。と、Sクラス皆だ。皆にはそれぞれ後で自己紹介をしてもらうとして、まずは君らの事を教えて欲しい。俺の事を一方的に知っていても俺が知らないので話にならない。……まず始めに、君らは何クラス?」
『Aクラスです!』
六十人のAクラス生徒が一斉に答える。あ、六十人とはつまり女子のこと。
と言うか息がピッタリで俺ビックリ。ついでにアリスは逃げたそう。
「……次に……そのAクラスで、王子から圧政を受けていたか?」
『はい! 私達百名はエルルトの奴から権力を振りかざされ、理不尽な罵倒や強制的な訓練を強いられていました!』
打ち合わせでもしていたのだろうか? 長文でも息ピッタリな六十名。だが、仮にも王子を奴呼ばわりはいかんだろう。せめてエルルト。
『尚、私はレト様になら罵倒されても構いません! 寧ろお願いします!』
ちょっと聞き捨てならない事を言った奴がいた。どこだ! どこからだ! 誰が言った! 風評被害を生むからその発言は看過できんぞ!? てか一人じゃなかった気がする!
「……断る。で、一応君らは捕虜だ。だが、好きに帰ってもらって構わない。残りたいなら残ってくれてもいい。ただ、ここはSのクラス棟だ。一応俺に対しての攻撃を禁止する。破った場合、俺の実験台に――」
魔力操作で近くに魔力反応を多数確認。その数約六十。ヤバい。怖い。
「――する前に追放だな。うん」
魔力反応消滅。危ないところだった。これは長引かせない方がいいな。本当になんだこいつらは……。
「おい男子諸君。女子が怖いんだけど、説明を求める」
「……はい! では僭越ながら自分が……」
良かった。こっちはまともだ。挙手で一人が話始める。
「まず、自分等はクラス戦争という紛い物ですが、謂わば戦いの場で手心を加えて頂き、更には手当てまでしていただけた。その事に感謝しています。そして、その場で指揮を執られていたあなたの姿に自分達は憧憬の念を抱きました! そしてそれは女子も恋慕という形で同じく抱いているのではと思います」
ほぅ……。いや、それでも怖いな。憧れてくれるのは嬉しいが。
「成る程。一応聞きたくはないが念のため聞こう。女子は――」
『レトきゅんは天使です!!!!』
一人一人言ってくれるのなら嬉しいのだろう……きっと。しかし、大勢で言われると寧ろホラーである。アリスも涙目でプルプルしているし。普通にホラーなのだ。
俺は気絶することを選択した。
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