異世界転移に間に合わなかったので、転生して最強になろうと思う!
閑話 姉妹達と、帰った。
「なんだ、朝っぱらから」
朝、昨日は何もせずに――主に食事と睡眠しかしていない――過ごしていた為、少し早く起きてしまっていた俺だが、貸されている会議室の扉がそっと開き、アインが入って来たので、声を掛ける。
尚、向こうは俺が起きているのに気づいていない様子だ。
「ぴゃるぷ!」
と、奇妙な音を発し、しゃがみこむ。恐らく俺が寝ているものと思って静かに入って来ようとしていたのだろうが、先に俺が起きているかを確認するべきだったのではないか?
「び、びっくりひまひた……起きてたなら声を掛けて下さいよ」
「掛けたら驚かれたんだが……」
涙目で見つめて来るが、俺は悪くない。別に驚かそうといった意図はなかったからだ。
「んで、何か用か?」
窓からは朝日が昇るまえの青白い光が差し込んでいる。
こんな時間だが、先ほどから起きてはいたし、声を出すと腹が減るな……酒場か他の店は開いているのだろうか?
「え、あ、いや……その、お、おはようございます!」
「おはよ……そう言えば、一人か?」
部屋に入って来ているのはアインだけで、マインは居ない。あまり付き合いは長く無いが、珍しい気がする。
「え、ええ。まだマインは寝てます……いや、でももうそろそろ起きるかな……あ、す、すみません! ……えと……あれ? 何しに来たんだっけ?」
あわてているが、空気が緩いので、思わず欠伸が出た。
「はぉ……っはぁ。確か、ギルマスから朝飯食ったら来いって言われてたんだが、お前らも来るか?」
「? ……あ、はい! 一応、私達にも声を掛けて頂いているので、ご一緒させてもらいます」
まだ少し悩んでいる様子だったが、結局思い出せずに帰っていった。
その後、酒場でパンとスープだけ注文し、食べ終わる。
さて……と、俺が椅子から立ち上がると、ギルドの奥の方からアインとマインが歩いて来る。アインは先ほどとは服装が違う。着替えたのだろうか?
「和樹、お……はよう」
「ああ……二人とも朝飯は?」
まだ眠そうな声を欠伸しながら発しているマインだが、アインの方はしっかり起きている。
「頂きました。受付のシーラさんという方が住み込みらしくて、昨日からお世話になってました」
「そうか。ならいい」
「行こ?」
マインが眠そうな目を擦りながら言う。
俺は首を縦に振ってギルマスの部屋に向かった。
「んあ? ああ、入れ」
ぶっきらぼうな声を聞いて、部屋に入る。今回は前回の時のような違和感は感じなかった。
「話ってなんだ?」
「まぁ座れや……んで、話だったな。いや何、馬車の用意が出来たから打ち合わせをと思ってな?」
「打ち合わせなんて必要か?」
俺がそう言うが、ギルマスは肩をすくめる。
「ま、確認ってのは大切だからな」
「そうか……だが、費用その他はそっちで持ってくれるんじゃなかったのか? それ以外の確認って……顔合わせぐらいしかないだろ?」
顔合わせ、という単語に隣のアインがピクッと反応する。既にギルマスと対面して、パニック寸前なのに大丈夫なのだろうか? まあギルマスの顔が厳ついのもあるだろうが。
「ああ……ま、それは向こうが揃ったらで良いと、思うぜ? それと、馬車での移動ってこたぁ御者や護衛。一月以上掛かるんだから整備もできるやつが必要だ」
「護衛は要らん、自衛位は出来る。ついでに御者も守ればいいんだろ……ん? なんだ?」
マインが肘をつついてきた。
「一月以上って、そんなに掛かるの?」
「私もマインに同意するわ」
と、アインも便乗してきた。声が上ずっているのも人見知りたる所以だろうか。無理に話さなくてもいいのに……。
俺がギルマスの方を見ると、アイテムボックスからだろうか、地図を取り出して、広げる。
「ここが今居る、グレアックって街だ。ここから……山とか森とか色々通ってここだ。ここが目的地の学園都市、ヘヴァーネだ」
「え?」
「ふふっ……和樹、やっぱりかわいい」
「は? なんだ二人とも」
突如、アインは先程までのマインの様な無表情はどうしたと言わんばかりにきょとんとし、マインは笑う。
「あ、あのですね、和樹さん……私達が通っている学園はヘヴァーネではなく、ヘヴィールでひゅ……か、噛んじゃった……」
「なっ!?」
「ほーう、なーるほどなるほど。ヘヴィールね。なら三、四日で着くな。ガハハハハ」
「なっ!?」
幾度も呪った自分の方向音痴を呪い直した日であった。
朝、昨日は何もせずに――主に食事と睡眠しかしていない――過ごしていた為、少し早く起きてしまっていた俺だが、貸されている会議室の扉がそっと開き、アインが入って来たので、声を掛ける。
尚、向こうは俺が起きているのに気づいていない様子だ。
「ぴゃるぷ!」
と、奇妙な音を発し、しゃがみこむ。恐らく俺が寝ているものと思って静かに入って来ようとしていたのだろうが、先に俺が起きているかを確認するべきだったのではないか?
「び、びっくりひまひた……起きてたなら声を掛けて下さいよ」
「掛けたら驚かれたんだが……」
涙目で見つめて来るが、俺は悪くない。別に驚かそうといった意図はなかったからだ。
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窓からは朝日が昇るまえの青白い光が差し込んでいる。
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さて……と、俺が椅子から立ち上がると、ギルドの奥の方からアインとマインが歩いて来る。アインは先ほどとは服装が違う。着替えたのだろうか?
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顔合わせ、という単語に隣のアインがピクッと反応する。既にギルマスと対面して、パニック寸前なのに大丈夫なのだろうか? まあギルマスの顔が厳ついのもあるだろうが。
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と、アインも便乗してきた。声が上ずっているのも人見知りたる所以だろうか。無理に話さなくてもいいのに……。
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