異世界転移に間に合わなかったので、転生して最強になろうと思う!
情報のすれ違いとは、この事だろうか!
朝、鳥の鳴き声で目が覚める。体を起こして腕を上げて伸びをする。しばらくボーッとしていたが、少し目が冴えて来る。
「遂に来たか……」
とりあえず二週間が経った。今日はオークの討伐だ。
ゲームではあまり気にしていなかったが、やはり、同じ所には同じ魔物しかいないようで、少しはステータスが上っても討伐ボーナスは初回の一匹だけ受ける事が出来ないので、進展があったとは言い難い。オークのボーナスは今日手に入る予定だからお楽しみとして置いている。
ランク的にオークの依頼を受ける事が出来ないから普通の報酬も貰えないし、仮に討伐してもそれが原因で今日の儲けを無くしてしまうかも知れないし……まあ、それは考えすぎだとは思ったけど。
「とりあえず門まで行くんだっけ?」
二週間も前に教えられた集合場所はよく覚えていない。
「『強欲の書』」
そんな時には調べるに限る。これが無かったら今頃死んでる気がする。
メモ帳扱いで本に申し訳ないが、多機能過ぎる本が悪い――いや、別に悪いことでは無いのだが。
「ああ。先に受付に声かけて行けって言ってたか……よっしっ!」
勢いよくベッドから飛び降り、サッと着替えを済ませて食堂に降りる。
「ん? おお今日は早いじゃない」
カウンター越しに女将さんが話し掛けて来た。
「ええ。今日は大きい仕事があるので、頑張って起きましたよ。いつもの朝食メニューと――」
「弁当でしょ? あいよ。ちょっと待ってな」
メニューに関しては殆ど任せているが大体、初日に食べたパン、サラダ、スープが出てくる。
運ばれて来た朝食を味わいながら平らげ、弁当を受け取ってから出発した。
「おお……あれ? ……まあいっか」
ギルドに入ったら予想以上に人がいてびっくりしたのと、受付にシーナさんの姿が見えない事に疑問を抱くが、いつもより早い時間に来ているからと、納得した。いつもは二度寝したり朝食をおかわりしたり、三十分程遅くなる。
受付の列に並んで待つ。
「ようやくか……」
五分程待った。
「ご用件は?」
「あの……ギルドマスターに面会って出来ますか?」
「失礼ですが冒険者カードの提示を」
やっぱり俺って人見知りだなぁ。と思いつつカードを取り出して渡す。
「お願いします」
「申し訳ありません。面会は出来ません」
え? 自分で来いって言って置いて拒否!?
「えと……ギルマスに聞いてませんか?」
「はい、何も。お引き取り下さい」
嘘はついて無いと思うけど、対応が冷たい気がする。ちゃんと依頼受付じゃない方に並んだ筈だけど……。
「じゃ、伝言だけお願いしても……」
「はぁ……すみません。受け付けておりません。お引き取り下さい」
俺は諦めて門に向かった。
ギルド受付の裏――休憩室にて。
「あ、シーナ先輩。お疲れ様です」
「おかしいなー……うん。フェアンちゃんもお疲れ様」
フェアンが椅子に座ってお茶を飲んでいると、シーナが入って来る。
「どうかされましたか?」
フェアンはシーナにお茶を差し出しながら聞く。
「いや、別に何でもないよ。そういえば昨日、なんか私に相談があるって言ってたよね?」
「ええ。最近魔物が活発になって来てるじゃないですか……」
シーナも椅子に座りまったりする。
「うんうん」
「その所為か貴族とかのお偉いさんが子供とか自分の冒険者ランクを上げろってうるさいんですよ。登録したときは何も言わないのに今になって「貴族なのだからランクを上げろ!」とか「ギルドマスターに会わせろ!」とか」
「大変だねー」
一見聞き流してるように聞こえるが、ちゃんと聞いているのがベテランといった所だろうか。
「今日も子供一人でしたがギルマスに会わせてくれ、無理なら伝言だけでもって。妙に丁寧な言葉遣いな時点で私は貴族だと見抜いたんです。一応確認したらやっぱり最低ランクのEでしたよ。どうにかなりませんかねー」
「へー今日も……ってちょっと待って! 丁寧な言葉遣いのEの子供っていつ来たの?」
「朝ですけど……」
まったりムードの中、急に立ち上がったシーナに驚きながら答える。
「もしかしてその子の名前って……」
「レトなんとかって名前でしたけど、そんなに偉い所の子供なんですか? 横柄な態度さえ取らなければギルマスがなんとかしてくれるって先輩が言ってましたけど……」
「あわわわわ、どうしよー、どうしよー」
「先輩、落ち着いて下さい。どうしたんですか?」
「ちょっと前にフェアンちゃんにランクAのランクアップ試験の準備をギルマスから頼まれてたよね?」
「え、ええ。珍しくギルマスが機嫌良かったのではっきりと覚えてます」
「そのランクアップ、ギルマスの指名なの」
「へー」
「その指名があのレト君なの!」
「え?」
「どうしよう。オークの上位種が確認されたからレト君にいかなくてもいいって伝えなくちゃいけないのに……とりあえずギルマスに相談しなくちゃ」
あたふたとシーナが休憩室から出ていく。
「え?」
一人残されたフェアンは色々と混乱していた。
「え?」
事の顛末を聞いたギルマスは爆笑し、「別に行ったらだめってこたぁねぇからな」と言い、その言葉を聞いたシーナは怒られずに済んだ喜びと、職務を果たせなかった悔しさで微妙な気分になりつつも、再び休憩室に戻ってお茶を飲んだ。
「遂に来たか……」
とりあえず二週間が経った。今日はオークの討伐だ。
ゲームではあまり気にしていなかったが、やはり、同じ所には同じ魔物しかいないようで、少しはステータスが上っても討伐ボーナスは初回の一匹だけ受ける事が出来ないので、進展があったとは言い難い。オークのボーナスは今日手に入る予定だからお楽しみとして置いている。
ランク的にオークの依頼を受ける事が出来ないから普通の報酬も貰えないし、仮に討伐してもそれが原因で今日の儲けを無くしてしまうかも知れないし……まあ、それは考えすぎだとは思ったけど。
「とりあえず門まで行くんだっけ?」
二週間も前に教えられた集合場所はよく覚えていない。
「『強欲の書』」
そんな時には調べるに限る。これが無かったら今頃死んでる気がする。
メモ帳扱いで本に申し訳ないが、多機能過ぎる本が悪い――いや、別に悪いことでは無いのだが。
「ああ。先に受付に声かけて行けって言ってたか……よっしっ!」
勢いよくベッドから飛び降り、サッと着替えを済ませて食堂に降りる。
「ん? おお今日は早いじゃない」
カウンター越しに女将さんが話し掛けて来た。
「ええ。今日は大きい仕事があるので、頑張って起きましたよ。いつもの朝食メニューと――」
「弁当でしょ? あいよ。ちょっと待ってな」
メニューに関しては殆ど任せているが大体、初日に食べたパン、サラダ、スープが出てくる。
運ばれて来た朝食を味わいながら平らげ、弁当を受け取ってから出発した。
「おお……あれ? ……まあいっか」
ギルドに入ったら予想以上に人がいてびっくりしたのと、受付にシーナさんの姿が見えない事に疑問を抱くが、いつもより早い時間に来ているからと、納得した。いつもは二度寝したり朝食をおかわりしたり、三十分程遅くなる。
受付の列に並んで待つ。
「ようやくか……」
五分程待った。
「ご用件は?」
「あの……ギルドマスターに面会って出来ますか?」
「失礼ですが冒険者カードの提示を」
やっぱり俺って人見知りだなぁ。と思いつつカードを取り出して渡す。
「お願いします」
「申し訳ありません。面会は出来ません」
え? 自分で来いって言って置いて拒否!?
「えと……ギルマスに聞いてませんか?」
「はい、何も。お引き取り下さい」
嘘はついて無いと思うけど、対応が冷たい気がする。ちゃんと依頼受付じゃない方に並んだ筈だけど……。
「じゃ、伝言だけお願いしても……」
「はぁ……すみません。受け付けておりません。お引き取り下さい」
俺は諦めて門に向かった。
ギルド受付の裏――休憩室にて。
「あ、シーナ先輩。お疲れ様です」
「おかしいなー……うん。フェアンちゃんもお疲れ様」
フェアンが椅子に座ってお茶を飲んでいると、シーナが入って来る。
「どうかされましたか?」
フェアンはシーナにお茶を差し出しながら聞く。
「いや、別に何でもないよ。そういえば昨日、なんか私に相談があるって言ってたよね?」
「ええ。最近魔物が活発になって来てるじゃないですか……」
シーナも椅子に座りまったりする。
「うんうん」
「その所為か貴族とかのお偉いさんが子供とか自分の冒険者ランクを上げろってうるさいんですよ。登録したときは何も言わないのに今になって「貴族なのだからランクを上げろ!」とか「ギルドマスターに会わせろ!」とか」
「大変だねー」
一見聞き流してるように聞こえるが、ちゃんと聞いているのがベテランといった所だろうか。
「今日も子供一人でしたがギルマスに会わせてくれ、無理なら伝言だけでもって。妙に丁寧な言葉遣いな時点で私は貴族だと見抜いたんです。一応確認したらやっぱり最低ランクのEでしたよ。どうにかなりませんかねー」
「へー今日も……ってちょっと待って! 丁寧な言葉遣いのEの子供っていつ来たの?」
「朝ですけど……」
まったりムードの中、急に立ち上がったシーナに驚きながら答える。
「もしかしてその子の名前って……」
「レトなんとかって名前でしたけど、そんなに偉い所の子供なんですか? 横柄な態度さえ取らなければギルマスがなんとかしてくれるって先輩が言ってましたけど……」
「あわわわわ、どうしよー、どうしよー」
「先輩、落ち着いて下さい。どうしたんですか?」
「ちょっと前にフェアンちゃんにランクAのランクアップ試験の準備をギルマスから頼まれてたよね?」
「え、ええ。珍しくギルマスが機嫌良かったのではっきりと覚えてます」
「そのランクアップ、ギルマスの指名なの」
「へー」
「その指名があのレト君なの!」
「え?」
「どうしよう。オークの上位種が確認されたからレト君にいかなくてもいいって伝えなくちゃいけないのに……とりあえずギルマスに相談しなくちゃ」
あたふたとシーナが休憩室から出ていく。
「え?」
一人残されたフェアンは色々と混乱していた。
「え?」
事の顛末を聞いたギルマスは爆笑し、「別に行ったらだめってこたぁねぇからな」と言い、その言葉を聞いたシーナは怒られずに済んだ喜びと、職務を果たせなかった悔しさで微妙な気分になりつつも、再び休憩室に戻ってお茶を飲んだ。
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