コネクト  創造する世界

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コネクト 繋げる世界

「報酬? 」


「えぇ、主演を演じたのなら。それに見合う分は貰わないと」


 足りない頭で考えついたのはそれくらいだった。


 ついでに言えばもう少し余韻に浸らして欲しかった。


 今回はえらい長かった。


「楽しかったかい? 」


「まぁ、100点満点で70ぐらいは楽しめました」


「30点分は? 」


「相手側がつまらなかった。それにつきます」


 問題となるのはやっぱり……


「やっぱりなに? 」


「浪人時代に覚悟完了しちゃったことですかね 」


 少なくとも荒れを体験しなければ負けていただろう。


「まぁ、それなりに楽しめましたよ」


「その割にはあの時見たいに余韻に浸ってないけど」


「まぁ、運営側でしたし」


 何かの責任をのしかかるとやはり思考の一分はそちらにいってしまう。


「やっぱり作る側でないと……ね」


「つくる? 」


「最初から創るよりも、既存の品を改造する方が楽しいって話です」


 やはり、最初は何かの既存がないと。


「自分の思い通りに作ったシステムで、勝っても……ねぇ」


 創意工夫がないわな。


「じゃあどんなのならよかったの? 」


「作為的であり、なんであれ。【自分がそれに気づかずに全力を出して勝つこと】これが最良ですね」


「作為があってもいいんだ? 」


「そこまで、子供じゃありませんよ 」


 別に作為であれ、結果がどうあれ、それに気づかなければ個人にとってはどうでもいいことだ。


「まぁあれですあれ、記憶操作するなり、洗脳するなら、ちゃんと気づかないようにやってくれって話です」


 最悪、気づかなければ……思い出さなければ。個人としては何をやっていようが知ったことではない。


「周りに被害がかかっても」


「そこまで操作してですよ。だいたい周囲が気づいたら自分も気づくでしょ」


 それを気づかないというのならばそれは欠陥である。


「まぁ、そんな感じなんで。面白くしたいならばれないようにお願いしますね」


「……」


 あれ、おかしいな。


「あれ? 介入したいから呼び出したいんじゃないんですか? 」


「君は何を言っているんだ? 」


 んん、話が噛み合わないな。


「あれ、実は今までのなかでの幾つかは俺達が操っていて、見事クリアした君には褒美として黒幕登場とかじゃないんですか? 」


 というかそれではないならいったいなんなんだ。これは。


「いや、操っていたわけではないよう。それだとつまらないからね」


「ほぅ。その心は? 」


「だって、そうだろ。結局それは優遇するってことだ。優遇したら感動も悲哀も全て作為的になっちゃうだろ」


 うーん、一理ある。しかし、


「それって悪いことなんですか? 」


「だってつまらないでしょ」


「映画や劇はお嫌いで」


「そんなものは見飽きたんだよ。……僕達はね」


 はぁ、まぁそれはそれでいいか。


「では、干渉はしないと」


「干渉して欲しんですか」


「そりゃあ……ねぇ」


 自分でやってもそこそこぐらいで、他人のは外れが大きいし。


 だったら、面白くしてくれるんなら干渉はやぶさかではない。


「じゃあそれが報酬? 」


「いや、報酬は別ですよ」


 それはそれ、やってくれるなら報酬の上乗せを期待するけれどやらなくても別に問題はない。


 正直、まだ昔が良かったと思えるほど年は食ってないんだよなぁ。


「では、何が欲しいのですか? 」


 何が欲しいかねぇ。


「んー」


 何が期待できるかわからないし、そもそも情報が無いんだよなぁ。


「とりあえず、干渉します? 」


 それで方向性が少し変わってくる。


「……、先に貴方の答えを聞きましょうか。それで決めましょう」


「そうですか、なら」


 テロリストにしろ、海外のスパイにしろ、はたまた神様にしろ。


「ここは1つゲームとしましょうか」


「はい? 」


 やることは変わりない。いつも通り、自分のルールに落とし込む。


「ルールは簡単、記憶と道筋を残して。自分は帰還します。そしてもう一度ここに戻ってこれるかどうか・どうでしょうか」


 ようは昔やったのと一緒である。まぁあっちの場合は運任せであったが。


「道筋というのは」


「クリア報酬でもいいし、特殊条件でもいい。ここまで行けるように道を作ってください」


「期限は? 」


「クリアできるようになってるなら、幾らでも。あぁ自分が飽きたら辞めますんで」


 飽きないようにはしてくださいね。


「勝ち負けは? 」


「しいていうなら、ここにもう1回これたら私の勝ちですかね? 」


 それが勝ちなのかはわからないが。少なくともゴミ箱のあそこと同じなら現実では負けになるよな。


「まぁ、その時はあなた方の仲間にでも入れてください。ついでに階級は高い方が嬉しいですね」


「ふむ……」


 会話している相手は考え込む仕草をする。


 そもそも目の前の相手は、性別、声、全てがわけがわからない。


 見えているようで見えていなく。


 聞こえている声は理解できるか、声などはわからず。


 おまけにそのような理解不能な状況に何にも疑問を抱けない。


「あぁ、ついでに依頼とかで別途報酬とかくれるとありがたいですね」


「……といいますと」


「……形はなんであれ。このゲームをするにはこの空間のようなバグに近い空間がゴールって事ですよね」


「そうなりますね」


 なら、当然【当たり外れはどうであれ、毎回そのバグがあるのが前提となる】


 バグがあるってことは少なくとも不安定な場所であるってことだ。


 不安定な場所と言うことは、干渉できる可能性がある場所と言うことだ。ならば……


「ならこちらのモチベーションの為に、少しぐらいそちらから面白くなるように介入してください」


「その場合報酬はどうするんだい」


「あぁ、こちらの状況で欲しいものをくれればいいですよ」


 ついでにやりたくなるような難易度ならなおよしだな。


「まとめると、記憶残して、こっちが介入できるようにして、次きたら僕たちの仲間になりたいでいい」


「えぇ、ついでに介入するならわかりやすく。暗躍したいならわかりづらくお願いします」


「ちなみ欲しいものって言うのは」


「……」


 欲しいものか。


 さて、どうしようか。少なくともその場ですぐ効能が発動するものなど面白くない。


 貰いたいものは自分が手が届かず、かつ将来的に自分に利益な出そうなものだ。


「うーん、将来的に有益になりそうなNPCキャラの優遇ですか? 勿論自分が手に届かない範囲のキャラクターで」


「装備でもアイテムでもなく……」


「スキルでも、現状を有利にするのでもなく。将来的に関わりそうな方の優遇です」


「優遇というのは」


 優遇について……か。


 実際、どんなのがいいのか。まぁNPC周りの不運を幸運に変えるって感じのがいいか。


「不運を幸運に、死亡を生存に……とついでに」


 わかるような何かが必要である。それが報酬であるとわかるようにしなかったら意味が無いから。


「まぁ、NPCに託宣とかで神様がやったとか、自分が会ったときにわかるようにしてくれたらわかりやすくていいですね」


「ちょっと、待ってね」


 相手の動きが止まる。まぁ動いているようには見えなかったが。動いていたんだろう。


 実際相手は何なのか? 少なくとも自分から見たら人には見えないし。生物にも見えない。しかし脳内では人いや、話がわかる奴と認識されている。


 自分もそういう感じなのかと自分の両手を見れば。少なくとも人の手だと認識することはできる。


 ゲームの空間であると認識はしているが、それに関する確証はない。


 メニュー画面は表示できない。モーションも使えない。しかしこの空間と相手からゲームの世界だと認識している。ついでに言えば死後の世界ではないと認識している。


「協議の結果、通ったよ」


「全部ですか」


「全部だね。またメールとして送るから」


 メール? 、あぁあの変なのとか夢とかはこいつらの仕業だったのか。


「まぁ、そうだね。じゃあ追加のゲームも決まったし。そろそろ起きようか」


 ……あぁ、思考が読まれているのか。今更になって気づいた。


 体が消えている。どうやら終わりのようだ。


「最後に1つ良いですか? 」


「なんだい」


 とりあえず、気になった事を聞いておく。


「貴方は誰の玩具箱なのですか」


「……」


 だんまりか。こういうのは消えると話すことが多いので、上半身のみとなった時、できるかどうかわからないがファントムヒーローを使う。あれは気配ごと消せるからもしかしたら呟くかも知れない。


「……、僕も君と同じ玩具箱だよ」


 消える間際にそんな言葉が聞こえた。








 ……


 気怠い。体が重い。ついでに気持ち悪い。


 オムツはグショグショだし、体は拘束だし……というか


「フゴフゴ」


 本当にギャグボールをつけるな。というかつけるなって言ったはずだが。


「うわ、本当に起きた」


 この声は狂人の声か。


「えっ、嘘、えっ、えっ。なに普通に復帰してんの?  というかなにフゴフゴ言っているんだ」


 お前のせいだろうが。


「フゴフゴ」


 とりあえず、この口の拘束を外してくれと。フゴフゴいいながら催促する。


「はいはい」


 笑いながら、口の拘束を外してくれる。


「目も霞んでるから目薬も頼む」


「おー、ちゃんと喋れてる、喋れてる」


「酷い言い草だな」


 目薬をさして貰いながら。笑う狂人を指摘する。


「いや、本当に戻ってくるなんてな、ほら見てみろよ」


 目薬で視界がクリアになった所で、指された指の方を見る。


「……」


 そこには、呆けている医者と金剛……他にもたくさんの人が居た。


「あぁ、あいつらは。あんたの格好に呆然となって動けなくなっただけだから」


 あぁ、それはまぁ。


「とりあえず、一発殴らせろ」










 ……


「……、で体どうなんだ」


「まぁ、冬休みの数ヶ月使えばなんとかなるな」


 ある程度動く手足を確認しながら金剛にそう答える。


「ふん、骨折とかなら、杖で叩くものを」


「怪我がなくて悪かったな」


「むしろ、まともに喋れてることに驚きなんだけどね」


 スーツを着た男がそう答える。


「あんたがレギオンの? 」


「はは、しがないサラリーマンだよ」


 思った以上に普通の人物であった。


「そういえば……」


 ロックは……いるのか。


「ロックは居るのか」


「知らんな、そういえばあいつはなんなんだ」


「こっちも会ったことはないからな」


 まぁ、浪人先の紹介、これまでの経験から。それなりにおかしい奴なんだろう。


「こっちに構ってくれてもいいんじゃない」


「なら日を改めろ。こんな人数相手にできるわけ無いだろ」


 医者なんて、検診諦めて早いうちに退出したぞ。


「えー、構ってよ」


「一応、やり遂げた後なのでゆっくりさせてくれませんかねぇ」


 全く、やいのやいのは今は気分じゃないんだけどな。


 プルルと電話の音が鳴る。


「誰? 彼女? 」


「そこらをこいつに期待するのは間違ってるぞ」


 言いたい放題いって。ガヤを聞きながら電話をとる。


「はい」


「生きてるな」


 枯れた声が聞こえる。


「ロックか? 」


 確認する前に電話が切れる。


「誰だった? 」


「じいさんだった」


 ついでに言えば……


 着信履歴を確認する。つい先ほど電話した履歴はなかった。


「どうやらシャイなのか。すぐ切れた」


「ふん、どうでもいいな。それでこれからどうするんだ」


 どうするって、


「暫くはゲームしないで、追試とかリハビリをするさ」


「ふん、戻ってくるのか」


 当たり前のことを聞いてくるな。


「戻るさ、あぁ、次のゲームも始まりそうだしな」


「ほぅ」


 その言葉に何人かは嬉々とする。


「最もゲームの主催はもうしないけどな」


「クク、それでいい。散々だったからな」


「売り上げは良かっただろ」


「健康面の被害と合わせればむしろマイナスだ」


 あぁ、あっちも苦労はしていたのか。


「途中は散々だったよな。参加者全員1億払ったら倒産しかねなかったからな」


「あぁ、数万人規模だったっけ」


「全く、あんなのは個人でやってくれ。すくなくともわしらを巻き込むな」


 それに対してはニヤッと笑い返しておく。






 ……


 そうしてやっと解放されたのは夜であった。


 動きづらい体をお越し、月でも見ながら上半身を動かす。


「体はどう? 」


 静かになった事を確認できたからか、医者が戻ってきた。


「まぁ、それなりですね」


 少なくとも、4本を2本に動かし方を変えても短期間なら後遺症は少なそうだな。


「一応、君の脳の動きは確認したんだけど……」


「どうかしましたか」


「はっきりいって、理解できないね。なんでその程度の後遺症ですんでいるのか」


「あぁ、それはですねぇ」


 とりあえず、自動で体を動かす機構などを説明する。


「へぇ~、モーションの番号制御ね……それって楽しい」


「まぁ、気分がのれば結構楽しいですよ」


 深夜のハイテンション等に通じるものがあるな。


「それで、本題は……」


「あぁ、次についてちょっと興味がでたからさ。あれだけの事をして次何がやりたいのか」


 あぁ、それか。


「そうですね、次はちゃんと【ゲームの趣旨でやりたいんですよ】」


「へぇ、ゲームの趣旨ねぇ、確かコネクトだっけ。僕も少しやってるよ」


「今までの遊び方は【過去作を遊ぶか】【自分で作るか】の2択だったのでそろそろちゃんと運営の流れにものろうかなと」


 よくよく考えれば、ちゃんと遊んでいたものなんて召喚ものぐらいか。


 レベルは上げない。かといって普通のゲームでは遊ばない。


 だいたいは旧アカウントを使い、殆どゲームを無視して遊んでいる。


「それで楽しめるの」


「さぁ、どうでしょう。まぁつまらなくなったらまた勝手に創って遊ぶだけです」


「はは、なら僕もまだ食っていけそうだね」


「辞めるつもりで? 」


 それなりに面白い人だから、もっと続けたらいいのに。


「まぁ、君、面白いし。お金もそれなりだし。これなら続けてもいいかなと。どうせまた実験につきあうのでしょ」


「えぇ」


 恐らくまだまだ続くだろう。少なくとも。


「運営が創るのを辞めない限り、辞めるつもりはありませんよ」





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