コネクト  創造する世界

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創造する世界 幸運の男8

相手の歩いていく姿が見える。


1マス、2マス。【これで最善はなくなる】


そして3マス目。ここで足が止まる。


遠くからかよく見えないが、相手は慌てふためいている。恐らく【運に頼った結果なのだろう】


そうして、イベントが始まる。不幸が幸福へ、まぁわからないが良い顔しているんだろうな。


この結果わかった事が幾つかある。


1つ、相手はまだ運に頼ってる


1つ、相手は【運を掴み取るタイプ】である


1つ、相手は不幸マスに関してトラウマを持っている


まぁようするに【不幸マスを止まらない運ぐらいは持っている】ということだ。


あいつにとっての不運は、CPU戦ではなかったということだ。


まぁつまり【ある程度の差が開けば自動的にお助けが入る】


ついでに、ハンデのせいでほぼ間違いなくこっちに有利なのが起きる。


だから今やることは相手のマスを変えて【不幸カードを渡さないようにすること】


相手の全マスを幸福に変えて無理矢理カードを与えて行く。


恐らくもう、数十枚は幸福カードがあるだろう。不幸カードは1枚もないのに。


カラカラと音がなる。気づけば自分のアバターは舞台に立って演じている。


今回は失敗して不幸カードを入手している。割合的に不幸3に対し幸福2といった感じか。


「順調だな自分は」


それなりに失敗して、それなりの幸福を味わっている。恐らく終了間際では2対3ぐらいにはなっているだろう。


カラカラと音がなる。そろそろ一般人なら高校生活が終わり、大学生活が始まるころだ。


不意にマップが黒くなる。どうやら固定イベントが発生したみたいだ。


「となると」


相手のマスを全て上位の幸福マスに変えて相手の移動を待つ。


このゲームの最上位の不幸マスだ。生半可なイベントにはならないだろう。


【確定で不幸マスになるからこれだとどれ選んでも全て最上の不幸マスになる】


最上の不幸はだいたいは、ほぼ不幸カード+幸福が不幸カード化だ。


記憶的に言えば、麻薬使った後のようなものか?ようは一時的に幸福になったがすぐに不幸に囚われて。


そして【幸福に進んでもカードが貰えなくなる】


過去の栄光にすがって、今を見れない。そんな状態になるはずだ。


イベントが終わったようだし、相手のカードを確認する。


1枚もなかった不幸カードは数十枚にも膨れ上がり、逆に数十枚あった幸福カードは数枚しか残ってなかった。


一方自分の方と言えば・・・あぁ結婚してるな。


不幸カードが減って、幸福カードが増えてる。


「さてこれ以降することあるかな」


正直ボードゲーム等は、アイテム等の運以外の要素がなければすることがない。


勿論このゲームにおける運以外の要素は【マスの変化などのアイテムだ】しかし、そんなものを使われてしまえば勝てるものも勝てなくなるので、純粋の運のみにした。


ボード場のランダム生成からアイテムという要素を消したのが今のゲーム。欲しいなら【買うしかない】実際、ある程度の大金がかかっているなら購入する人物も多いと思う。


元は導入初期でVR機材がない人物でも楽しめるようにと外野用に作られたシステム何だがこれが今回のイベントに合ってる。


もう消化試合になったからか、イベントマスがどんどん変わる。


上位のマスはないが、職業、自分側には恋愛マスが多いか?


カラカラと音がなってる最中もマスが変化していく。最早出てくるマスなどは無いに等しい。


相手のマスも当然変えられているのだが。何をやっても【不幸マスになる】


恐らくこれが勝率99%のハンデなんだろう。つまり【運でどうこうならない】恐らく最初から不幸マスに止まり続けて、天文的な確率で出るであろうイベントを終盤で引けば勝つ可能性が残る。おおよそそんな感じなのだろう。


「ふむ、存外楽しめたぞ」


まだゲーム中だと言うのに、金剛が現れる。


「まだ終わってないけど」


「ドクターストップだ。これ以上すると、相手側が死ぬかもしれん」


「その場合、勝負はどうなるんだ?」


強制敗けで没収とかさすがの自分も可愛そうに見えてきたぞ。


「【倍で勝負】勿論ゲームもプレイヤーも一緒でだ、最も相手は払えんようなら」


1%あった可能性が0.5%になると。


「資産については?」


「差し押さえ、イベント終了で回収だ」


つまり、【イベント中にもう一回】戦う可能性があると。


「ちなみに、挑戦の踏み倒しは?」


「できるわけなかろう、お主に出来ることは【勝負して勝ち続けることのみ】だ無論負ければ金だけでなく、貴様の情報も奪われるがな」


・・・まぁ、それはいいとして。


「とりあえず今回についての評価は」


「言わなくてもわかるだろ」


ニターと、気色悪い笑みを浮かべる。


「最高の評価だ、良かったな。【玩具】として認識されたぞ 」


その言葉に一瞬ビクッとする。


「なんだ、お前が望んだんだろう」


望んだ。あぁ、確かに望んだ。


「望んだけどな、やっぱり恐いわ」


その言葉に金剛は笑う。笑みは変わらず侮辱の笑み。


カモを見るような目、遠めで人が転がる落ちるさまを見てるようなそんな笑みだ。


「安心しろ。少なくとも面白くなることには変わりない。最も」


ククク、と笑い声が漏れる。


「リスクも上がるがな、キヒヒ」


こういう姿を見ると、金剛も上に立つ人間ってことがわかるな。


「キヒヒ、あぁ、すまんすまん。ククク、余りにも可笑しくてな。進んで【狂人】に会う奴が居ると考えるとな」


【狂人】、他人の不幸を笑うもの。特等席で人が苦しんでいる様を楽しむもの。


【度外視の金をポンと出せる者】イベントに参加するようなら阿鼻叫喚が確約されてる人物。


関わるなと周りがいってくる人物。頭が離れろと警告するような人物。


「さて、キキキ。そろそろ戻ろうか現実へ」


こうしてイベント初のGM戦は終わった。新たな火種を残して。

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