コネクト  創造する世界

AAA

仮想と現実 ロールプレイングゲーム

認識のできない攻撃が飛んでくる。


相手を見ることも、攻撃を見ることも、攻撃をされたことさえ認識をすることができない。


「フフフ、ハハハ」


歯車の前にいた男は笑う。戦闘が楽しいのか?演じられている自分が楽しいのか?そんなのはわからない。 


ただ笑い、悪意を持ってこちらを潰し、悪意を持ってこちらを抉る。


「あぁぁぁあぁ」


絶叫が響き渡る。自分の足元には叫ぶだけの顔と、飛び散った臓物が周囲を囲っている。


気づいたら斬っていた。気づいたらそこにあった。気づいたら自分は真っ赤に染まっていた。


まるで1つの生命体のように自分に視線が刺さる。


「なぜ助けてくれない」


「なぜ攻撃する」


「なぜ」「なぜ」「なぜ」


老若男女の顔が、無数の目が、体しかない周りが全てこちらを向き、そして【全てを否定するようにこちらを見る】






【おまえさえいなければ】


視線がそう訴える。


自分が何かしたわけでも、何かするわけでもないのに、勝手に期待し、勝手に絶望し、勝手に敵視する。


そうして、周囲が変わり出す。


「殺せーーー」


「倒せーーー」


「頑張れーーー」


なんて事はない、全て【相手を応援してるだけだ】いや【自分を罵倒してるのか】


自分と同じようにならないのが憎い。


自分がこうなったのが憎い。


全部相手がやったはずなのに、気づけば全部自分のせいにされている。


【自分は傷つけないから】自分は殴っても文句を言わないから


【自分はもう酷い仕打ちにあったから】そんなことを抱き、全員一致でこちらを非難してくる。


タンタンタンと音がなる。ブチブチと潰されていく。


やった当事者がわかっているのに恨みは……怒りはこちらに向かってくる。


運よく助けた奴もいる。しかし、そんな奴でさえ、こちらを妨害してくる。


「しね」と罵倒し、妨害をすれば自分の行動を中傷し。攻撃に巻きこまれると、こちらを睨む。


そんな環境に数十分浸かっていた。


初めはそこら辺の奴を助けて、仲間に引き込もうともしたが数分後には妨害して打ち砕かれた。


今はただ、自己防衛を続けるだけに成り下がっていた。


思考を働かせようにも、周囲が邪魔をする。


【何故邪魔をする】


敵を補足する事もできず、解析することもできない。


【何故蔑まれる】


ただ、ただ、相手のミスを待った……この数十分間は……


【何故自分はこんな仕打ちをうけているんだ】


・・・


限界だ。あぁ限界だ。


なんだこれは、なんでよくわからないやつらに罵詈雑言を受けなきゃいけないのか?


攻撃にしてもそうだ、あいつらは執拗にこちらの視界を奪ってくる、大声で相手の音を消す。そのくせこちらの音は静まり通そうとする【こちらが助けた奴】もだ。


あぁ、そうか。


随分と最近は忘れさせてくれていたが。よくもまぁ、思い出されてくれたものだ。


やることは、決まった。だから、まず初めに謝ろう。これからの行動に一片の罪悪感を抱かないために。


銃を上げ、声を張り、ここに居る全ての生命体に届くように魔力を載せる。


「【まずは、謝罪しよう。これから起きることに】」


余りの異様さに、騒音が消え静寂に包まれる。


「【だがしかし、君達が望んだことだ】」


「なんだ、許しでも貰いたいのか」


何処かの馬鹿が上からの物言いで質問してくる。


「【そんなまさか? 私はただ、君達が演じてほしいように演じるだけさ】」


そんなに敵対したいなら、お前ら全員敵と見なしてやる。


「【たが、私もそこまで悪辣ではない。だから5分待ってやる、せめてその間は悔い改め、謝罪でも使用ものなら……水に流してやる】」


少しの静寂の後。




「ハハハ、できもしないことを言ってんじゃねぇよ偽善者」


「何が悔い改めろだお前が悔い改めろ」


「あぁぁぁぁあぁ」


少しの静寂の後、また元の空間に戻ってくる。


十秒も立てば不可避な攻撃が飛んできて。機械的に処理する。


「しーね、しーね、しーね」


合唱のように罵倒される。黙ったのは……一割くらいか。


もはや、自分の頭のなかには【神は敵として認識しておらず】


【馬鹿が不正使って攻撃をしている】


そういう認識に変わった。


つまり相手は【神】ではなく、【有象無象の馬鹿共】である。おまけに不正も使ってるきたものだ。


ならば対応も変わる。


【いかに相手に勝つか】ではなく、【いかに相手を潰すか】に変わる。


認識は格上から、格下へ。


敬意なんて払う必要もなく、【先なんて考える必要もない】


不可避の攻撃が当たる。こちらが血を流すことに、まるで賭けに大勝したかのように大絶叫をあげる。


同時に解析も開始する。攻撃が当たるということは、何かが自分に触れたということだ。


触れられた以上、それにたいする【耐性】は作ることができる。


合唱は大きくなる。


時間だ


【さぁ演じてやろう】


まずはそこらに転がした頭を砕く。


【いったい誰に】


ぐしゃっと音がなる。周辺でわめいていた奴には、床を火で炙る。


【喧嘩を売ったのかを】


煮沸したように泡がプクプクと出てきて、【世界が泡に包まれる】


泡が弾けたと思ったら、合唱が絶叫に変わっていた。


また攻撃が飛んでくる。今度はさっきよりも鋭い。ダメージもかなり受けるだろう。


【貴様の出番はもう終わった】


もう段階は次の領域にいっており、その程度の攻撃に意味などはない。


「何してんだー」


喋った奴に向かい、銃撃をする。


【何をだと? お前らが求めたんだろ】


特性の【状態変化(泡になる)】だ。ここからじゃ見えないが、何かが落ちたから、恐らくそいつだろう。


【お前らが】


絶叫も五月蝿いので、膝下の音を消す。


【お前らが俺を】


空間が歪む。巨大な昆虫が出てくる。


【敵として見なしたんだろなら】


昆虫の体から昆虫を産む。


【当然覚悟はできているんだろ】


空間が歪む、形容し難い何ががそこに溢れ出す。


【先程までの生易しい仕打ち等と比べほどにならない地獄を巡ることに】


臭く、不快でそれでいて、何故か心地よい。


煮沸した体は、何かに飲み込まれる。


「【さぁ、約束を果たしてやる】」


体に響くように声をだしてやる。


「【お前らの望み通り、徹底的に潰してやる】」


「【帰れると思うな】【戻れると思うな】【死ねると思うな】」


「【安心しろ】【例え精神が崩壊しても直してやる】【見たくなくても見せてやる】【聞きたくなくてもきかせてやる】だから・・・」


「【精々楽しんでくれ】あっ、水に流した奴は当たらないようにはするから。では」


周囲の声が恐怖に変わる。視線が変わる。許しをこう声が聞こえる。


「はじめようか。プレイヤー小小【悪を演じさせてもらう】」


宙に浮く。空に行けば。床は何かに飲み込まれる。時計を戻すように、再生と消化が繰り替えされる。


飲み込まれていないのは、先程から出した昆虫の機械達ぐらいだ。


ピタゴラスイッチのように潰された歯車の前に行き。歯車を熱する。


「ついでだこいつもくれてやる」


紋様を描き。運ばれてくる場所に、別の拷問器具を入れてやる。


「こんなことをしていいと思っているのか」


声を出した奴の腹を撃ち。


「口答えできるとは余裕あるな」


足を撃ち、肩を打ち。膝を撃ち、肘を撃ち。


「あぁ、気絶なんて許すと思うなよ」


気つけをした振りをし、起こした振りをし。ついでに一発ぶん殴る。殴った奴はそのまま熱した歯車に潰されいや溶かされた。


「お前に良心はないのか」


「良心?あったさ」


「だったら」


「【それを消したのはお前らだろ】何被害者面してんだ。その辺の石ころだと思ってた奴を、【生理的に受けつけない】に昇華させたのはお前らだろうが」


歯車の中から、水に流した奴らを回収し。


「安心しろ。【当然現実にも影響を出してやる】」


「はっ?」


「【家族が居るなら壊してやる】【恋人が居るなら壊してやる】【親友が居るなら壊してやる】」


「【お前に善意を振るった奴を壊してやる】【お前が尊敬する人物も壊してやる】なぁに安心しろ」


「お前に関わった奴全員同様に潰してやるから。なぁ【○○君】」


まぁ、そんなことはしないけどな。誰がそんなめんどくさいことするか。


しかし、言われてる本人にはそれはわからない。


「実に良い顔つきになったじゃないか。どうした先程までの罵詈雑言はどうした?」


「ごめ『謝罪は締め切ったはずだが』」


「あぁ、言い忘れてた【今はコネクト接続状態だから何が起きても自己責任な、例えデータが壊れて永遠に彷徨うことになっても俺に責任はないから】聞こえてるか地上の連中【お前らのことだぞ】」


AIとPCデータを混ぜ込んだデータを、果たしてコネクト側は【本人と認めてくれるだろうか】


まぁどうでもいいことか。


「いや、【運が悪いな】接続が事故って【こんなのに巻き込まれるなんてな】」


「ふざ」


パァンと一発撃つ。


一撃でデータを破壊し。二発目で適当なデータを混ぜ【補完させる】


「極めて俺は冷静だ。なんせ【報道される内容を言ってるだけだから】いや人口AIの事故で終わりか」


不可避の攻撃がきた。胴体が切り裂かれたが、今更だな。


銃を撃とうとしたら、腕ごと切り捨てられた。


「おっと」


斬られた腕は相手にくっつき、吸収されていく。


ここに来てようやく補足できたか。しかし意味はないな。


五分程度前から、こいつの相手なんてする気はないのだから。今は【ギリギリまで馬鹿共の精神を削るのが先だ】


だいたい、潰されてまともになってるわけないだろ。【初めから手加減されてたんだよ馬鹿共が】自分の都合どおりに行かなかったぐらいでだたこねて、うまくいってる奴を妬む。


知ってるか?お前らが壊れたと思ってるそれは、ただの画面の細工なんだぞ。


知ってるか?歯車に潰されようが、銃に撃たれようが、【お前らには触覚機能してないんだぞ】


知ってるか?【コネクトに接続すらしてないんだぞ】今はただ集団催眠で夢の世界に居るだけなんだぞお前ら。


それを認識できないのは、ただ1人、そうそいつだけは認識ができなくても許される。なんせ・・・


1人だけ現実のままなんだからな。なぁ


「どうした? せっかく自分が作ったんだ、楽しめよなぁ・・・神様」


「違う」


「何が?」


「こんな役割は求められて居ない、君は罵られながらも足掻いて、足掻き続いて。それをみた周りもやがて応援し僕は倒されるはずだった」


そんなのは知らん。というかそんなめんどくさいロールなんて気分がのったときぐらいしかしないわ。


「へぇ、おっ、そこ余裕ありそうじゃん」


何人か泡人間にする。


「君の敵は僕だろ」


「はぁ? 何言ってんだお前は?【それはお前の役割だと思ってるだけだろ】俺の中でのお前は、今はもうただのバグなだけだ」


「僕は最後に相対する君を絶望に『くどいな』」


「お前にその役割はもう消えた。少なくとも【俺の中でお前の存在なんてユニークモンスターですらない】その辺に居るモンスターと同系列だ」


顔も見ずに淡々と喋る。


最初は難しいと思ったこれも、いざ蓋を開ければなんてことはない。【駄々をこねる子供であった】


「違う、僕は僕だ」


光源を感じる。振り返れば、先程まで獣だったものが人に近くなってる。


絶対善スプンタ・マンユが相手になってやる」


・・・あきれてものも言えない。


「馬鹿が、無理矢理変えやがって」


絶対善の攻撃がくる。先程までの強さもなく、早さもなく。それはもうボス格と呼ばれるものではなくなっていた。


銃弾を一発放つ。数分前なら食らうはずのない攻撃が、なんなく当たり。絶対善は地上に落ちていく。


「僕は・・・僕は」


「あー聞こえない」


はぁ、何か白けたな。


「戻るか」


少なくとも、あっちの方が楽しめそうだ。





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